金子みすゞ童謡集 新装版 ハルキ文庫

金子みすゞ(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川春樹事務所
• 発売年月日: 2019/03/04
• JAN: 9784758442459

商品レビュー

2024/02/08

金子みすゞさんの詩集ですね。
童謡集になっていますが、みすゞさんは童謡詩人として認められているからです。
でも、みすゞさんの詩は、限りなく宇宙と人間の本質を詠えあげています。
やさしく、子供心を浮かびあげながら、心の宇宙を讃えます。自然の生業と人間の生業の交差を、豊かな感受性で詩に託しています。
繊細な感受性で灯される命の詩は、子どもたちから大人まで、心地よく心に響きますね。

2022/05/01

谷川俊太郎詩集と同時購入。
だからではないけど、女性的な文章表現が印象的だった。　

「〜なの」とか「〜ないわ」とかの言葉が柔らかくて優しい。読みやすかった。

2020/03/21

「土」
こっつん　こっつん
打たれる土は
よい畠になって
よい麦を生むよ。

朝から晩まで
踏まれる土は
よい路になって
車を通すよ。

打たれぬ土は
踏まれぬ土は
要らない土か。

いえいえそれは
名のない草の
お宿をするよ。

本作品集にはこの本を始めとして、多種多様な詩が載っています。
このように救いを与えてくれるものもあれば、
物や生き物を人と同等に扱い、心を痛める内容も。
いずれも親しみやすさと温かみがある素敵な詩たちです。

そんな金子みすゞさんは26歳の時に自殺により早逝されています。
この豊かな感性を文学界に迎え入れられていたにも関わらず。

それは、当時の時代ではありますが。
当人の意向を無視した政略結婚のような結婚でろくでもない男の元に嫁いだのが原因です。

その結婚がきっかけで筆を置くことになるのですが、
それでもその後生まれた娘に愛情を注ぎ、生きていました。
ひどい夫にされた横暴に心身共に傷つき、離婚を切り出します。
しかし弱い立場ゆえ、娘の親権問題でもめます。
娘を守るには自分が死ぬしかないと、決め金子みすゞは自死を選びました。

これほど美しい感性と心を持った人物を死に追いやるとは。。
現代社会は一昔前に比べたら、人生も生き方も自分で選ぶことができます。

それは時々、人を惑わせ悩ませるものではありますが
それでも人が自分で自分の生き方を選べる社会がいいと改めて思います。