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基地と財政 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策
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基地と財政 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策

川瀬光義(著者)

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基地と財政 沖縄に基地を押しつける「醜い」財政政策

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 自治体研究社
発売年月日 2018/07/01
JAN 9784880376820

基地と財政

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2019/05/03

米軍基地の過重負担と陰に陽に紐づけられた財政の問題について、コンパクトにまとめられた良書。 日本が負担している基地対策経費は、(1)日米地位協定に基づく義務的経費、(2)地位協定上、我が国が負担可能とされるもの、(3)地位協定上は米側が負担義務を負うが、特別協定により我が国が負...

米軍基地の過重負担と陰に陽に紐づけられた財政の問題について、コンパクトにまとめられた良書。 日本が負担している基地対策経費は、(1)日米地位協定に基づく義務的経費、(2)地位協定上、我が国が負担可能とされるもの、(3)地位協定上は米側が負担義務を負うが、特別協定により我が国が負担しているもの、の3種類に分類される。「特別協定」は1987年に始めて締結されて以来、更新が繰り返され、(3)の範囲がなし崩し的に拡大されてきた(このことを示したp26の図がよい)。 固定資産税に代わる一般財源として総務省から「国有提供施設等所在市町村助成交付金」と「施設等所在市町村調整交付金」が交付される。近年、固定資産税の総額は若干の減少傾向にあるにもかかわらず、この2つの交付金の額は増大し続けている。軍用地料についても同様のことがいえる。 基地周辺の市町村には環境整備法に基づく各種の交付金が交付される。これらの交付金の対象となる事業について、著者は「基地の存在ゆえに余儀なくされるものではなく、基地の有無にかかわらずどこの自治体でも必要」(p67)、「根拠が不明朗で効果も見込めない」(p68)と厳しく指摘している。 「迷惑施設の代償として過分な財政収入」(p69)を得ているのは、原発が所在する本土の自治体でも同様である。が、原発所在自治体の場合、その収入の大部分が地方税として入ってくるのに対し、沖縄の基地所在自治体の場合は、財産収入(軍用地料)と国庫支出金が大きな割合を占める。その分、地方税収入の割合が少なくなるため、原発所在自治体である新潟県刈羽村には交付されていない普通交付税が基地所在自治体には交付されることになる。基地所在自治体は、原発所在自治体に比べて「優遇」されているといえる。 さらに、沖縄の「基地反対」の民意を抑制するための措置として、普通交付税の算定項目に「基地補正」が設けられた(1997年度〜)ほか、沖縄の基地所在自治体だけを対象とした「島懇事業」(1997年度〜、総事業費1000億円)、沖縄本島北部市町村だけを対象とした「北部振興事業」(2000年度〜、総事業費1000億円)など各種の補助金が整備された。これらの財政政策は、たとえば「なぜ1000億円なのか」という根拠が全くなく、「量出制入」の原則(支出がどれだけ必要かを見極めた上で租税負担等を決定する)から著しく逸脱している。 これだけの金を投入しても新基地建設の着工に至ることができなかった政府は、政府の意に沿わない自治体には交付しない、という露骨な条件を付した「再編交付金」を2007年に創設した。2010年1月、新基地建設に反対する市長が当選した名護市では、年度途中であるにもかかわらず、その直後から再編交付金が不交付となった。それでも新市長(稲嶺進)は、他の補助金を活用するなどの真っ当な財政運営を行い、再編交付金を充当することを予定していたほとんどの事業を実施することに成功した、という事例が紹介されている。 著者は、沖縄の経済事情が本土復帰当時からかなり改善している(むしろ近年は好景気が続いている)として、いわゆる「沖縄振興予算」は必要なく、他府県と同様に各種補助金の獲得に努めればよいと主張する。振興予算の総額が政府の裁量で決定される以上、「取引」の道具に使われうることは否定できない。「痛くもない腹を探られないようにするために、沖振法がないことを前提とした沖縄の将来像を模索することが必要」(p119) それは決して不可能ではない、と著者が確信させてくれた。

Posted by ブクログ

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