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胃袋の近代 食と人びとの日常史
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 名古屋大学出版会 |
発売年月日 | 2018/06/27 |
JAN | 9784815809164 |
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胃袋の近代
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商品レビュー
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4件のお客様レビュー
食べることは生きること、生きることは食べること、これは決して原始時代のことわりではなくて、今に続く変わらぬ人間の真実なのである、と感じました。胃袋という視点で日本社会の近代化を見渡す、極めて新鮮な体験でした。この本を読むまでは1964年の東京オリンピックの選手村のセントラルキッチ...
食べることは生きること、生きることは食べること、これは決して原始時代のことわりではなくて、今に続く変わらぬ人間の真実なのである、と感じました。胃袋という視点で日本社会の近代化を見渡す、極めて新鮮な体験でした。この本を読むまでは1964年の東京オリンピックの選手村のセントラルキッチンと1970年の大阪万国博覧会の冷凍食品導入をきっかけに日本の飲食業は飲食産業に変わっていったのだ、という史観を持っていましたが、飲食と産業の関係はそれよりはるか昔の明治から始まっているのです。ヨーロッパの背中を追いかけながらの産業革命とその労働力移動の都市への人口移動が、胃袋という「体温と体臭」を感じる世界から分析されていきます。まさに「社会問題は胃袋の問題」という切り口に驚き、そして決して経済だけにとどまらない人間性の問題として考える著者のスタンスに共感しました。冒頭に引用されるのは「汚水の底のどろどろとこの胃袋の衰弱を笑いも出来ぬ人ばかり おのが思いも肩掛けにはかなき世なりと神に問う」という林芙美子の「放浪記」の一節。胃袋の「孤立化」と「集団化」の同時進行が「食の産業化」と繋がっていくことに説得力を感じました。たまたまなのですがこの本と同じタイミングでHDDに録画していた2019年に放送したNHKスペシャル「平成 最後の晩餐〜日本人と”食”の30年〜」という番組を見て消去したのですが、その最後に取り上げられていたシングルマザーたちのシェアハウスや未来食堂に貫く精神にもこの本と同じものを感じました。コロナ以来、顕在化したこども食堂も、もっと大きな社会活動になる気がします。
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法政大の湯澤規子教授の講義録をまとめた本。著者作は初読。 手に取ったきっかけは、先日読んだ『注文の多い料理小説集 』の深緑野分「福神漬」。病院の食堂でカレーライスを食べるうちに、大正期の貧民や浮浪者が集う大衆食堂にタイムスリップする話なのだが、一膳めしを喰らう人々の活気と熱気が...
法政大の湯澤規子教授の講義録をまとめた本。著者作は初読。 手に取ったきっかけは、先日読んだ『注文の多い料理小説集 』の深緑野分「福神漬」。病院の食堂でカレーライスを食べるうちに、大正期の貧民や浮浪者が集う大衆食堂にタイムスリップする話なのだが、一膳めしを喰らう人々の活気と熱気が妙に生々しく描かれて印象に残った。その参考資料として本作が挙げられていた。 複数の大学の講義録をまとめた本なので、読了までひと月かかってしまったが、読み応え充分で毎日楽しかった。件の食堂のモデルは大正期の「大阪自彊館」で、表紙の写真は当時のものらしい。喧騒のガヤとしょっぱいおかずの匂いが浮き上がりそうな1枚だ。 本書では明治末期から大正、昭和初期の人々の「胃袋」が何を食べてどう変化したかを、膨大な資料から読み解いていく。ここでいう人々とは所謂「サイレントマジョリティ」で、今や名も残らない市井の人たちだが、たとえば地域の織物史や自治体の経済調査、炊事組合の取引書類などから、やがて彼らの食べていたものや暮らしの様子が見えてくる。 知らなかった引用資料も多く、『女工哀史』を著した細井和喜蔵の妻、高井としを著『わたしの「女工哀史」』は読んでみたいと思った。また、『野良に叫ぶ』渋谷定輔やその妻・渋谷黎子など初めて知る人々も多々。 終章の「資本家と労働者という二項対立の図式からは、決してみえてこない世界」がある」という指摘は重要だ。「労働者のなかにも時代の変化をプラスに転じて新たな時代の豊かさを享受できた人びとと、そこからこぼれ落ち、排除され、変化を乗り越えられなかった人びととがいた」「その中には、労働者にすらなれない人びともいた」と続くのだが、「こぼれ落ち」る人たちは、むしろ現代のほうがより多く、かつ、より見えにくくなっているのではないか。
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近世の縄暖簾から近代の大衆食堂へ--食と胃袋をめぐる社会と経済の変化を資料とデータを元に論じた一冊。とても面白かった。食の『産業化』はなるほどなぁと。 扱っているのは一膳飯屋、残飯屋、共同炊事、公設市場…といったものになり、対象となる胃袋は女工達や日雇いの人達、農村など、どちら...
近世の縄暖簾から近代の大衆食堂へ--食と胃袋をめぐる社会と経済の変化を資料とデータを元に論じた一冊。とても面白かった。食の『産業化』はなるほどなぁと。 扱っているのは一膳飯屋、残飯屋、共同炊事、公設市場…といったものになり、対象となる胃袋は女工達や日雇いの人達、農村など、どちらかというと日々の暮らしでギリギリの、所謂底辺の人々の話を纏めているものになります。タイトルから「食の近代化で洋食のメニューが豊かになり、洋食店に牛鍋屋、こんなメニューやあんなメニューが…」みたいな方向性の内容を期待されるとかなり違いますのでご注意をw
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