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その雪と血を ハヤカワ文庫HM
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その雪と血を ハヤカワ文庫HM

ジョー・ネスボ(著者), 鈴木恵(訳者)

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その雪と血を ハヤカワ文庫HM

定価 ¥880

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房
発売年月日 2018/11/21
JAN 9784151837012

その雪と血を

¥330

商品レビュー

3.9

13件のお客様レビュー

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2024/11/16

中学、高校時代に読んでいたらもっとドハマリして大好きになった作品だろうなと思った。 クリスマスを感じたくて冬の作品をと読んでみたけど、自分の中にあるクリスマス感とは真逆の、でもクリスマスの季節の寒さ寂しさを感じさせてくれる本だった。 自分の願望によって作られた話と実際の話、また別...

中学、高校時代に読んでいたらもっとドハマリして大好きになった作品だろうなと思った。 クリスマスを感じたくて冬の作品をと読んでみたけど、自分の中にあるクリスマス感とは真逆の、でもクリスマスの季節の寒さ寂しさを感じさせてくれる本だった。 自分の願望によって作られた話と実際の話、また別の人の願望の話、色んな視点から書かれていたけど実際この主人公は本当に色んなことを考えて賢い人間なんだと、それをそういう風に書けるのがすごいと思った。 「信用できないことほど孤独なことがあるだろうか」 「この物語はもうこれ以上素晴らしくできない」

Posted by ブクログ

2024/10/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

非常に切ない物語。 「暴力」から逃げたくて、父親を反面教師に生きてきたけれど、破壊しか才のない主人公は結局暴力に1番近いところで過去にがんじがらめにされ空回りして生きている。暴力を憎む彼自身が本人も無自覚な暴力の服従者である事実を愛する人に暴露され、長い間苦しんできた憎悪や決意などがその一言でガラガラと崩壊する様は読んでいて苦しくて息が詰まった。 彼の本心を知って読み返すとコリナを好きになった理由もまた違って見える気がする。惚れっぽい彼がコリナの美貌に一目惚れしたのも事実だろうが、彼の奥底で燻る暴力への欲求が「暴力を振るわれる」彼女を求めたのではないか。これはマリアの場合も同様だと思う。 暴力を受ける彼女らに母親を重ね、暴力に憤る一方で、父親の殺生与奪の権を握った高揚感や、善意を当事者から否定される痛みは彼の心に焼き付き忘れる事などできず、彼自身の意思がどうであるかは関係なく暴力は彼を構成するいち要素なのだ。 父親との血の繋がりを自覚した事も、初めての殺しも、母親の言葉も、合格通知書を破り裂いた時の絶望も、自分という存在に対する諦念も、積み重なった小さな出来事が長い年月をかけ彼の心をすり減らして彼はもうボロボロだったのだと思う。マリアへの想いに向き合えていたならば、そこが人生の分岐点になったのだろうがその覚悟と勇気を振り絞るには彼は傷つきすぎていた。 オーラヴの最期が幸せだった事がせめてもの救いだが、彼の空想であると気付いていることがまた切ない。空想上でも救済されて良かったという気持ちと、救いない現実への遣る瀬なさが一層際立つ。 決してハッピーな作品ではないけれど、悲劇ともバッドエンドとも言い難く、雪の白と静寂が非常に美しい作品だった。”blood on snow”を「その雪と血を」と訳すセンスよ……。

Posted by ブクログ

2024/09/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

北欧ノルウェーの作家、ジョー・ネスポのノワール。とても面白かったです。 殺し屋のオーラブ、美しき毒婦コリナ、聾唖で足の悪い売春婦マリアの織りなす物語。 舞台は1977年のオスロ。麻薬を扱うホフマンの始末屋として過ごしてきたオーラブ。彼はある日、ホフマンより命令を受ける。ホフマンの妻コリナを殺せと。オーラブはコリナの近辺に探りをいれるが、一眼見ただけで恋に落ちる。そして日常的にコリナをレイプしていた男を殺してしまう。それはホフマンの息子ベンヤミンであった。 ホフマンより追われる立場となるオーラブ。コリナを攫った彼は、ホフマンの敵対組織の長である“漁師”を味方につけることに成功する。また、コリナと結ばれて彼女に尽くすようになる。 策を練り、ベンヤミンの遺体が安置されている教会で、ホフマンを襲撃し、ホフマンを撃つことに成功するオーラブ。 しかし、その帰路に漁師の部下のデンマーク人に撃たれてしまう。漁師は一度裏切った人間をゆるさ。また、コリナの裏切りにより、漁師にその所在がばれてしまう。コリナは度重なる男性からの扱いにより、その愛を信じられなくなっていた。 …傷ついた身体で車を運転するオーラブ。 彼はマリアの働く店に車を走らせていた。彼の傷に気づくマリア。ずっと前に書き、渡せていなかった手紙をマリアに渡すオーラブ。 しかしそれさえも夢だった。オーラブは既に息絶えており、遺骸を翌朝見つけるマリア。彼からの手紙を拾う。彼女はそれが落ちていた場所を見つめる。 その雪と血を。 男女が全てを捨てて得ようとした愛は手に入らない。必ず美しも悲劇的な終わりを迎える。雪に血が落ちるように、儚く脆く消えていく。 ノワールながらロマンチックな一作です。

Posted by ブクログ