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歓待について パリ講義の記録 ちくま学芸文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2018/01/01 |
JAN | 9784480098368 |
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歓待について
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裏表紙に「移民や難民の受け入れはどこまで可能か。何の留保や制約もなしに、異邦人=他者を歓迎するなど可能なのか。今日さらに切迫したものとなったこの問いにデリダが挑む。」とあり、世界的に諸所で問題となっている移民・難民問題についての可能性を知りたくて手にとってみた。 が、結論からいう...
裏表紙に「移民や難民の受け入れはどこまで可能か。何の留保や制約もなしに、異邦人=他者を歓迎するなど可能なのか。今日さらに切迫したものとなったこの問いにデリダが挑む。」とあり、世界的に諸所で問題となっている移民・難民問題についての可能性を知りたくて手にとってみた。 が、結論からいうと投げっぱなし状態の感が否めず、アポリア状態のまま終わったのかと思っていたら、解説によると「アポリア」の場を「非受動的なかたちで耐え忍ぶ」ことによって、不可能性のただなかに「決定」と「責任」の可能性を見いだし、もろもろの具体的な法の進歩の可能性をさぐることにある、ということであり、この不可能性の可能性を通過することによってのみ、法を通して、そして法の彼方に、歓待の正義の可能性がかいま見られる、ということだった・・・。ほんとかな・・・!? 最初デリダは、古代ギリシャ悲劇やプラトンなどの古典から事例を引きながら、異邦人の性格のパターンを提示した上で(客、敵、頭のおかしな人・・・)、さらに現代の「遠隔通信技術」の顕著な発達により公的なもの私的なもの国境など境界の曖昧なものとして、さらにそれ故に公的なものに絶えず介入されるものとして異邦人をとらえる。 それを踏まえ異邦人に対する、「絶対的な歓待」と法的になどの制約を伴う「条件的な歓待」との二項対立を設定し、「絶対的な歓待」は絶えず「条件的な歓待」に浸食され、あるいはみずから「条件的な歓待」を要求して、最後には計算可能な義務や権利を設定することで、国家間の相互的な盟約や条約に変じていくという。 正直なところ、このような二元的な項目の立て方や、その一方である「絶対的な歓待」という存在については一概に首肯しがたく、さらにそれがアポリアだと言われても、あくまで観念的なものとしては理解できるものの、物語の世界にはあっても現実社会としてはなかなかイメージしづらい感覚はある。 ここで設定され要求されている「正義」とは自己犠牲さえも厭わない完全無欠のあまりにも厳しい異邦人への「歓待」であるためである。 しかし、デリダにおいてはこのような「正義」を対置することで、現実が直面する移民や難民といった異邦人へ向き合う法の整備を訴えているということである。 本書のこの講義以降、ますます移民や難民問題は複雑と混迷の度合いを増していて、例えば、一人二人ならいざ知らず数百万人単位、数千万人単位となった時、果たしてどこまで耐えることができ、果たしてこの先に光明は見出せるものでなのであろうか・・・。 自分には、むしろ問題を混沌、かつお気楽モードにさせる投げっ放し感があったのだが、どうだろう!?
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