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傾いた夜空の下で
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 青土社 |
発売年月日 | 2018/09/20 |
JAN | 9784791771035 |
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傾いた夜空の下で
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商品レビュー
4
2件のお客様レビュー
文章の構築、詩の羅列、素晴らしい言葉、どれもこれもが心の襞に染み付いて離れない。まだ読んだことがない人は是非手にとって欲しい。そんな1冊。
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[----------は引用です] この詩集は天気が悪い。 雨が降っていたり、雪が積もっていたり、なんとなくの曇天。それなのにふしぎと湿度がほとんどない。乾いていて、温度も低い。 その乾いた質感からか、夏のような、じくじくしたナマモノへの厭わしさを感じる。 -------...
[----------は引用です] この詩集は天気が悪い。 雨が降っていたり、雪が積もっていたり、なんとなくの曇天。それなのにふしぎと湿度がほとんどない。乾いていて、温度も低い。 その乾いた質感からか、夏のような、じくじくしたナマモノへの厭わしさを感じる。 ---------- 死んだ夏をホルマリンに漬けて保存しておく。思い出をたくさん食べているから、今年の夏もぶくぶく太っていて気持ちわるい。裂けた脇腹からは花火が、海が、溜まった宿題がはみ出している。夏の死顔はいつも、いつも少しだけ欠けていて、どこかしら不潔だ。九月になっても夏の、吐気だけは残りつづける。 ---------- 熟れ、生殖し、腐り、膿んでいくような夏の「吐気」が残る「あの」感じは、夏があまり好きではない (好きだけれども大手を振ってそれを是としない) 人にはこの詩はとても実感を伴うものであろう。 そして夜。ひとり夜道を歩く、空を見上げて電線を視覚に絡めとり、俯いて猫を探す。 この一冊を貫いているのは孤独、それはとても鋭いけれど尖ったナイフではなくて、ピアノ線や、鉄製のフェンスのような、なにか線状のものを想起させる。とても繊細で、それ自体が切断されてしまう恐れがあるような、鋭利な線。 ---------- ぼくのなかには だれも亡命させない 「種子」 ---------- 詩人というのは私たちが通り過ぎるものを凝視する。見続けると気が狂うことも厭わずに。 ---------- ぼくが 歩くのは辿りつくためじゃないから (…) どこにも到達しない しかし それがぼくの望み ぼくの在り方だった 「密室空間」 ---------- 辿り着くことを目的としない、それはたしかにひとつの詩人としての在り方だろう (ここでの詩人は岩倉を指さない、概念としての詩人だ、だから心に詩を持つひとすべてのことだ) 。 「留まることは、走り続けるより困難だ」と言う詩人に若さゆえの体力を感じて少し脱力してしまうが、この詩集のことばたちは日々肩を落としてひとり生きる人間に、人間たちに、寄り添いはしないが少し離れた場所で、「僕もそうだよ」と言ってくれるような気がした。
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