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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2018/12/05 |
JAN | 9784152098207 |
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商品レビュー
4.3
11件のお客様レビュー
本の裏表紙にあるㇲトラウトの写真~自信に満ち溢れたアメリカ女性の素敵な笑みだ。 これだけの作品を、クリーンヒットさせて行くポテンシャルで輝いている。 最初に読んだ「私の名前は・・」で母との数日間の語らいを読んでいつつ、?だった背景が見えてくる一冊。 次々と糸が手繰り寄せられ頁を...
本の裏表紙にあるㇲトラウトの写真~自信に満ち溢れたアメリカ女性の素敵な笑みだ。 これだけの作品を、クリーンヒットさせて行くポテンシャルで輝いている。 最初に読んだ「私の名前は・・」で母との数日間の語らいを読んでいつつ、?だった背景が見えてくる一冊。 次々と糸が手繰り寄せられ頁を捲る手は止まらない。 米国という広大な連邦から見たらせまーいアムギャバンというエリアでのもろもろ。。。 読み終えた後で10枚のメモにぎっしりの「気づき☆」 ちょっとしたことでも使われる表現の多彩さ・・ともするとボギャ貧になっていく私の年齢にとって、或る意味啓蒙書ともいえる読書ができるというモノ。 人に親切にされなかったという事がないトミ―・ビート・パティ・と夫のセバスチャン~いじめだのホモだの息子が15の時若い娘を殺して庭に埋めたの・・イヴォンヌ曰く「人生なんてこんなもの」~嘘やん!こんなもんであるもんかと突っ込んだしまう中盤。 「ミシシッピ・メアリ」でも語られる~年老いて若い男と伊に渡る母?! ここで語られる米の流儀:インディアンを殺してきた歴史当然でないが、人間は止まらない。とにかく動いている。ちらつく母の思い出・・巧みな文章は読んでいるこちらがジオラマでストーリー動画を見ている気分になる。 面白かった「ドティの宿屋」スモール夫妻って名は笑えるけど、デブでスノッブの旦那より、生きてきた世界の狭さから了見の貧しい妻の在り様が面白い。 ここで感じるのは日本だけじゃない「各地の格差」 東部人は勝手に話を続けるが中西人は遠慮がない奴にはブブーとかね。 妻が語った「ベトナム先々従軍時の夫の同僚に起きた不倫話」に出てくるのがアニー・・あのアプルビー。 尊大な夫との「夜の営み」の描写が笑えて。。。さらに翌日の退去時のデブ夫のわめきがリアル 考えさせられた最終話 広大なジャガイモ地帯・・「閉じた本」の様な読めない男エルジン・アプルビー ここでも「五十雀の様な」アニー?どんな雰囲気と悩む。 兄ジェイミー・妹シンディ・そしてアニー・・フランス系っぽいって‥どんなん?と又はてな。 自分たちだけが大揺れ感を持つ家族、皮が一枚ピンと張って家族を包んでいたという表現が凄く解る。 語る祖母の目は「見開いたまま閉じ亡くなった様な」・・これも目に見えるよう。 善良・責任感という「一つの」生きていく上での資質を大事に抱えてきただけで危機にさらすほどには情熱がないで締めくくられている。 祖母が語った「結婚しないように、子を持たないように・・心が痛くなるだけだから」で締めくくる余韻はちょっと心に沈んだね。
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幸せな家庭も、不幸せな家庭も、はたから上っ面を見ても分からない。だから人の人生を羨むことも、比べることも意味などない。 まさにその通りなのだが、私の大事な人生だって同じことだよ、いいことなんて続きもしないし、辛く惨めな傷と記憶を抱え込んで、尽きることのない不安と苦労を受け止めて...
