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「幸福な日本」の経済学 講談社選書メチエ663
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社 |
発売年月日 | 2017/11/01 |
JAN | 9784062586665 |
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「幸福な日本」の経済学
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日本経済は戦後の復興期のあと、高い経済成長を享受してきた。1970年代前半の2度にわたるオイルショックにより、成長率は減速したが、それでも先進諸国の間では、オイルショックをうまく乗り切ることが出来、安定成長期に入った。1970-1980年代の日本は世界の中でも経済パフォーマンスが...
日本経済は戦後の復興期のあと、高い経済成長を享受してきた。1970年代前半の2度にわたるオイルショックにより、成長率は減速したが、それでも先進諸国の間では、オイルショックをうまく乗り切ることが出来、安定成長期に入った。1970-1980年代の日本は世界の中でも経済パフォーマンスが高く、「ジャパンアズナンバーワン」という本がアメリカで発行される等、その高パフォーマンスの理由に諸外国は注目していたのだ。 ところが、1990年代はじめのバブル崩壊後の日本経済は、一気にパフォーマンスを悪化させた。当初は、バブル期の不良債権の処理が長引いたことなどによる、それでも、一時的な不振と考えられていたが、その不振は長引き、「失われた10年」「失われた20年」、そして、「失われた30年」と呼ばれる超長期の経済不振に陥り、「日本病」とまで揶揄されるような事態に陥った。 この間、企業は収益を上げるために様々な策を行った。その一つが、労務費を下げる施策であった。採用抑制は就職氷河期を呼び、柔軟な雇用形態は非正規雇用を増やした。結果として、雇用者一人当たりの平均年収は伸びをとめ、むしろ減少する事態を読んだ。平均年収のピークは、今から25年前の1997年の467万円。それが、2021年には443万円に減っている。この間に消費税はあがり、社会保険料もあがっているため、実質の可処分所得はこれ以上の目減りとなっているはずである。企業収益は実は回復している。が、利益は投資や労務費に回らずに内部留保にまわっている。その総計は700兆円に及ぶのではないかという試算もある。アベノミクスでは異次元金融緩和を行ったが、国内の投資は増えていない。機動的な財政施策という名の、政府支出の増大は政府赤字を増やすばかりである。少子高齢化はとまらない。このままでは、年金・医療・介護といった社会保障制度はサステイナブルではないのでは、と疑われる状況にまで来ている。 そういった状況の中、実は日本人の幸福度は、世界的に見てそんなに低いわけではないこと、また、時系列的に見て下がっているわけではない、という不思議なデータを筆者は紹介している。「幸福な日本の経済学」という書名は、そこから来ている。 ただ、人々が幸福感を現在感じていることと、将来の国の施策の持続可能性は、必ずしも関係はない。将来の社会保障等のサステイナビリティに皆が不安を感じているので、企業は国内で投資をしないし、人々は消費をしないし、という悪循環に陥っているのではないかという気が私はする。これを解決するには、まずは政治の信頼の回復であり、そのためには、悪い情報を含めて、このままいけば日本という国がどのようになってしまうのかの正確な情報開示なのではないかと思う。
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