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戦後経済史 私たちはどこで間違えたのか 日経ビジネス人文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2019/04/03 |
JAN | 9784532198947 |
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戦後経済史
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7件のお客様レビュー
最高でした!1940年体制の成立と高度成長期、そして外部環境の変化にも関わらず90年代行もこの体制に固執してしまっている日本……。
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日本経済のピークは、バブル崩壊数年後の1990年代半ばであるというのが、データを見れば分かる。そこから以降、日本経済は停滞、さらには衰退と言っても良い状態にある。それにしても、そこから四半世紀が経過している。どうしてそういうことになったのか、「私たちはどこで間違えたのか」について...
日本経済のピークは、バブル崩壊数年後の1990年代半ばであるというのが、データを見れば分かる。そこから以降、日本経済は停滞、さらには衰退と言っても良い状態にある。それにしても、そこから四半世紀が経過している。どうしてそういうことになったのか、「私たちはどこで間違えたのか」について、野口悠紀雄なりの考えをまとめたもの。なるほど、という部分が多い。 筆者によれば、日本の高度経済は、日本の「1940年体制」および、その体制が実施していた制度がうまくいった結果である。1940年体制とは、戦争遂行のために、政府・国家に権限を集中して、市場メカニズムではなく、政策的な見地から資源配分を行う体制のことである。この体制・制度が、重工業中心であった戦後の産業構造にマッチした結果、日本は高度経済成長を成し遂げたとしている。具体的には、以下のようなものが、1940年体制である。 1) 直接金融方式から間接金融方式への切り替え、かつ、日銀から民間銀行へ貸出をすることによって、企業への貸し出しの実質的権限を国が持つことになり、そういった仕組みを通じて、育成すべき産業(当初は石炭と鉄鋼、その後、他の重工業)に資金を重点的に配分する「傾斜生産方式」をとることができた。 2) 外貨の管理。外国為替を通産省の権限の範囲とし、民間銀行、民間企業が、外国から資金を調達できないようにすることにより、上記の仕組みを強化した。 3) 企業別労働組合。 4) 農地改革、借地法・借家法の改正。インフレ、財産税により、戦前の支配階級を一層。 5) 自民党と社会党の2大政党体制。 こういったことにより、日本は高度経済成長を成し遂げた。70年代の二度のオイルショックに遭遇しても、他国に比較すれば良好な経済パフォーマンスを示し続け、ジャパンアズナンバーワン、という本まで出版されるようになった。しかし、80年代後半から90年代にかけて、上記の条件を成立させていた世界経済の基本的な条件が転換していき、1940年代体制は、時代に合わないものとなってしまう。その当時に起きた大きな時代変化とは、例えば下記のようなものである。 1) 中国が工業化に成功し、「世界の工場」として存在感を増したこと。これにより、工業製品の価格が世界的に下落。日本に生産拠点を置く企業は、コスト競争についていけなくなった。 2) IT革命により、生産コストが劇的に低下したが、日本はIT革命に乗り遅れた。 3) 製造業にとって垂直統合方式(1940年体制が得意としていたもの)から、水平分業方式(アップルが典型)が有利になってきたこと 4) ベルリンの壁の崩壊以降、共産主義国が資本主義陣営に加わり、新たに大きな市場が出来たが、日本企業は、そこで存在感を示せなかった それに対して、日本政府は、1940年体制の時から頭が切り替わっていない。当時と同じことを繰り返している。これでは、日本の経済が上向くはずがない(下記には私の私見も入っています)。 1) 政府の成長戦略は、政府が将来に向かってビジョンを描き、国の資源をその方向に向けようとするもの、結局は、「傾斜生産方式」と同じ。そういった、ある意味で社会主義的な成長戦略はうまくいかない。新しい成長産業というのは、市場における競争で生き残った産業。 2) 年金、医療、介護といった社会保障の問題に根本的な手を打たない。これらの問題は深刻であると誰もが分かっているのに、突き詰めて考えようとしない。 3) 異次元金融緩和等、何の成果もあげていない政策を続けている。低金利により、円安誘導を図ろうとし、結局は今になって、それが行き過ぎた結果になったが、今さら修正も出来ない。インフレターゲットと言いながら、実際に物価高になると狼狽している。 4) コロナ禍での対応が典型であるが、すぐに「ばらまき」を行う。緊急対策が悪いわけではないが、将来に向けてのビジョンがないままの何の役に立つのか分からないばらまき。結果、国の借金をすごい勢いで増やしている。 このあたりが、本書の要約(私の私見を交えた)。 状況はかなり深刻だと思う。政治家は、ばらまきのような小手先の人気取り策を競っている場合ではなく、本質的・本格的に社会・経済の構造を変えるようなことを構想すべき時だと思う。しかし、あまり期待は出来ない気はする。
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第1章 戦時体制が戦後に生き残る 第2章 なぜ高度成長ができたか? 第3章 企業一家が石油ショックに勝った 第4章 金ぴかの80年代 第5章 バブルも40年体制も崩壊した 第6章 世界は日本を置き去りにして進んだ 戦後日本の繁栄は40年代に築かれた国家総動員体制であるという歴史...
第1章 戦時体制が戦後に生き残る 第2章 なぜ高度成長ができたか? 第3章 企業一家が石油ショックに勝った 第4章 金ぴかの80年代 第5章 バブルも40年体制も崩壊した 第6章 世界は日本を置き去りにして進んだ 戦後日本の繁栄は40年代に築かれた国家総動員体制であるという歴史認識のもと、高度成長時代には機能した40年体制が、80年代以降金融や情報産業が発展し水平分業が主流となる中で機能不全に陥る一方、古き良き謙虚に勤勉する美徳がJapan as No. 1の時代に失われたことが今日の日本の停滞感の元凶であるというのが本書の主張である。幼少期に戦争を体験し、戦後日本の歩みと軌を一にして官僚・経済学者としてキャリアを歩んだ筆者の経験と共に執筆されており、迫力がある作品といえる。
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