幸せな家庭も、不幸せな家庭も、はたから上っ面を見ても分からない。だから人の人生を羨むことも、比べることも意味などない。 まさにその通りなのだが、私の大事な人生だって同じことだよ、いいことなんて続きもしないし、辛く惨めな傷と記憶を抱え込んで、尽きることのない不安と苦労を受け止めていくのが人生だよ、みんな同じさ。この残酷ともいえる真実を達観したかのように受け止めて、人生なんてそんなもん、とうそぶく境地には、僕はまだ少々至れない。 本書では、短編ごとの登場人物が己と誰かを語り、また語られ、あちこちに顔を出す。そうやって多面的に描かれて一つの像を結ぶのかというと、そうではない。むしろ逆ではないだろうか。 これまた当たり前の話だが、人は一つの真実でできているわけではない。 昔見せてくれたふとした優しさも、誰にも曝け出せない秘密も、頭をよぎる底意地の悪い思いも、同じ人物のキャラクターだ。本書からは、そのことをまざまざと感じる。 エリザベス・ストラウトは、重荷を背負いながら生きていく人々が垣間みせる様々な瞬間を描く。簡単に人生を肯定したり、祝福したりはしない。終わる日まで人生は進むし、それはきれいごとではない。 だが、だからこそ、人は辛いときにそっと心を温めるための何かを、もはや言った本人も忘れたような誰かの一言や、陽だまりに並んで見た景色なんかを、後生大事に抱えて生きていくのだろう。 そんな御守りなしに歩くには、人生は長すぎる。 季節が巡ると芽吹き、束の間の花期を迎える宿根草のように、ひとときの美しさを繊細に伝えててくれる。泥にまみれたような誰の人生にも、救いの瞬間はある。 エリザベス・ストラウトの本を読むと、そんなことを思う。 “彼は手を引っ込めて「そうかもしれないな」と言った。ちょっとだけ付け足すように、本当のことも言った。「愛してるよ、シャーリー」それから天井に目を向けた。一瞬、ニ舜、妻の顔を見ていられなかった。”
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ストラウトの作品の中で最も好きな小説となった。 今まで読んだ本のベスト10にも入りそう。 なんて作家なんだろう!エリザベス・ストラウト。 ストラウトを好きな全ての人と語りたい気分になるほど。 まず、「標識」がいい。 いきなり持って行かれた。 それから、「妹」。 これは、また。...
ストラウトの作品の中で最も好きな小説となった。 今まで読んだ本のベスト10にも入りそう。 なんて作家なんだろう!エリザベス・ストラウト。 ストラウトを好きな全ての人と語りたい気分になるほど。 まず、「標識」がいい。 いきなり持って行かれた。 それから、「妹」。 これは、また。 口紅をしたヴィッキー…。 ルーシー・バートンとその兄姉は、いわゆる「虐待」を受けていた兄妹なのだった。(3冊のルーシー本の中で、これを最後に読んだのだけれど)その影はずっとルーシーを語る上で欠かせないものではあった。でもそれをルーシーはとうに乗り越えて今の自分がいるわけで、具体的にどんなことが過去にあったのか、この本でようやく明らかになるのだ。 「虐待」と言っても、本人たちにはその自覚があるわけではなく、もちろん両親にもそんな自覚は無かっただろう。ただ、みんなが毎日を必死に生きてきただけだ。 いい思い出ももちろんあるし、親に愛情がないわけでもない。愛し方がわからないだけ、とも言えるだろう。 ただ、貧困と過剰な躾とネグレクトのようなものがあったということだ。今の言葉で、それは「虐待」と名付けられるものが。 それを自分の中に含み込んで三人はそれぞれの人生を生きてきた。 そうなのだ。三人はそれぞれ、過去を処理しながら今の自分になっていったのだ。 それらが出会う「妹」の掌編は、この小説の中で最も重要な一編だ。 そして、さらに大事なことは、そんな家族はどこにでもいる、ということだ。 ルーシーと少しでも関わった人々の人生の一片が語られる他の掌編で、彼ら彼女らが決して脇枠ではないことを読者は知ることとなる。 ルーシーと同じだけの重さを持つ人生を彼ら彼女らは歩んでいる。 要するに、世界はそういうもので重層的にできているということだ。 ストラウトの小説が我々をつかんで胸を揺さぶるのは、その切なさをる途方もなさを感じさせるからだ。 どんどん好きになる作家だ。
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