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葛飾土産 中公文庫
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葛飾土産 中公文庫

永井荷風(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2019/03/20
JAN 9784122067158

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商品レビュー

3.3

4件のお客様レビュー

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2023/01/31

晩年に暮らした千葉を背景とした作品。ほとんどが昭和21年ころに書かれたものだ。戦後の荒れた東京に比べて、江戸川を越えただけで長閑な風景が描かれる。荷風は、そこで暮らす人たちの穏やかでいて逞しく、飢えも貧乏もしたたかに乗り越える姿に惹かれたのだろう。慎ましやかな庶民の何でもない日常...

晩年に暮らした千葉を背景とした作品。ほとんどが昭和21年ころに書かれたものだ。戦後の荒れた東京に比べて、江戸川を越えただけで長閑な風景が描かれる。荷風は、そこで暮らす人たちの穏やかでいて逞しく、飢えも貧乏もしたたかに乗り越える姿に惹かれたのだろう。慎ましやかな庶民の何でもない日常が描かれる。 市川、船橋、江戸川、本八幡など、私にとっても聞きなれた身近な地名がでて来るたびに町の風景も感じながら読んだ。 荷風作の戯曲が載っていたのは意外だったし、浅草で上演されていたことに、当時にタイムスリップして一度観てみたいと思った。

Posted by ブクログ

2022/10/10

 原著1950(昭和25)年刊。荷風が戦後に書いた小説・戯曲・随筆をまとめて出版したのを、そのままの形で文庫化し、さらに「付録」を付したもの。  岩波文庫で既に読んだものも多く入っているが、読んでないのもある。おまけに、これを読んでいる最中、とうとう岩波書店版『荷風全集』全30巻...

 原著1950(昭和25)年刊。荷風が戦後に書いた小説・戯曲・随筆をまとめて出版したのを、そのままの形で文庫化し、さらに「付録」を付したもの。  岩波文庫で既に読んだものも多く入っているが、読んでないのもある。おまけに、これを読んでいる最中、とうとう岩波書店版『荷風全集』全30巻揃を中古で購入してしまったため、もう単発の文庫ものは必要ないとも言えるのだが、全集版はかさばって重く、持ち歩くのに適さないし、旧仮名遣い・総ルビの多い全集版は慣れないと読みにくい面もあるので、文庫には文庫の良さがある。  さて戦後の「評判の悪い」荷風作品であるが、ここに入った作品、特に随筆は、思ったよりも文章密度が濃く、さらに後年、晩年に見られる荒っぽい単純さはまだ無い、戦後間もない頃に書かれた短編小説も、捨てきれない味わいがある。  付録として久保田万太郎による「映画のための構成」として「葛飾土産」が入っている。荷風の戦後の戯曲「渡り鳥いつ帰る」「春情鳩の街」および小説「にぎり飯」との3編を合体させて一つの映画となるよう巧妙に配置したもの。随筆の「葛飾土産」の内容はここには無いのに何故これを「葛飾土産」と題したか不明。  この映画については、先日読んだ川本三郎さんの評論集『老いの荷風』に触れられており、映画「渡り鳥いつ帰る」がそれであるようだ。これは生前に荷風も見て、満足げだったとか。アマゾンプライムでこの映画を探してみたが無かった。

Posted by ブクログ

2021/03/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・にぎり飯 ・心づくし ・秋の女 ・買出し ・人妻 ・羊羹 ・腕時計 ・或夜 ・噂ばなし ・靴 ・畦道 ・停電の夜の出来事 ・春情鳩の街 ・葛飾土産 ・細雪妄評 ・木犀の花 ・東京風俗ばなし ・裸体談義 ・宮城環景 ・葛飾土産 久保田万太郎 ・敗荷落日 石川淳 戦後の作品を集めた作品集。 東京大空襲の後、離れ離れになった家族を探すシーンが、東日本大震災の津波と重なってしまう。 呆然と立ち尽くし、行方の知れない家族を探し、あきらめがつくということもなく、だけど日々を生きていかなければならない。 誰を怨むことの出来ない自然災害でも気持ちの持って行き場がないのに、戦争という人災で家族を喪うってどう納得すればいいのだろう。 戦後の食糧難に ”われわれが再びバナナやパインアップルを貪り食うことのできるのはいつの日であろう。この次の時代をつくるわれわれの子孫といえども、果してよく前の世のわれわれのように廉価を以って山海の美味に飽くことができるだろうか。” 思ったより早く飽食の時代に突入してしまったけれど、荷風はなんと思っただろうか。 上っ面だけの西洋化に対して、常に批判の目を向ける荷風。 特に文化人とされる人たちの、時と場所をわきまえないあけすけで不躾なふるまいに。 ”日本ではあること無いこと何でも構わずに素ッ破ぬくことは悪いことでも耻ずべき事でもないとされている。” ところで、これは感想ではないのだけど、江戸の正月の風習としてカルタについて書いているのだけど、カルタというのは百人一首のことで、当然当時は活版印刷のような文字ではなく、変体仮名で書かれていた、と。 北海道の百人一首は木札に変体仮名で下の句を書いた取り札なのだけど、そのルーツは会津からの開拓民と言われている。 だけど江戸時代の百人一首が変体仮名で書かれていたというのなら、開拓民からすれば木っ端より紙の方が高かったから木札を作っただけというのが真相なのではないかという気がしてきた。 本州では紙の札に印刷した取り札だったので、上の句を読んで下の句を取ることも容易かったけれど、木札に書いた変体仮名を読める人が少なくなるにつれて、下の句を読んで下の句を取る北海道ルールができていったのかな。

Posted by ブクログ

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