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Fの記憶 ―中谷君と私― 角川文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | KADOKAWA |
発売年月日 | 2018/01/25 |
JAN | 9784041063439 |
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Fの記憶 ―中谷君と私―
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※このレビューにはネタバレを含みます
*誰も本当の名前を思い出せない、ただFと呼ばれる彼。会社の不正を知った43歳の容子は、Fだったら、と自問する。解体業を営む43歳の悦史は、高校でリンチに遭わせたFの言葉に今も囚われている。41歳の有輔は25年前、淫蕩な母をナイフで刺し殺そうとしていた自分を止めたFの一言を反芻していた。目撃談のように語られるそれぞれのFの記憶。人生において喪失は再生の始まりであることを描いた一筋の光のような美しい物語* 最近お草さんシリーズが重過ぎる私には、丁度いいくらいの重量感でした。翳り、やるせなさ、諦め、もどかしさ、などの入り混じった人間模様の描写はさすが。一筋の光…とまでは感じなかったものの、救いの残るラストもいい。なんだか不思議な読後感が残る1冊。
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若さゆえといえるだろうか、悩み自分をもて余すような時期がある。そんな時期に目立たないはずなのに巣くったように今もときどきよみがえるFという同級生あるいは近所の青年。転機をつくってくれた彼のことを、いいトシになっても苦悩したり思うようにならなかったり不甲斐なさを感じるときに思い出す...
若さゆえといえるだろうか、悩み自分をもて余すような時期がある。そんな時期に目立たないはずなのに巣くったように今もときどきよみがえるFという同級生あるいは近所の青年。転機をつくってくれた彼のことを、いいトシになっても苦悩したり思うようにならなかったり不甲斐なさを感じるときに思い出す……そんな3人の物語と、最後にF自身の今が描かれる。 孤高のF。あざやかに規範を破ってみせるF。3人の物語からそんなF像を描いていたんだけど、最後のF自身の今の物語からは孤高が破られそうな感じが漂ってきた。「ブルータスよ、おまえもか」という感じ。 さながら、「人は一人では生きられない、誰かとともに生きているんだ」的な陳腐な使い古されたムードに、ハッピーエンドでよしと思う部分もありながら、それじゃ、過去のFの言動を転機にした人たちにとって、それって何だったのって思ってしまう。 男だ、女だってくくるのはよくないけど、著者が女性だからこういう話で終わるのかしらと思ったり。男性だと孤高を孤高のまま美しく終わらせる気もする。でも、それもまたありきたりな運びともいえ、そういう意味ではこういう結末だからこそ、考えさせるものがある……ともいえる。 単行本から9年もたっての文庫化ってどうして? 副題についた「中谷君と私」の私って誰? 著者の思い出のなかにF君的な存在がいるのかな……。
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