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アジア沈殿 旅日記 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2018/11/08 |
JAN | 9784480435552 |
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アジア沈殿 旅日記
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商品レビュー
4
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※このレビューにはネタバレを含みます
いつものタマキングの旅行記とは語り口調も趣もだいぶ異なる本著。著者の他の著作と同じ雰囲気を期待して読むと肩透かしにあうが、本著のような文体もまた新鮮。 相変わらず、身軽にするっと旅行に出かけるタマキング。旅そのものについてあれこれ悩んだ挙句、「私には、もっともっと本格的でない旅が必要だ」という結論に至り、それを憚らず公言でき実行できるのが、タマキングのタマキングたる所以である。だからこそ、この人の著作に触れてその魅力に引き込まれた人は、なんだかよく分からないままに次々とタマキングの本を読んでいくことになる。 普段の「真面目にふざけて軽妙に語る」書きぶりではないため、読んでいてケラケラ笑えるところはあまりない。むしろ、真剣に受け止めたい考え方も出てくる。 たとえば、旅にボロボロの文庫本を1冊携えていくことについて、「ボロボロの文庫本が、旅の会話帳になり、メモ帳になり、日記帳になる。普通なら大好きな本を汚したくないと思いそうなものだが、文庫本なら気にすることはない。汚れが気になったらまた買えばいい。今では、大好きな本だからこそ、いろいろ書き込みたいと思うようになった。そうすることで旅が文庫本に練りこまれていく。旅と文庫本の一対一対応の関係が重ねられていく。あのときの旅は、この文庫本。旅を象徴するボロボロの文庫本。それはもう旅の化身である」などといった、本が好きな同類として考えさせられるようなことが書かれていたりする。 ただ、この直後に「ここで、同じようなやり方で本を利用したいという読者のために、少しばかり余白を用意しておいた。ささやかな心遣いである」と書いて本当に半ページ分ぐらい、ブランクスペースを空けてくるあたり、急転して「普段のタマキング」である。こういう落差がこの人の二面性を表していて、おもしろい。 このほか、終盤では旅の移動について「移動というのは、目的地と目的地をつなぐ、植物で言えば茎か枝のような存在で、それ自体が旅の目的ではないから、ともすれば昨日のコタバル滞在のように、そのうち記憶から抹消されても仕方ない要素のように思えるが、現実には、旅における重要なパーツの一つである。茎や枝は、単なるつなぎではなく、植物の形を支える構造体なのだ。(中略)つまり旅にまつわる面倒くさいさまざまな雑事がすべて棚上げにされ、自分はただ座っていられて、景色は面白く、荷物は肩に重くなく、それでいて時間を無駄にしていないという、旅のいいところだけを抽出したものが、移動なのである」といった主張があって、これはこれでスッと納得できる。実際、旅先での出来事よりも移動中のちょっとしたエピソード(特に辛かった経験や何かしらのトラブルなど)のほうが鮮烈に記憶に残っているということはよくある。 著者自身が旅先で出会った不思議な出来事や理不尽なオブジェなどを楽しむというタマキングの他の著作とは異なり、この本では旅そのものについて考えたり、面白がったりすることができる。そういう楽しみ方のできる本は多くない。
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私は、もう10年近く前から宮田珠己氏のファンです。誰も注目しないようなところに注目したり、石やウミウシや盆栽に焦点をあてたり、ジェットコースターに乗りまくったり
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読み始めて抱く違和感。それは文庫版あとがきで明らかにされる。恐らく精神的なものと思われる不明な痛み「ペリー」と闘うために休暇旅行という仕事に出かける著者。台湾などのアジア、そして熊本の紀行文のクライマックスに表現される異世界は、『スットコランド日記』で著者がユーモア旅行記の裏に潜...
読み始めて抱く違和感。それは文庫版あとがきで明らかにされる。恐らく精神的なものと思われる不明な痛み「ペリー」と闘うために休暇旅行という仕事に出かける著者。台湾などのアジア、そして熊本の紀行文のクライマックスに表現される異世界は、『スットコランド日記』で著者がユーモア旅行記の裏に潜む著者の苦悩を知っているだけに、思わず精神の心配をしてしまった自分。私も著者と同じで、旅先でのポートレートよりも風景写真を撮りたい派。このあたりもシンパシーを感じるのだ。
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