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ヲトメノイノリ
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ヲトメノイノリ

石田千(著者)

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ヲトメノイノリ

定価 ¥1,980

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2018/01/26
JAN 9784480804754

ヲトメノイノリ

¥990

商品レビュー

4.3

9件のお客様レビュー

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2024/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この短編集は、かぎかっこがないので、会話の主を自分で見極めながら読んでいきました。そして、読み進めるほど面白くなってきました。 最初の「ぶらんこ」は、ほとんどひらがなで書かれていました。6歳の女の子の気持ちだからかなと思いました。 6作目の「素麺」の夫婦のやり取りは、日曜のお昼そのままの自然体でした。 7作目の「球根」の相乗りタクシーの会話も、親がいるから娘でいられるということが、感慨深かったです。 表題作の「ヲトメノイノリ」は、落語だったんだと改めて思い出す終わり方で、しっかりオチもありました。ピアノ曲の乙女の祈りを改めて聞きたくなりました。 最後の「去年今年」は、視点がおもしろかったです。 2018年発行の10編の短編集。石田千さんが、 ますます気になってきた短編集でした。 ぶらんこ うぐいす 青嵐 梅雨明け 風鈴 素麺 球根 木枯らし一号 ヲトメノイノリ 去年今年

Posted by ブクログ

2023/05/08

初めての作家さんだったので、様子も分からず、前半はあまり好みではないなあと思いつつ折り返しまできてこのまま終わるのかなと思いきや、タイトルのオトメノイノリが面白くて、特に最後は寄席なのかな?というオチ。そして個人的には1番最後の去年今年もあまりない目線で楽しかった。

Posted by ブクログ

2018/08/03

石田千のぎゅっと固くなった余韻の多い日本語が好きだ。精米を経て白く透き通った米粒のような。その言い回しは大概他愛もない日々の出来事を少しだけ時代遅れとも思えるテンポでなぞるだけのことなのに、手ぶれのないくっきりとした輪郭の白黒写真のように対象物を立ち上げ、写っていない映像の向こう...

石田千のぎゅっと固くなった余韻の多い日本語が好きだ。精米を経て白く透き通った米粒のような。その言い回しは大概他愛もない日々の出来事を少しだけ時代遅れとも思えるテンポでなぞるだけのことなのに、手ぶれのないくっきりとした輪郭の白黒写真のように対象物を立ち上げ、写っていない映像の向こう側を想像させる。そして少し寂しげ。 その寂しさを醸し出す原因の全てが文体の問題に帰結することはないとは思うけれど、かぎ括弧で括られることのない会話文はすっかり地に溶け込んでしまっていて、この科白は本当に声に出して伝えられたのだろうかと考えさせられてしまう。そう考え始めてしまうと、全てはたった一人の頭の中にだけ存在する世界のようにも見え始め、温度のない切り絵の人々が並べられた様を想像してもしまうのだ。そんなふうに過る影を抱えながら読む静謐な石田千が好きなのである。 それは随筆であろうと小説であろうと変わらない印象であって、この短篇集もまたそのような印象で始まる。ああ、乙女の祈りとはそういうことなのかと確かめながら読み進める。そこに創作落語の台本のような「ヲトメノイノリ」が登場して異彩を放つ。 表題作である「ヲトメノイノリ」のことについてこれ以上語るべきではないようにも思うけれど、予測していた石田千の趣向とは大きく異なるその語り口は、やはり確かに石田千のそれ。酔って饒舌になったような作家の語る人情噺は、東京の東の端の下町の様々な価値観の交錯する雰囲気を仄かに漂わせ、可笑しさと哀しみの綯い交ぜがある。 どうしてこの作品を書くことになったのか、と素朴な疑問も湧くけれど、石田千の世界が総天然色で描かれるのも悪くはない。そんなふうに思いながら短篇集の最後の一片に取りかかる。去年今年、こぞことし、と口先で繰り返し呟きながら。過ぎては帰らざる日々の事を思いながら。

Posted by ブクログ