からくりサーカス(完全版)(14) サンデーCSP

藤田和日郎(著者)

• 販売会社／発売会社: 小学館
• 発売年月日: 2019/03/18
• JAN: 9784091288905

商品レビュー

2025/06/10

からくりサーカス完全版第14巻。
14巻は、サーカス編最終幕開幕。勝始まりの地へ。記憶ダウンロード。正ニと貞義と勝。そして正ニの記憶を辿る旅へ。

14巻で一番好きなセリフは「永久に死なぬ身ならば、あなた様は何をなさるでありんすか？」で始まるアンジェリーナと正ニの会話。
どちらも、自分の人生の長さに諦めを覚えている二人。しかし、生命への向き合い方は全く違う。短い人生の中でできうることをする、という正ニ。長い人生に倦み、心臓が動いているだけの人形だったアンジェリーナ。
絶望に伏していたアンジェリーナにとって、一筋の光。
諦念に負けじに生きていた正ニにとっても、光でありました。

ただ、この光が希望が誰かにとっては闇で絶望というのが、この先に待ち受けているのです。なぜに幸福にしてやれないものかな。

勝の父親の貞義。彼の得体のしれなさが見え始めたのは、記憶の旅に出る前の展開でした。白銀と正ニ郎の出会いと別れ、アンジェリーナと正ニの出会いと、物語の核心に触れる旅路が続くので、忘れてしまうのですが、読み返すと気持ち悪さというか悍ましさというか、とにかく気持ちが悪いのですよ。
グリュポンの存在の大きさ。勝＝貞義と決めつけているので、忠義心の強さゆえに完全なる味方でいてくれるのが、安心感あります。小さい体で一生懸命なところがイズナっぽいです。