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ダ・フォース(下) ハーパーBOOKS
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | ハーパーコリンズ・ジャパン |
| 発売年月日 | 2018/03/26 |
| JAN | 9784596550828 |

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商品レビュー
4.2
19件のお客様レビュー
「一本の通りを歩いているだけで五つの言語が聞こえ、六つの文化のにおいが漂い、七つの音楽が聞こえ、百もの人種とすれちがい、千もの物語が存在する。そのすべてがニューヨークだ。」 「そうしておまえは略奪者になった。純然たる犯罪者に。それでも自分は犯罪者じゃないと自分に言い聞かせた。奪...
「一本の通りを歩いているだけで五つの言語が聞こえ、六つの文化のにおいが漂い、七つの音楽が聞こえ、百もの人種とすれちがい、千もの物語が存在する。そのすべてがニューヨークだ。」 「そうしておまえは略奪者になった。純然たる犯罪者に。それでも自分は犯罪者じゃないと自分に言い聞かせた。奪う相手は銀行ではなく、ヤクの売人なんだから。ヤクを奪うのに人を殺したことはないんだから、と。」 上巻はニューヨーク、マンハッタン、その街、“City”の話。街の名所やそこにあるカルチャー、エピソード、ヒーロー刑事、あるいは貧富の差や人種差別、ドラッグ、そして警察、市政の汚職。綺麗な部分も汚れてみえる部分もどちらも詳細に書き込まれ立ち上がってくる街の物語。 下巻はその街に魅せられ同時に捉われてもいるヒーロー刑事、汚職刑事、“City”の“King”が一線を超えていたことに気付かされ、自らが嫌悪していたものにまで落ちていきながらもそれでも這いあがろうと、自らの人生も街の問題も”解決“しようと、“崩れ落ちてきた”街をもがき這いずり回る、ひとりの男の人生の物語。 というのはザックリし過ぎているけれど、そんな風に読んだ。憧れのニューヨークの街の光景が思い浮かんだ。男のもつ人生のルールに少し憧れた、それを崩してしまうのも人生だ、と哀しくも思った。もう転がり切ったかと思ったところから二転三転する展開に興奮した。ドライヴしながらも繊細に細やかに掬い上げていく文章、文体、翻訳も素晴らしかった。めちゃくちゃ面白かった。 そして読み終わった後には、これは「正義」に関する物語だったのかもしれない、と思っていた。「正義」もそれを果たすためのやり方もそれぞれにある。絶妙なバランスで成り立っていたそれらが崩れたとき、街も人生も同時に崩壊に向かっていく、という風にも読めた気がする。 現実もそんな風に成り立っていたり崩れたりしているとも思うけれど、正義とは個人や個別にそれぞれあるものではなく、もっと大きく広く受け入れられるべき、公共とも言えるようなものなのでは、と悪意と私欲としか言えないものを“正義”として堂々と語る人をみたときに考えたことがあったのも思い出した。その公共みたいな考えは、この小説でもおそらく「正義」と訳されている「Justice」という単語が公正という意味を多分に含んでいるということを考えると、あながち間違ってないのではないかと思えるのだった。全ての人に「公正」な「正義」は、もしかしたらないのかもしれないけれど、それでもわたしは悪意や私利私欲をそれぞれの「正義」とは呼びたくないな、と改めて思ったのだった。 - 「ナズの『N.Y.ステイト・オブ・マインド』が気分を盛り上げてくれる。 おれは眠らない、睡眠は死のいとこだから 知性の壁を越えた先で人生は決まる ニューヨークの気分になるとき、おれは犯罪のことを考える」 わたしも行ったことのないニューヨークの気分になって盛り上がりたいので、久しぶりに『Illmatic』を再生するのでした。あとでBIG L(はあの壁画に言及されるだけで曲は出てこないにだけど)の『ifestylez Ov Da Poor And Dangerous』も聴こう。 しかし、スタテンアイランド出身のアイリッシュの刑事がラップ・ミュージックが好き、というのもニューヨークな話な気がして最高でしたね。
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夏休みは伊吹山2合目にある、ロッジ山へ。 天気が悪く、外には出歩けなかったが、眼前に拡がる琵琶湖をテラスから眺め、終日本書を読んでいた。コーヒーを飲むこと、本を読むこと以外が無い、良い休日でした。
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現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻...
