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遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方
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遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方

トーマス・フリードマン(著者), 伏見威蕃(訳者)

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遅刻してくれて、ありがとう(下) 常識が通じない時代の生き方

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 日本経済新聞出版社
発売年月日 2018/04/01
JAN 9784532176341

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2024/05/09

下巻は自伝的内容が多く、著者のバックボーンがよく分かる。ミネソタ州セントルイスにおける著者自身の語り。しかし、冗長な部分があり、コラムニストと長文の相性の良し悪しを考えながら、読む。著者が北ミネアポリスに定住したのは、そこが最大のマイノリティー集団であるユダヤ人と黒人が住宅賃貸に...

下巻は自伝的内容が多く、著者のバックボーンがよく分かる。ミネソタ州セントルイスにおける著者自身の語り。しかし、冗長な部分があり、コラムニストと長文の相性の良し悪しを考えながら、読む。著者が北ミネアポリスに定住したのは、そこが最大のマイノリティー集団であるユダヤ人と黒人が住宅賃貸に差別が蔓延していた時代に家を借りられる数少ない地域の一つだったから。 コミニュティの維持が課題。そのためには、パブリックスペースが必要。薬物常用の問題は社会の崩壊と、それに伴う孤立感の副産物であることが多い。健全な個人のみが健全な過程を成り立たせ、健全な家庭のみが健全なコミュニティを成り立たせる。そしてそれらすべてには、信頼と言う基盤が必要とされる。共同作業は信頼の速度によって動く。信頼は唯一の合法的な能力向上薬物だ。 ー アメリカでコミュニティの没落が蔓延していると言うトランプの意見は正しい。しかし、繁栄しているコミュニティも豊富に存在することをトランプは見落としている。 気になったのはコミニュティの話とミドルクラスの危うさ。集団や階層における差し迫った問題。 1970年代から2000年代初頭にかけて、中間層が終わりを告げ始め、工賃金で高スキルの仕事と低賃金で低スキルの仕事に二分された。グローバリゼーションとテクノロジーが同時にミドルクラスの仕事における要求スキルレベルを上げ、それとともに海外の商品や労働者が参入することで、ミドルクラスを不安定にさせた。しかし、多くの世帯が属するミドルクラスは、その後、住宅ローンやクレジットカードにより生活を維持してきた。やがてそれが成り立たなくなる。2001年のテロ、その年、中国がWTOに加盟。2007年にはテクノロジーの拡散が追い打ちをかける。 ミドルクラスの生活が苦しくなる。コミニュティの質が変わる。そして、多様性の重要性が説かれる。格差がえげつない世界において、防衛策としての弱者連合も危うい。多様化することは、力の分散、分断になるリスクも認識しておかねばならない。

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2022/07/06

2001年から2016年に世界におきた、イノベーションとグロバリゼーションが世界に与えたものは何かをよく考えようというのが読者への投げかけです。 854頁におよぶトーマス・フリードマンの大作、読みでがありました。 下巻は、地政学的見地から世界の変化を考察するところから、コミュニテ...

2001年から2016年に世界におきた、イノベーションとグロバリゼーションが世界に与えたものは何かをよく考えようというのが読者への投げかけです。 854頁におよぶトーマス・フリードマンの大作、読みでがありました。 下巻は、地政学的見地から世界の変化を考察するところから、コミュニティの重要さまでを描きます。 結論は、こうです。 「アメリカの悪いところは、無数のコミュニティ、田園地帯、都市部の多くが崩壊していることだ。 しかし、いまのアメリカの良さは、団結して、市民が自分の将来に責任を持てるようにスキルとチャンスを得るのを手助けしているコミュニティや地域も、無数にあることだ。 強権をふるう男ではなく、強力なコミュニティのみが、アメリカを再び偉大にする」 歴史のブレークポイントは、3つ 2001年 グランドゼロ 2007年 デジタル・テクノロジー 2008年 リーマンショック グローバリゼーションと、テクノロジー、気候変動の同時進行が、中流を支えてきた、高賃金で中スキルの仕事が、高賃金で高スキルの仕事と、低賃金で低スキルの仕事に二分されていく。それが個人のスキルの習得や、社会の制度の変化に追いつかない状況で起きていくといっています。 下巻で気になって点は、次の通りです。 ・第二次世界大戦からベルリンの壁崩壊までの期間は、信じられないような経済的平穏期間だった。ために、政治にも平穏を安定をもたらした。あらゆる人々を受け入れ、移民になることが容易だった。 ・崩壊しかかっている国はほとんどといっていいほど、国境が直線になっている。19世紀の版図か植民地だったためで、民族、宗教、人種、部族とは無関係に国境が引かれ地形すら考慮されていないからだ。 ・アラブの春は、スマホのソーシャルメディアに大きな潜在力があることを明らかにしたが、同時に大きな弱点も暴かれた。ソーシャルメディアでは意思の統一ははかれない。 ・リーダシップが誕生するまでの期間を短縮することはむずかしい。シャルル・ドゴール、ドワイト・アイゼンハワー、ジョージ・ワシントンは、もがき、倒れ、起き上がっては連合を1つづつ積み上げて指導者になり、偉人になった。 ・ロシアや、中国がサイバー攻撃という非対称戦を実行したのは、ほとんどコストがかからないため、西側では個人が法的に保護されているが、ロシアでは、メディアが規制されているので情報が広い範囲に行き渡るのを防げる ・愚かな人間の行為を浄化できるのは、母なる自然しかない。 ・両親は私が幼いころから、人種差別主義者にならないよう私に教えたが、言葉でそう導いたわけではなかった ・アメリカ史としてみんなが陶酔していた最高の時代とは:公共政策と政治がうまく機能しつづけ、排他的でない政治が行われるためには、パイの拡大が欠かせない。収入格差が縮まり、繁栄が共有されて高い成長と高い平等がもたらされた。 ・愛着をもって区域と結びつき、社会で私たちが属しているその小さな集団を愛することは、公共への情愛の起源である。 ・彼らが信頼を示そうとする前に、私のほうから信頼を示すのです。 ・だれもが、自分の習慣をまもってよいが、その根底にある特定の価値観、女性、法の支配、さまざまな宗教、公的機関、コミュニティの空間をどう扱うか をゆるがせにしてはならない。 ・ヨーロッパの多くの国では移民をその国の主流の文化に溶け込ませるのに失敗したために、高い代償をはらった。分離したり、隔離したりする未来よりも、共有する未来の方がのぞましい。それには、信頼を打ちたてることがもっとも重要なのです。 ・加速の時代には、学校とその後の人生で、だれもが、腕をあげなければならないということだ。そのためには、もう取り残される子供がいる状況を見過ごしている余裕はない。 ・思いやりのある大人やメンターが若者にとって死活にかかわるくらいに重要だということだ 目次は以下です。 <上巻> Part1 熟考  1 遅刻してくれてありがとう Part2 加速  2 2007年にいったいなにが起きたのか?  3 ムーアの法則  4 スーパーノバ  5 市場  6 母なる自然 Part3 イノベーティング  7 とにかく速すぎる  8 AIをIAに変える <下巻>  9 制御対混沌 10 政治のメンターとしての母なる自然 11 サイバースペースに神はいるか? 12 いつの目もミネソタを探して 13 故郷にふたたび帰れる(それに帰るべきだ) Part4 根をおろす 14 ミネソタから世界へ、そして帰ってくる <その後>それでも楽観主義者でいられる

