命 手塚治虫からの伝言

手塚治虫(著者), 中野晴行

• 販売会社／発売会社: 童心社
• 発売年月日: 2018/04/01
• JAN: 9784494018437

商品レビュー

2023/09/28

[ブラック・ジャックに送られてきたカルシウムに覆われたメスの秘密……命の不思議さと医師の限界をブラック・ジャックが思い知る「ときには真珠のように」。命を救ってくれた巨木と共に生きるモモンガの波瀾万丈の一生を描く「モモンガのムサ」。悩み自殺まで考える少年が、ポスターの中の少女に励まされ生きる力を回復していく「るんは風の中」。医師でもあった手塚が、命の神秘と素晴らしさを描いた感動の６話を収録。]

モモンガのムサ ７−６４
緑の果て ６７−８３
ときには真珠のように ８５−１０４
大将軍森へ行く １０７−１３６
山太郎かえる １３９−１７０
るんは風の中 １７３−２０８

2022/02/19

"命"といえば、手塚治虫の作品で頻繁に現れるテーマです。
「火の鳥」「ブラック・ジャック」「ブッダ」などは、そのものズバリの作品です。
本書は短編を集めたものなので、「ブラック・ジャック」から一編、「火の鳥」と「ブッダ」は長編なのでありません。

「ブラック・ジャック」からは、手術はいつも通り完璧に成功したが患者は死んでしまうという話。
助けられなかったのは、瀕死状態のクロオ少年(ブラック・ジャック)を手術した命の恩人の本間医師。
「どんな医学だって生命の不思議さにはかなわん。人間が生き物の生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね。」
とは、老いて病魔と向き合っていた本間医師の言葉。
むやみに寿命を延ばすことはいいことなのか？という問いかけをしています。

手塚治虫は野生の動植物とヒトとのかかわりも良く描いていますね。
野生の動植物の命を無頓着に扱うヒトという生き物の冷血な一面を描いて、どう思う？と問いかけているのです。