極道ピンポン

遠藤徹(著者), ヌクイボガード

• 販売会社／発売会社: 五月書房新社
• 発売年月日: 2018/06/20
• JAN: 9784909542076

商品レビュー

2018/06/27

「極道ピンポン」
コメディ感がひしひしと。

極道ピンポン。題名にぴったり沿ったストーリーが展開されるだろうと思いながら、作者をチラ見したところ・・・。遠藤 徹。ん？同志社大学グローバル地域文化学部教授(・Д・)？研究テーマはプラスチック、モンスター等多岐にわたる(・Д・)？

なんと教授と小説家の二足の草鞋を履いてるというレアな作者ではないか。しかも小説家としてホラー賞を取ってる。あっ、ホラーなんだと思ったが、地域文化を教えてるから地域に根付く怪談話系が得意なのか？とも逡巡。更に驚いたのは研究テーマ。溶解論 、プラスチックの文化史、ケミカル・メタモルフォーシス、スーパーマンてどういうことw？とレアで面白そうな人物であるのは間違いなさそうです。

さて脱線しましたが、どんな小説家というと、ズバリ！題名通りな卓球を通じたヤバいやつらの仁義なき抗争featコメディになっています。ドスをペンホルダーに、ハジキをシェイクハンドに持ち変えて繰り広げます。

■個性的なキャラクターはピンポン風
卓球と言えばピンポン（又は石野卓球）。ピンポンと言えば、個性的なキャラクター。ペコ、スマイル、サクマ・・・。「極道ピンポン」でも、卓球で戦う東犬会と極☆!興業のメンバーは、超個性的。“はらり”の長谷川（東犬会会長）、“ロングリーゼント”の荻村（極☆!興業社長）を始め、チャカ健、陳珍珍、斬りこみ丈、チンコロの幽等、一癖も二癖もある奴らばかり。

■独特な必殺技はドッジ弾平風
ヤンジェネサーブ、皆殺しドライブ、シンメトリードライブ。こんな必殺技は、ペコもスマイルもサクマも持っていなかった気がするｗ。必殺技ありきのアニメや漫画の様だ。

■ハチャメチャな描写・表現
問題です。ドラゴンボールなドライブ、ロイヤルストレートフラッシュなスマッシュってどんなショットだと思いますか？後者は何となく強烈なボールを打ち込む！って感じだと思うんですけど、前者の方が全く想像できずでしたｗ。

他には、1/fゆらぎ、IPPONグランプリ、ミウ・ミマ、ラルクアンシエルととにかく色んなものがごちゃまぜになってます。このハチャメチャさを楽しめるかがポイント。また、うる星やつらやハルヒ等、アニメ系の話もぶち込まれてます。流石、幅広い研究テーマを持つ教授という所か。

■結び
一言で言うと、色んなものがごちゃまぜなエンタメ小説。卓球の戦いの間に映画撮影のくだりが唐突に始まるところはちょっと読みずらかったですが、何だろうこのエンタメ感。がっつり世界観に入り込めれば、楽しめると思います。何も考えず読むことをお勧めします。