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アラス戦線へ 復刻版 第一次世界大戦の日本人カナダ義勇兵
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アラス戦線へ 復刻版 第一次世界大戦の日本人カナダ義勇兵

諸岡幸麿(著者), 大橋尚泰

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アラス戦線へ 復刻版 第一次世界大戦の日本人カナダ義勇兵

定価 ¥4,290

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 えにし書房/トランスビュー
発売年月日 2018/12/28
JAN 9784908073625

アラス戦線へ 復刻版

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2021/11/14

家系図にいる人物が登場する事を知り、読み始めた本書「アラス戦線へ」。 同じように先祖の足跡を辿る人、第一次世界大戦を調べている人の役に立てればと、思い切ってレビューする。歴史や文章の専門家ではなく本好きの一般人の感想の為、拙い部分はご容赦を…。 本書のハイライトは、西暦1917年...

家系図にいる人物が登場する事を知り、読み始めた本書「アラス戦線へ」。 同じように先祖の足跡を辿る人、第一次世界大戦を調べている人の役に立てればと、思い切ってレビューする。歴史や文章の専門家ではなく本好きの一般人の感想の為、拙い部分はご容赦を…。 本書のハイライトは、西暦1917年、大正6年頃のヨーロッパ西部戦線。日本人でありながら、当時イギリス領だったカナダ移民として、義勇兵団に参加した約200人の内の1人、諸岡幸麿の回顧録だ。 2018年、えにし書房より復刻版として発行された本書の初版は、西暦1934年、昭和9年。 復刻版とはどういうことか分からず読み始めたが、当時の印刷…活版印刷だろうか?そのまま製本されており、読了まで1ヶ月もかかってしまった。旧字旧仮名遣いというだけではなく、文字が掠れて左右にブレもあり、誤植も多く読んでいていちいち目が止まってしまう。 内容と関係のない読む際の難易度の高さを除いてレビューすると、100年前のドキュメンタリーとして非常に面白く、ユーモアある親戚のお爺さんの話を聞いているような気持ちで読めた。 紅茶や煙草などの日常的な様子、義勇兵に参加した心情、機関銃や塹壕など戦場の様子等々、興味深い点はたくさんある。現代ではこれはどうなっているんだろう?などと考えながら読んだ。私は詳しくない為ここで語れないが、軍服や兵器の詳細な説明は、好きな人にはたまらない資料ではないだろうか。 時として詩的な風景や心情の描写があったり、あくまで品良くレディとの会話を楽しんでいたり、緩急ある文章で楽しませてもらったが、特に戦場の場面では、凄惨で血と泥と硝煙の香りが漂ってくるような描写に引き込まれた。 大袈裟に描写している訳ではないので、グロさは感じない。塹壕内の蚤や鼠の話や、犬猫の話などは、なかなか想像だけでは書けないリアルな話ではないだろうか。逆に複葉機の決闘シーンは、映画のワンシーンかと思うような格好よくワクワクする話だった。しかし著者はそのパイロットではなく、一歩兵の立場で地上から眺めているというのがまたリアリティがあり面白い所だ。 また本書では、約130ページに渡って新たに解説が書かれており、これまで他書で引用されてきたヴィミリッジ戦において、「実は諸岡はヴィミリッジの攻撃には参加しておらず」という衝撃の真実が明かされている。 解説は著者に好意的で、この創作についても丁寧に説明がある。昭和的に言ってずっこけそうになったオチだが、ここまで読んできて著者に親近感を感じていた私も納得の解説で、まるでミステリーを読んでいたかのように楽しませてもらった。 カナダ日本人義勇兵団の事を調べるにあたり、本書の他に数冊の本を読んだ。 「黄色い兵士達 第一次大戦日系カナダ義勇兵の記録」工藤美代子著 「日本捕虜志」上下巻 長谷川伸著 これらはバーコードがない古い本で、それぞれ感想を書きたかったが検索しても出て来なかった為、ここに記載だけしておく。 そして、もしも私のように先祖の足跡を辿る人がたら、是非カナダ国立図書館「Library and Archives Canada」を検索してみて欲しい。なんと、当時義勇兵たちがその手で書いたであろう宣誓書をはじめとした書類が閲覧できるのだ。 図書館検索後が少々大変だが、Discover the Collection →Military Heritage →First World War →Personnel Records of the First World War、まで進み著者のMorookaと入力してみると…何とスキャンされた書類が出てくる…! 私は本書に載っていた人物を片っ端から検索してしまった。100年前の書類がこのような形で残っているなんて感動だ。 また、ヴィミリッジの戦いはカナダにとって歴史的に重要な戦いであった為、現在は戦場となったフランスの地に記念館が建っている。 100年前当時何日もかけて海を渡った遠き異国の地も、現代ではグーグルマップで一瞬で見ることができる。 「Canadian National Vimy Memorial」を検索してみて欲しい。 この美しい地が本書に書かれたあの戦場だったとは、不思議な気さえする。 しかし、記念館には塹壕の跡や地雷原が残されており、アラス戦線はここだったのだという事実を突き付けてくる。 ノンフィクションが好きで様々読んだが、こんなに本の周囲を調べたのは初めてだった。 人間一人一人に歴史があるんだという事、それが失われて行く事への焦りと悲しみを感じる。 未来へ向かうには、記憶や記録が失われていくのも仕方のない事なのだろうか。本当に色々考えさせられた。

Posted by ブクログ