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金融正常化へのジレンマ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日本経済新聞出版社 |
発売年月日 | 2018/09/19 |
JAN | 9784532357870 |
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「戦前・戦時期の金融市場」「日本経済のマクロ分析」と過去の経緯を知ったうえで、金融政策として何をしてきたのか?を総合的に補完する為に本書を読みました。 結果、金本位制から脱却した「信用」に基づいた現代貨幣のなかで、中央銀行が答えのない中で様々な手を打ってきたことが歴史とマクロ観点でまとめられた良書。 下手なwebメディアで中途半端に歪められた情報をあさるくらいなら、本書を読んだ方がいいでしょう。 興味深かったのが、日銀がETF・REITや長期債券まで買ってることで、出口戦略でほぼ確定している損失をどのように補填するのか?ってとこですね。ここらへんは法制度含め明確な会計の仕方や対応方法が決まっていないことから、政府機関が大きく財政出動できない足枷になってるように感じました。ランダルレイのMMT現代貨幣理論入門では議論展開しきれていない領域が、多分にある感じでしたね。 本書の問題提起として「すでに出口戦略に舵を切ったFRB,もうじき出口戦略を始めるECB、で、日銀は?」だったのですが、コロナショックでFRBは無制限QE級な対応してしまってるので、現状を加味した新版を期待したい。 あと、自然利子率とシャドーレートの話は面白かった。 まぁ債券や中央銀行のオペレーションは相変わらず3割ぐらい理解できてませんがꉂꉂ(ˊᗜˋ*)
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アメリカは、量的緩和を利子に換算した影の利子率によると、2014年からすでに引き締めだった。 期待インフレ率が2%で長期金利を0%にできるのは、実質均衡利子率(自然利子率)が―2%の場合だけ。 スイスは1%でもデフレを防げると考えていたが、その後十分でなかったことがわかった。...
アメリカは、量的緩和を利子に換算した影の利子率によると、2014年からすでに引き締めだった。 期待インフレ率が2%で長期金利を0%にできるのは、実質均衡利子率(自然利子率)が―2%の場合だけ。 スイスは1%でもデフレを防げると考えていたが、その後十分でなかったことがわかった。1%のインフレ目標は常にデフレ圧力にさらされることになる。 日本はフィリップス曲線の傾きが小さい=失業率と物価賃金の相関性が低い。バブル時代も物価は安定していた。 日銀は、銀行が保有する株をマクロプルーデンス政策のために購入した経験がある。現在のように巨額のETFを買うことを宣言しているのは異例。 長期国債の買い入れは、YCCによって、ステルステーパリングが可能だった。ETFは出口がない。 今はTOPIX連動型のほうが多い。 株式全体に対しては日銀保有は3%程度。しかし浮動株に占める割合は70%以上になる株もある。 JREATは、都市部の地価上昇の原因になっている可能性がある。 日銀の買い入れは、後場の価格維持になっている。 物価上昇率が安定的に2%になった場合、実質金利を高めに誘導する必要がある。 金融正常化の過程で、日銀は債務超過になる可能性がある。新興国の実績では、中央銀行の債務超過は高インフレを引き起こす。チェコ、イスラエル、チリでは、緊縮財政が組まれたため大きな問題が起きなかった。 日銀相手に信用リスクは心配しないから、債務超過でも問題ないとする説もある。 日銀と政府を合わせた統合政府でみると、政府が日銀に国債金利を払い、それを納付金で還元している。 自然利子率は潜在成長率に一致する。潜在成長率は労働人口に影響されるから自然利子率は上がらないのではないか。とすると日銀は実質金利を上げなくてもいいが、物価は上昇しないのではないか。円安による輸入物価、原油の上昇以外の要因はなにか。 人口減少は、負の資本希釈化効果により、自然利子率を低下させる。労働者一人当たりの資本量が増加するので、追加資本による利益は減る=負の資本希釈化効果。
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