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「雑」の思想 世界の複雑さを愛するために
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 大月書店 |
発売年月日 | 2018/11/19 |
JAN | 9784272431021 |
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「雑」の思想
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商品レビュー
4.4
5件のお客様レビュー
「弱さの思想」に続き読了。これも良かった。 私たちは、摩擦の無い、快適な、効率的な世界を求めるあまりに、いつの間にか均質的で、味気のない、貧しい日常を過ごすようになってしまったのではないか。効率化や均質化はグローバリゼーションによる「強さ」の産物であり一種の「還元主義」とも言える...
「弱さの思想」に続き読了。これも良かった。 私たちは、摩擦の無い、快適な、効率的な世界を求めるあまりに、いつの間にか均質的で、味気のない、貧しい日常を過ごすようになってしまったのではないか。効率化や均質化はグローバリゼーションによる「強さ」の産物であり一種の「還元主義」とも言えるが、本書ではそのオルタナティブとしての「雑」を探しながら対談が進んでいく。相模原事件と社会の洗脳、神社合祀による管理・合理化とエコロジー、自由闊達な寺子屋と紋切り型の現代教育、代議制民主主義と思考停止、都市化・行動主義の進行と名目上の地方創生、ファシリテーションと余白の消失、デザインと自治、定量化された個体と名前をもつ一人ひとりの人生、系譜的なアートとマージナルなアート、近視眼的な効率性とサステナブルな非効率など、今回も複眼的な観点によって議論が進む。いや、これらは便宜的な切り口にすぎず、そもそも二項対立で括れる議論では無い。このなんだかよくわからない世界と現実を「雑」をありのままに受け止めるネガティヴ・ケイパビリティが重要なのだ。色即是空、空即是色...? ポランニーが警鐘を鳴らしたように、過度な「市場交換」の加速に歯止めをかけるには「再分配」と「互酬性」に再び光を当てる必要がある。一方で、それはマルセル・モース的な「贈与」じゃなくても良く、時には自発的に、時には「イヤイヤ」だけれども何かをシェアする、そんな態度で良いと言われると肩の力が抜けてほっとする。『うしろめたさの人類学』にそのヒントがあるのは興味深い。『チョンキンマンションのボスは知っている』でも似た読後感を覚えたが、私たちは森ばかりを──いや、ビルや画面ばかりを──見ていて、目の前の木の名前も知らずに、家族のことも、自分自身でさえも見失っているのかもしれない。
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対談形式。よく使われる「雑用」という言葉。その本質に興味があり、手に取った一冊。視野が狭い状態で捉えた「雑」に、負の感情を抱いてしまいがちなのだろうか。国という単位に縛られず、大地から宇宙まで広がりを持った視野で見る「雑」はひじょうに奥が深い。(覚書:弱さ/民主主義/vs.還元主...
対談形式。よく使われる「雑用」という言葉。その本質に興味があり、手に取った一冊。視野が狭い状態で捉えた「雑」に、負の感情を抱いてしまいがちなのだろうか。国という単位に縛られず、大地から宇宙まで広がりを持った視野で見る「雑」はひじょうに奥が深い。(覚書:弱さ/民主主義/vs.還元主義/江戸/教育/コミュニティ/シェア/親鸞/南方熊楠/宮沢賢治/ローカル/限界芸術/ホリスティック/うしろめたさ)
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「雑」ってこんなにも奥深いものだったのか。 雑、というとあまり良くないイメージ。適当な…と言いかけて、いやまてよ「適当」も本来はそんなに悪いイメージじゃなかったはず、と思い直す。 雑、は効率を追い求めすぎた末に削り落としてきてしまった大切なものなのではないかと思った。 雑多な...
「雑」ってこんなにも奥深いものだったのか。 雑、というとあまり良くないイメージ。適当な…と言いかけて、いやまてよ「適当」も本来はそんなに悪いイメージじゃなかったはず、と思い直す。 雑、は効率を追い求めすぎた末に削り落としてきてしまった大切なものなのではないかと思った。 雑多ないろいろなものを包摂した素敵なもの、カラフルだったり、バラバラでない丸ごと、混ぜこぜ、generalとかtotalじゃなくてwhole。 民主主義って、みんなの意見が違うことをそのまま受け入れること、スパッと結論を出すんじゃなくて、そういう意見もあるよねーとずっとうだうだ喋って、その喋っている状態を続けるというか、その過程で生まれるものを大切にするというか、なるべく「決めない」。これもあれだ、宮本常一の本に出てきた村の寄り合いみたいなものじゃないのかな。 雑、はいいなあ。 ちょっと「昭和残俠伝」も思い出したり。
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