現在も深刻な麻薬問題を抱える米国の実態を凄まじい暴力の中に描いた一大叙事詩「犬の力」(2005)/「ザ・カルテル」(2015)/「ザ・ボーダー」(2019)。作家人生の集大成ともいうべき、この渾身の三部作によって、ウィンズロウは紛れもなく頂点に達した。アクチュアルでラディカル。麻薬に関わる者は全て死する運命にあるという暗鬱なる黙示録。現在進行形の鋭利な文体を駆使して生々しい諸悪を抉り出した現代ノワールの境地。どの作品もページを捲る手が白い粉と紅い血に染まっていくような錯覚に陥ったほどだ。現時点での最終作「ザ・ボーダー」に取り掛かる前に構想した本作は、馴染みの〝ウインズロウ節〟が炸裂する犯罪小説の延長線上にあるが、根幹に麻薬戦争を置いており、三部作を補完する作品といっていい。 「ダ・フォース」では、米国/麻薬取締局(DEA)とメキシコ/カルテルは登場しない。フォーマットは悪徳警官物だ。舞台はニューヨーク。物語は、ここから一歩も離れることはない。それだけに分厚い。富裕/貧困という歴然とした格差社会保持の潤滑油としても機能/蔓延する麻薬。吹き荒れる暴力の嵐。ウィンズロウは、通り名や店名などの固有名詞を執拗に列挙してリアリティを高め、汚れた街に生きる者どもの生態を克明に描写する。 主人公はNY市警マンハッタン・ノース特捜部(通称〝ダ・フォース〟)部長刑事デニス・マローン。叩き上げの刑事で、荒々しく狡猾。不条理な犯罪を憎みつつも、男を突き動かすのは、徹底して打算的なエゴイズムだ。そのために小さな綻びから破滅を招くこととなる。マローンは、冒頭で既に何もかも失った男として姿を現す。つまり長大な本篇は、男がいかにして転落の道を辿ったのかという記録なのである。 この街を浄化したいというマローンの理想/清廉さは、ニューヨーク最下層の現実を前に脆くも崩れ去り、体内から腐り切る利己主義へと変転する。焦燥と居直り。私利私欲を貪り、掴んだ権力を過信した果てに堕ちてゆく泥沼。すべては偽善と虚構であった、とマローンが気付く時には、何もかもが手遅れになっている。 本作で特に印象に残るのは、独善的な正義と悪を主人公と共有し、常に行動を共にする「マローン班」各々の関わり方だ。そこには仲間意識よりも、おれたちの縄張り/特権を守るためには不正/暴力を辞さないという閉鎖的で排他的な帰属意識がある。平然と大物麻薬ディーラーを殺し、莫大なカネに代わるヘロインを掠め取り、懐に捩り込む。共犯関係にあるマローン一味は、限界を超えた傲慢に起因する事件を機に崩壊し、強固であったはずの信頼/愛情から、不信/裏切りへと急転直下し、互いを憎悪する最悪の結果へと至る。己の命を捨ててでも〝友〟を守り抜くと誓った男たち。マローンは、それが幻想に過ぎなかったことを、追い詰められ、易々と国家権力に屈する己の甘さを前に痛感するのである。終盤で延々と続く羞恥心の吐露。アンチ・ヒーローの末路は憐れではあるが、敢えて読み手の共感を拒むが如く、作者は主人公を突き放し、正義と悪に境界など無いことを示唆して、物語を断ち切る。 快楽に通じる歪んだ自愛こそが人生の麻薬である。ウインズロウの達観は、さらに深まっている。
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