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思想家ドラッカーを読む リベラルと保守のあいだで
定価 ¥1,980
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | NTT出版 |
発売年月日 | 2018/03/01 |
JAN | 9784757123694 |
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思想家ドラッカーを読む
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商品レビュー
3.8
4件のお客様レビュー
その昔、大学学部時代のゼミの先生に20世紀の偉大な経済学者は誰かという質問をしたときに、フリードマンと並んでこのドラッカーの名前を挙げていたのが意外すぎて印象に残っていた。ドラッカーというとその名言集とかドラッカーに学ぶ何とかという本ばかりが目について敬遠していたが、本書を読むと...
その昔、大学学部時代のゼミの先生に20世紀の偉大な経済学者は誰かという質問をしたときに、フリードマンと並んでこのドラッカーの名前を挙げていたのが意外すぎて印象に残っていた。ドラッカーというとその名言集とかドラッカーに学ぶ何とかという本ばかりが目について敬遠していたが、本書を読むとまったく先入観とは異なるドラッカーが見えてきて面白かった。師匠がなぜドラッカーを偉大な経済学者として挙げたのかもよくわかった。 ドラッカーは1909年にオーストリアに裕福なユダヤ人の家庭に生まれ、1939年、つまり30歳でアメリカに移住。その後2005年に亡くなるまでアメリカで活動した。著書は多数あり、日本語の翻訳も多い。 本書のテーマは誤解されてきているように思われるドラッカーの思想を解明することにある。彼のマネジメントというコア概念が、経済人や産業人といった概念の生成過程を辿りつつ詳細に検討されている。「彼のマネジメント思想は、不安定で、共同体を破壊する傾向にある市場社会の中で、各人や共同体がどう生き残りの戦略を立てるべきか模索する中で形成されたものと見ることができる」(p.58)のであり、そうした問題意識はポランニーとも通底し、さらに経済学者としてのケインズやシュンペーターの評価にも繋がっている。つまり、「市場の中の人間の振る舞いの非合理性を直視し、それを理論の中に取り込んでいるシュンペーターやケインズを評価しているところに、彼の“合理主義”の特徴がある」(p.59)のである。 全体のまとめは短い終章「弱き個人のための共同体としての企業」に簡潔に示されいるが、もちろんドラッカーは企業にべったりの会社人間を良しとしているわけではなく、「組織の中のあらゆる者が、「組織と組織の目的に対して、自らにできる最大の貢献は何か」を問いつづけなければならないことを意味する。換言するならば、全員が責任ある意思決定者として行動しなければならない。全員が自らをエグゼクティブと見なければならない」のである(p.250)。
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ウィーン:ユダヤ系の知識人・文化人が活躍しやすかった 人口の10%がユダヤ人 大学の1/3がユダヤ人 多様性・多元主義 ドラッカー:「傍観者」を自称 →社会が決めたルールや愛国心よりも自分の仕事に忠実であること、顧客の利益を図ることに価値を置く経営学的な発想 市場社会が人間を阻害し、競争やリスク、それに伴う状況の多様性(不安定性)といったマイナスの要素を伴っていることを承知の上で一定の条件付きでこの社会を受け入れるべき ドラッカーのマネジメント思想は不安定で共同体を破壊する傾向にある市場社会の中で、各人や共同体が同生き残りの戦略を立てるべきか模索する中で形成された シュタール:対立する2つをより高次なもので統一する秩序 マキャベリ:政治の目的→国家の理由(理性) 人倫的生の基盤としての「享楽」を提供する義務が社会にある →その次代のあらゆる生き生きとした力を秩序に取り入れる ナチス:欺瞞に満ちた既存の心情や秩序を破壊する、支持者の誇りになる 経済活動の目的:倫理的価値としての「自由」と「平等」 ユダヤ人→ブルジョワ資本主義と自由主義の化身 →名室の敵はブルジョワ秩序だった フォード:組織を持って経済のあり方を変えた 株式会社:会社という社会的行為主体を作り出してその権力に正当性を与え、コントロールする仕組み 人々の欲求を満たすのは社会保障ではなく社会への「参画」 →個々に位置と役割を与え、責任を伴った自由な生き方をすることを可能にする権力 ファシズム全体主義→一定の成果はエルガ自由を喪失し全体の目的に奉仕させられるだけの存在 自由の本質:個人の責任ある意思決定 絶対心理があると信じ、人間の弱さを認めることが必要 保守→現在に至るまでの長期的な変化を捉え、機能する産業社会を構築すること イノベーション:単純再生的な均衡の破壊 現代経済:不均衡こそ経済発展の契機 起業家精神が本質→創造的破壊 利益:道徳的必然 起業家の本質:リスクを取れる、自らの選んだ原理と方法に基づく行動 規制の権威を否定し、秩序を破壊する マネジメント:自由に行動する意志と能力を持った存在として扱い自発的に企業経営に参加するように仕向ける 企業がオーナーや株主の所有物ではなく、自分が固有の役割を果たせる職場だという認識が発展の原動力 ☆「短期的な成果によって自分自身をその都度維持しながら長期目標を追求する」 社会的責任≠マネジメントの倫理 →外の社会とつながっている 公益と利益の調和を実現しなければいけない →公益にかなった企業・自分のあり方を追求する
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文字通りドラッカーとその周辺の専門家の「傍観者」としての仲正昌樹が書いた本書は「意味深い」。 これは「ちょっと売れた作家が、他の分野にちょっと足をいれてみたような軽いものではなく、「読解」という作業を通して見たドラッカー像というか、ドラッカーの思想を(少し哲学をかじってるような人...
文字通りドラッカーとその周辺の専門家の「傍観者」としての仲正昌樹が書いた本書は「意味深い」。 これは「ちょっと売れた作家が、他の分野にちょっと足をいれてみたような軽いものではなく、「読解」という作業を通して見たドラッカー像というか、ドラッカーの思想を(少し哲学をかじってるような人にとって)わかりやすく伝えようとする試みが面白かった。 面白いというか、すごいなと率直に思ったのは、 「株式会社という・・「組織」が、諸個人の自由な取引の場である「市場」超えた秩序形成の役割を担っていることを強調し、その「前提」で組織の管理に重点をおく」(160ページ) とあって、ここを読んだ時に、文章が持つ伝える力というのを最大限に駆使できる人っていいよな、と思った。ほんとのところは、読解する能力がケタ違いに高いから書けるんだろうから、そもそもそこからなんだろうけどさ。 客観的に他のドラッカー本と比べてしまうと、世間ではこの本は「異色のドラッカー本」という位置づけになるのだろうけど、自分としては、経営学に意図的に迷い込ん哲学者が「圧倒的な読解力と文章力」で描くドラッカーが「ビジネス系の本で描かれているドラッカー像」と比較して「異色」なのであって、そういう意味では異色だとは思うけど「異色のドラッカー本」というようには思えなかった。逆に『史上最強!明日から使えるドラッカー』とか、『自分を生かすドラッカー』とか、そういうのの方が違和感あるわ。というか異色すぎんだろ。 そういうのが多いのでマヒしてるから異色だとあまり感じないだけで、本当はビジネス書のドラッカーってかなり異色なんじゃないのかなと自分は思うし、そういった現状から見て意味深いと思う。 どっちにしろ、教養とか読解力とか、その辺のビジネス書の書き手と比べるとこんなに圧倒的な差があるのか、というのがよくわかった。
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