北条氏政 乾坤を截破し太虚に帰す ミネルヴァ日本評伝選

黒田基樹(著者)

• 販売会社／発売会社: ミネルヴァ書房
• 発売年月日: 2018/02/10
• JAN: 9784623082353

商品レビュー

2023/08/21

もっと早くギブアップするわけにはいかなかったのか？とも思うが、著者が書いている通り、「秀吉と戦争して滅亡し、自害した戦国大名は、この北条氏政が唯一であった」「最後の戦国大名」だったのかもしれない。
某ゲームだと北条氏はまあ強いわ強いわ、あっという間に勢力を広げるが、現実の彼らは北関東の小さな勢力にかき回される事もあれば、裏切っては暴れ回る武田信玄に恐怖を感じたり、大事な時に頼りにならない上杉謙信に馬鹿にされる事もあった。それでも、ここまで広げた勢力。簡単には手放せなかった。
氏照が陸奥守、氏邦が安房守、他の者達も色々と名乗った理由、ちょっと独善的な行動も目立つ氏邦の兄弟間での序列の変化も取り上げられていて、面白い。

2022/07/07

小田原北条氏四代目、氏政の評伝。時勢の変化への対応や、領国統治への細かな目配りを見ると、近世後期以降の低い評価とは裏腹の有能な人物という印象を受ける。結果として滅亡したものの、稀有の人物であったのは確かではないかと思う。

2021/02/13

今までの氏政評を改めさせてくれる書。決して無能な武将ではなかった。家臣や側近にもう少し優秀な人材がいたらと思ってしまう。氏康とは違い、信玄・謙信亡き後も、勝頼、景勝、徳川家康、織田信長、豊臣秀吉など有力武将が多くいた時代。
兄弟が多く各方面で活躍してくれた。あの当時はやはり息子(兄弟)が多いと家は残りやすい。そして婚姻関係にともない他家との同盟関係にも発展する。
典型的なのが秀吉と家康の差でもある。
逆にそれが原因で武田家、織田家、徳川家、上杉家など他の戦国大名は必ずあった跡目争いや兄弟争いがなかったのがすごい。
北条家自身そして領国の維持を第一に考え経営していた。秀吉以降の価値観とは違ったために滅びるしかなかったと思う。
北条家滅亡ということがなければ、もっと評価されるべき武将であると感じた。
同様にやはり北条家の領国経営など学ぶところは多いと感じた。t特に徳川家康は武田家家臣団の研究もして江戸幕府に活かしたと思いますが、北条の関東経営も研究し活かしています。
ぜひ、小田原北条氏の大河ドラマ実現を！