Posted by ブクログ

2020/06/07

冷戦中のアメリカの外交政策は、力の管理が主なものだったが、現代では弱さ(中東の弱小国、自国、同盟国)を管理しなければならず、それは力の管理よりも難しい。 加速の時代では、難民は戦争ではなく国民国家の崩壊により生じる。気候変動による大規模な飢餓に対応できない政府への不満が高まり、...

冷戦中のアメリカの外交政策は、力の管理が主なものだったが、現代では弱さ(中東の弱小国、自国、同盟国)を管理しなければならず、それは力の管理よりも難しい。 加速の時代では、難民は戦争ではなく国民国家の崩壊により生じる。気候変動による大規模な飢餓に対応できない政府への不満が高まり、やがて内紛が勃発する SNSによるアラブの春の多くが失敗に終わったのは、自分たちの進歩的な思想を組織や政策として打ち出すような、多数派統治の仕組みが作れず、逆にSNSは嘘やヘイトを拡散しやすいため、革命派が容易に分裂したため。 イスラム過激派は、運動であって組織ではない。SNSによって人々を扇動するが、明確に組織だっていないゆえに、撲滅するのが難しい。 現在の国際秩序の難題への解決策 ①増強:無秩序の国で、「良識をはぐぐむ拠点」を広げて、能力を増強させるようなシステムを作る。まず「彼ら」の意思を変えなければ何も変わらない。 ②住人が故郷の村に住み続けることを後押しするため、基礎的インフラ(緑地、Wi-Fi、鶏小屋、上下水道)を整備する つまり、人並みの暮らしをまず整える 都市部と農村部で、加速の時代には格差が増大している。 現在の統治にすぐに適用できる、地球から学べるキラーアプリ ①経済と軍事で優位なよそ者と対峙したとき、彼らから学べる能力 ②多様性を受け入れる能力→ただ色々な人がいるだけでは多元的とは言えず、社会に緊張を招くだけ。真の多元的共存は、「対話」と「譲り合い、批判主義、自己批判」の上に生まれる。 ③未来と自分たちの問題に、当事者として責任を引き受ける能力→当事者意識があれば、エネルギーが湧いてくるし、人々は自分のことだと思って手を貸す ④連邦と地方の適切なバランス――ミクロの部分で繁栄し、それがマクロに栄養を与える ⑤起業家精神にあふれ、様々な「側」の人々と思想や理想を混合し、共進化する能力 移民を文化の面で適応させなければならない。多文化の正義のもといつまでも「お客様」で居ては、民主主義国は反映できない。共有文化を豊かにする責任がある。 良識的で、正直で、お互いを尊敬しあう価値観が原則をなすコミュニティに人々を定着させるにはどうすればいい?→人々は倫理のイノベーションを求めている 「自分がされたら嫌なことを他人にやらない」この古来の黄金律は今の社会だからこそ輝く。 大切なのは健全なコミュニティで他人と相互依存を築くことだが、コミュニティの規模が、一地域一国ではなく、「世界の全て」へと拡大している。 地方政府に参画することが、民主主義の市民意識に必要な心の習慣をはぐくむ可能性がある。

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