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〈電気ショック〉の時代 ニューロモデュレーションの系譜
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2018/02/01 |
JAN | 9784622086789 |
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〈電気ショック〉の時代
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
精神医療とはよく言ったもんだ。電気もうまく使えば医療手段。使い方を誤れば殺人手段。分かりやすくたとえるなら原子力といっしょ。中性子を正しく制御すれば発電エネルギー。暴走させれば原子爆弾。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
おそらく業界関係者以外には全く関心のないであろうトピックで、売上も期待できないだろう本を丁寧に翻訳されたことには敬意を表したい。個人的にはサッケイムが精神科医でなく心理士だったとか、トリビア的な内容も含めて知らなかったことも多く、興味深く読めた。 著者がデヴィッド・ヒーリーなので、実績のあるECTがここまで貶められているのはECTが広まると困る製薬会社の陰謀ではないか(もしくは身体的治療ができない心理療法士たちのやっかみではないか)、というニュアンスがところどころ目につくものの、ECTの歴史からメルクマールとなる研究の概説まで十分に詳しく手頃な量。 ・けいれん療法の始まりは、ラディスラウス・メドゥナがてんかんと統合失調症が拮抗すると考えたことによる。統合失調症患者の中にてんかんがあまりいないことは元々知られていたし、脳組織標本を見ても統合失調症ではグリアの機能が停止しているのにてんかんでは増殖が亢進していた。 18世紀に精神病患者に樟脳を投与したという記録を見つけたメドゥナは1934年、緊張病患者に樟脳を注射してけいれんを起こすことを五回繰り返した。それまで四年間、動かず、食べず、経管栄養を続けていた患者が初めてベッドから出て話し始めた。 ・後にこれは樟脳風の薬物であるメトラゾールに置き換わったが、注射後、だんだんと意識が消失していく際に感じる恐怖感が患者には不評であった。1938年、ウーゴ・チェルレッティが電気でけいれんを起こす方法を初めて試みた。 ・メトラゾールを用いたけいれん療法に対する批判は1939年ころ、脊椎などの骨折の多さが指摘された。けいれん時に患者の背中が前方に曲がることで胸椎の一つの前縁にひびが入るというのが典型例であった。ECTでは骨折が少ないと言われるようになり、1940以降は電気によるものが主流になった。 ・1970年代には精神分析からの反論が多かった。分析医にとってECTとは粗野で原始的な治療であり、罪の償いとしてサディスティックに課せられて、マゾヒスティックに受け入れられるものだった。生物学の点からも、当時はSeymour Ketyの影響力が絶大であったが、Ketyは液性因子(伝達物質)を重視しておりECTは眼中になかった ・電気の量を少なくして小発作だけを起こして治療しようという試みもあったが、大発作のほうがはるかに治療成績がよかった(Kalinowsky "The Petit Mal response in elextric shock therapy" AJP 98(1942) 708-711) ・片側ECTも一世を風靡したが、1970年代中頃には記憶喪失はかなり減るが効果も少ない、という結論に達している。 ・1943年までにECTによる死者は11000例中8名であったが、そのうち4名の死は骨折予防に用いられていたクラーレによるものだった。1950年代になって筋弛緩薬としてサクシニルコリンが用いられるようになり安全性が増した。 ・チェルレッティとビーには1940年、犬34頭を用いた実験結果を発表した。三群にわけられた犬はヒトと同じ、もしくは大量の通電を受けた。通電直後の脳組織にはわずかな浮腫が見られた。一ヶ月後に解剖された犬ではこうした変化も回復していた。しかし、彼らの研究結果は戦時中にイタリアで発表されたということもあり、国際的な評価を受けなかった。 ・21世紀になり、やはり効果があるということからECTは復権を遂げつつあるが、それと並行してTMSやVNS,DBSの開発も進められた。
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