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歌集 海蛇と珊瑚
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 角川文化振興財団/KADOKAWA |
発売年月日 | 2018/12/01 |
JAN | 9784048764162 |
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歌集 海蛇と珊瑚
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第58回角川短歌賞を史上最高得票で受賞した著者の第一歌集だそうです。 タイトルの『海蛇と珊瑚』というのは ○絶望があかるさを産み落とすまでわれ海蛇となり珊瑚咬む からとったものだと思います。 この人は怒っている。 激情しているのかと思った歌もありました。 恐い真実に気が付い...
第58回角川短歌賞を史上最高得票で受賞した著者の第一歌集だそうです。 タイトルの『海蛇と珊瑚』というのは ○絶望があかるさを産み落とすまでわれ海蛇となり珊瑚咬む からとったものだと思います。 この人は怒っている。 激情しているのかと思った歌もありました。 恐い真実に気が付いている人だとも、意地悪な人だとも思いました。 ちょっと面白い人だと思う歌もありました。 著者あとがきで雑然と種々のジャンルの連作が並ぶ結果となったとおっしゃっています。 解説の永田和宏さんが白眉だとおっしゃっている歌は ○傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出でゆく で、無意味の持つ意味を深く自覚しているとおっしゃっています。 私も、意味はわからなかったけれど(ないのかもしれません)いいと思った比較的穏やかな歌を以下に挙げます。 ○うつくしく傘を折りたたむひととして雨のさくらの樹の下にゐる ○ひとりきりなんだよ空はうつむいて歩いてゐるよそれぐらゐ分かる ○電車から駅へとわたる一瞬にうすきひかりとして雨は降る ○営みのあひまあひまに咲くことの美しかりき夕ぐれは花 ○咲き終はるまでを誰にもみられれずにゐたんだね花。それが愛しい ○春の雨、庭をわたしを過ぎながらなんてきれいな足あとだろう ○あなたの落としたのは雨の林ですか ほんたうの愛なんてないしそれでいい ○誰も知らない世界のなかで咲いて死ぬきれいな花は空とひとしい ○夕焼けはずどんと暮れてわが手もと刃にて檸檬ゆ檸檬を剝ぎぬ ○するどかったね、一日一日が。そしてそのなかにまつすぐ降る春の陽が ○何にいのればやさしきいのち桜花まだぎこちなく咲きしまりつつ ○いつか死ぬ僕が野菜に咲いた花をなでてゐる雨よりも静かに
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すごかった。冒頭の『花と雨』50首に特に驚かされた。 . 傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出でゆく きらきらと波をはこんでゐた川がひかりを落とし橋をくぐりぬ . 一見淡々とした自然描写のようにも思えたけど、 「一瞬ひとはうつむいて」その動作を、そもそも詠む...
すごかった。冒頭の『花と雨』50首に特に驚かされた。 . 傘をさす一瞬ひとはうつむいて雪にあかるき街へ出でゆく きらきらと波をはこんでゐた川がひかりを落とし橋をくぐりぬ . 一見淡々とした自然描写のようにも思えたけど、 「一瞬ひとはうつむいて」その動作を、そもそも詠むということ。その表現に連れ去られるような感覚。 雪が、「あかるい」という見方。 ひかりを「落とし」という表現も、普通はしない。けど、そう言ったときのしっくり感、抒情。 旧かなづかいに普通感じる硬さというか、形式ばった印象がまったくない。 . 川の面にあさくさしこむ俄雨さしこまれながらわづか流るる 話はじめが静かなひととゐたりけりあさがほの裏(り)のあはきあをいろ . 短歌は本来声に出して詠むもので、そうしたときの心地よさ、滑らかさがある歌が多い。 かわ→あさく→さし→にわかあめ→ながら→わづか→ながるる、と「あ」の音が多くて、気持ちがいい。(次のうたも、あああ→いいい→あああ、みたいな) この人にはおそらく、ある言葉が、次に続く言葉を引き寄せる、というか「歌に詠まれる」みたいな感覚があって、歌を途中でぶつぎりにしたような飛躍が一見ないように思えて、実はイメージが広がりまくってる。みたいな歌が多かったのもそのおかげだと思う。 こんなに"綺麗"と素直に思える連作は初めて読んだ。 (※歌集の後半に行くにつれて、生まれ変わるみたいに違うテイストの歌を作りまくってるのも生命力あふれてて面白い。)
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ワクワクしながら読んだ。 月の下に馬頭琴弾くひとの絵をめくりぬ空の部分にふれて 枯れたからもう捨てたけど魔王つて名前をつけてゐた花だつた 静かな美しさが広がるものから、若者ノリのようなものが感じられるものまでいろいろ読めてなんとなく安心感がある。 「正義」とふ青銅の瓶のや...
ワクワクしながら読んだ。 月の下に馬頭琴弾くひとの絵をめくりぬ空の部分にふれて 枯れたからもう捨てたけど魔王つて名前をつけてゐた花だつた 静かな美しさが広がるものから、若者ノリのようなものが感じられるものまでいろいろ読めてなんとなく安心感がある。 「正義」とふ青銅の瓶のやうなことば使ひ方は斯うだ叩き付けてつかふ 攻撃的な姿勢のようなものを短歌から感じられることは希薄なので、上記のような短歌が読めるのが特にうれしかった。
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