デジタルの未来 事業の存続をかけた変革戦略

ユルゲン・メフェルト(著者), 野中賢治(著者), 小川敏子(訳者)

• 販売会社／発売会社: 日本経済新聞出版社
• 発売年月日: 2018/08/28
• JAN: 9784532176365

商品レビュー

2023/01/08

デジタルの未来
2017年に原本（英語版）が発刊され、2018年、野中さんによって日本語訳されたもの、
コロナ禍の前に発刊され、当時を思い返すと、世界的には、北朝鮮のミサイル発射頻度が増えたり、
トランプ政権が発足されたり、マレーシア空港で、金氏の事件があったり、「テロ」を想起させる
ことも多い時期でした。日本では、電通で働きすぎた方が亡くなったり、神戸製鋼、日産自動車
などでに品質問題が発生したり、日本の「品質」が揺らぎ始めた年というイメージです。

あとがきにも掲載されていますが、野中さんが経営者と対峙した時に、当時の経営者は「デジタル化への焦燥感」を抱いている印象が強いと仰っています。この焦燥感に対しては、全組織を1年でガラッと変えるようなことではなく、組織の代謝リズムに合わせて、数年かけて結果を出す必要性をうたっています。
１．行って、見てみる（Go-and-See）
→実際にデジタルのチームがどのような動き方をしているか、どのような切り口で付加価値をつけているかを見てみるべき。
２．ビジネスリーダをCDOに
→日本企業がもっとも苦手な部門の壁を越えたコラボレーションが必要。そのためには、ビジネスリーダをCDOに添えて、全社レベルでの取り組みにすべき。
３．構想に輪郭を（継続的に）与える
→デジタル化について、Why - What - Howでの輪郭を作る。3か月に1度は、デジタル変革に構想をリフレッシュすることは重要。

何故、デジタルトランスフォーメーションが必要なのか？（Why）
ここには、期待感と危機感の同居が必要。その上で、どのアセットを利用できるか。
ビジネスモデルをどこまで変える必要があるか。現在のビジネスモデルの一部を変える？バリューチェーンにターゲットを絞って変える？大幅に変える？新しいビジネスモデルを考える？ただし、一番は、期待感をどこまで持たせるかである。

デジタルトランスフォーメーションへ向けて何をするか。（What）
新しいエコシステムを築く、ビジネス・アーキテクチャを開発する、事業基盤を
構築する。この3点。エコシステムは、ターゲットとする市場によって異なる。例えば、モビリティ、スマートホーム、政府などでも、エコシステムの構築は異なるかと思う。
ビジネス・アーキテクチャについては、①データの活用、②徹底した顧客視点、③テクノロジーの活用がポイント。ダイナミック・プライシング、デジタル・マーケティング、商品開発（開発プロセスとオープンイノベーション）、製品デザイン、サプライチェーン４．０、生産のデジタル化、オフィスのデジタル化、など、会社のあらゆるものを変えていく必要性。
事業基盤の構築は、今の組織の上に構築するか、1から作り直すか、他社を買収するか、３択。
組織を如何にアジャイルな組織に変革するかがポイントとなる。デジタルに耐えうるプロセス、人材育成、パートナーシップ。ＣＤＯの任命。サイバーセキュリティ、データ分析。これらが基盤として必要。

どうやってデジタルトランスフォーメーションを実行するか（How）
ようは、計画立てて、実行してみて、振り返って向き直るしかないということです。
その中でのポイントは、大きくとらえること（全社視点で取り組むこと）、顧客視点を貫くこと、縦割り構造を壊すこと。

2021/09/24

デジタルの未来
事業の存続をかけた変革戦略
著：ユルゲン・メフェルト
著：野中　賢治
著：アンドレ・アンドニアン
出版社：日本経済新聞出版社

良書　事業存続のための変革戦略

結論：オールド企業が生き残るためには、デジタル企業に生まれ変わるしかない
それも一刻にはやく、対象は全層、全部門を対象にだ。

Why　なぜ変わる必要があるのか
What 何を変える必要があるのか
How　どのように変える必要があるのか

・デジタル化は、創造的破壊をもたらす
・デジタル化は、あらゆる業界に普及する
　その違いは、規模と、スピード
・変化は指数的加速

・消費者行動の変化　いつでも、どこでも、どんなものでも
・ＢｔｏＢ，ＢｔｏＣが曖昧に、ＢｔｏＢは、ＢｔｏＢｔｏＣへ

企業の基礎を再構築する　⇒　全層での、大規模なデジタル化

・一刻も早く、これは死活問題である
①ビジネス・アーキテクチャーの設計
②ＩＴ基盤の強化
③ＤＸをどう管理するか

残された時間はわずか　⇒　リーダシップが求められている

テクノロジーは、急速に普及、変化する、それに応じて、顧客も急速に変化する

オムニチャネル　⇒全販売チャネルと、コミュニケーションチャネルの統合ソリューション
　①マルチチャネル戦略
　②カスタマージャーニー
　③データではなく発見
　④フレキブルなサプライチェーン
　⑤技術を用いたエコシステム
　⑥組織とオペレーションモデル

誰にどんなストーリーをかたるのか　⇒　コンテンツがすべて

ビジネスアーキテクチャーの開発

　①開発プロセスの短縮　⇒　デジタル・リーン開発
　・クラウド
　・アジャイル開発
　・データ駆動
　・ビッグデータ＆アドバンスト・アナリティクス
　・徐々に改善を加える
　・コーポレート業務の自動化・ロボット（ＲＰＡ）
　・オフィスワークを、プロセスの単純化・自動化で大改革

　②オープン・イノベーション
　・短い改善サイクル
　・リアルタイムデータの取り込み
　・プロセスのデジタル化

２スピードＩＴ
　①安定して機能し、介入への必要が最小限である堅牢なＩＴシステム
　②デジタル化の速いペースを目指す機敏で高速のＩＴシステム

変革を支える有能な人材：デジタル・ネイティブの管理
　①労働市場の大変動
　②希少な人材の獲得戦略

ＤＸ変革プランの策定
　①サブスクリプション方式による収益
　②統合
　③先手を打つ
　④連携

自社のデジタル化のレベル
　①デジタルの経験がほとんどない
　②デジタル企業からの攻撃対象となっている
　　もしくは、常にデジタル化というテーマに直面している
　③完全なデジタル企業、デジタルに必要なすべての機能を内包している

文化の転換　デジタル化を実現するための条件
　①理解を生み出す
　②秩序立った構造を作る
　③スキルを築く
　④ロールモデル

カスタマージャーニー

　横軸　認知⇒検索⇒製品紹介ページ⇒カートに入れる⇒チェックアウト⇒トランザクション⇒デリバリ⇒販売後のサービス
　縦軸：管理層　コンバージョン、ボリューム、パフォーマンス、財務

事業の全層、全体のデジタル化
　①診断・戦略・プラン　３～４週間
　②試作、デジタルコンピタンスセンター　３～１８週間
　③展開と拡大　１～２年

ISBN：9784532176365
出版社：日本経済新聞出版社
判型：4-6
ページ数：440ページ
定価：2000円（本体）
2018年08月24日　1版1刷
2018年11月13日　1版4刷

2020/08/04

法王ですらデジタル化している時代。企業が生き残るための必要条件となっているデジタル化だが、業界や企業において何をデジタル化していくのか、どう優先順位づけをしていくのかの指針を提示している。