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天下一の軽口男 幻冬舎時代小説文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 幻冬舎 |
発売年月日 | 2018/12/06 |
JAN | 9784344428201 |
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天下一の軽口男
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商品レビュー
4.2
12件のお客様レビュー
ちょっと話が出来すぎな感じもするけど、垣根のない笑いはいいもんだな、と読んでいて清々しい。 人の足を引っ張ろうと策を巡らす輩は不愉快。でも人を見下し力で押さえつける奴はもっと嫌だと思った。 師弟でありライバルであり、しのぎを削って技を磨く関係が良い。 でも私は石川さんもけっこう好...
ちょっと話が出来すぎな感じもするけど、垣根のない笑いはいいもんだな、と読んでいて清々しい。 人の足を引っ張ろうと策を巡らす輩は不愉快。でも人を見下し力で押さえつける奴はもっと嫌だと思った。 師弟でありライバルであり、しのぎを削って技を磨く関係が良い。 でも私は石川さんもけっこう好き。 後進を育てるのは大事やね。 そうして現代までお笑い文化が成長してきたし、この先も笑いは求められてゆくのだろう。 肩の力抜いて、柔らかく笑いたい。 いくたまさんの彦八まつり、5年ぶりに開催されたらしい。知らんかった〜。来年はぜひ行きたい。
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紐解き始めて、直ぐに頁を繰る手が停められなくなり、素早く読了に至った一冊である。 長い江戸時代の前半側、未だ17世紀である、将軍の代で言えば4代目、5代目というような時代を背景にしている物語だ。所謂「上方落語」の元祖というような人物と伝わる米沢彦八を主人公とする物語だ。 現在では...
紐解き始めて、直ぐに頁を繰る手が停められなくなり、素早く読了に至った一冊である。 長い江戸時代の前半側、未だ17世紀である、将軍の代で言えば4代目、5代目というような時代を背景にしている物語だ。所謂「上方落語」の元祖というような人物と伝わる米沢彦八を主人公とする物語だ。 現在では所謂「お笑い」というのは、何やら間口が広いエンターテインメントということになるのかもしれない。かなり古くから諧謔というのか、笑いを誘うような表現は在ったかもしれない。が、「人々の御愉しみ」ということで誰かが何かを演じて、それを観る、聴くで笑うというような現在の「お笑い」にも通じる営為が起り、発展したのは江戸時代と考えられる。その「お笑い」の草創期に活躍したと伝わる人物の物語が本作である。 「誰かが何かを演じて、それを観る、聴くで笑う」というような芸が、確立している、認知されているとも言い悪いような時期に、米沢屋の彦八はそういうことをして身を立てたいというようなことを夢見る。近所の色々な人達の物真似をして、考えた笑える話しを演じて披露する場を勝手に設けて、幼馴染の女の子と一緒にその場を取り仕切ってというような少年時代を過ごす。そして長じて、勃興する「お笑い」の世界に身を投じて、様々な経過が在る。そういう経過を辿るのが本作の物語である。 本作の物語そのものが、名古屋に設けられたという、現在の常設の寄席に相当するような場所で、或る男が「米沢彦八なる人物」を語っているという様子を間に挟みながら進んでいて、何処となく「古典落語の内容を小説化」という風情も漂う。 大坂から江戸に出て、色々と在って大坂に戻り、そこで名を成す米沢彦八の経過だが、「江戸時代の或る男の物語」の体裁ながらも「何時の時代にも在るかもしれない」というような普遍性を帯びているような気もした。成功しそうな者が出てくれば、足を引っ張るような謀を巡らせるような者も現れるというのは、時代や場所を問わず在りそうだ。そういう中で、成功しそうな何かが必ずしも成功しない場合も在ろうが、曲折を経て成功する場合も在る。本作を読み、愉しみながらも考えさせられた。 「大阪に所縁の内容である文庫本」で「御薦め!」を大阪の書店関係業界の皆さんから成る選考委員会で択んで推薦しようという<大阪ほんま本大賞>という賞のことを知り、過去の受賞作品の紹介に触れた。そういう中で、所謂「上方落語」の元祖というような人物と伝わる米沢彦八の物語というのに強く惹かれた。作品を愉しんだ後に、最近幾つかの作品を愉しんだ作者の作品と知ることになった。そこが少し興味深い。 「時代モノ」ということになると、「何やら面倒な…」と思われてしまうかもしれないが、本作に関しては断じてそういうことはない。大阪の難波が、未だ畑が沢山在る村だった頃、道頓堀が竣工して水運に利用されるようになっていた頃、現在で言う「お笑い」を志した男が在って、幼馴染の女の子の最高の笑う顔を観たいというだけの理由で色々と奮戦するという物語が本作である。「時代モノ」の体裁でいて、その枠を大きく食み出している。大阪が舞台の青春モノ、サクセスストーリーだ。凄く面白い!!
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上方落語の祖・米沢彦八を主人公に描いた小説。 江戸で裏切りや盗作騒動などで挫折を味わい、二度と辻噺はしないと大坂へ戻ってきた彦八が たまたま足を踏み入れた生玉さんで舞台に上がり、人のいない客席を見ながら、「もし、ここに客が入れば、どんな光景がひろがるんやろか。」と想像し、再び辻噺...
上方落語の祖・米沢彦八を主人公に描いた小説。 江戸で裏切りや盗作騒動などで挫折を味わい、二度と辻噺はしないと大坂へ戻ってきた彦八が たまたま足を踏み入れた生玉さんで舞台に上がり、人のいない客席を見ながら、「もし、ここに客が入れば、どんな光景がひろがるんやろか。」と想像し、再び辻噺をする決意をする場面では、応援したくなると同時にうるっときました。 頭も悪い、喧嘩も弱いのに問題ばかりおこす筋金入りのぼんくらやけど、老若男女どんな人をも区別せず全ての民を笑わせるために一生をなげうった彦八の姿には心動かされた。 安楽庵策伝の「わしはな、笑いで人を救いたいんや。日々の暮らしに疲れた民の顔に、ほんの一時かもしれへんけど、笑いという花を咲かせたい。そうすることで苦しみや痛みを、しばし忘れてもらうんや」という思いそのままに生きた人だったんだなぁ。 コロナがおさまり、生玉さんでの彦八まつりが復活したら是非行ってみたいし、上方落語がもっともっと繁盛したらいいなと思いました。
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