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習近平の悲劇
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習近平の悲劇

矢板明夫(著者)

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習近平の悲劇

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 産經新聞出版
発売年月日 2017/12/01
JAN 9784819113274

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2018/02/14

産経新聞のエース記者が書いた習近平政権の全貌

矢板明夫さんは中国残留孤児二世である。15歳の時に日本に引き揚げ、そこから勉強して慶應義塾大学文学部に入り、卒業後は松下政経塾。更には中国社会科学院などで研究に従事し、産経新聞に入社したのは30歳の時である。2007年から産経新聞の北京特派員として活躍し、帰国したのは昨年である。...

矢板明夫さんは中国残留孤児二世である。15歳の時に日本に引き揚げ、そこから勉強して慶應義塾大学文学部に入り、卒業後は松下政経塾。更には中国社会科学院などで研究に従事し、産経新聞に入社したのは30歳の時である。2007年から産経新聞の北京特派員として活躍し、帰国したのは昨年である。いまや産経新聞を代表するチャイナウォッチャーの一人である。その矢板さんが書いた本だから、面白くないわけがない。 本書の構成は三部に分かれている。 1) 習近平の近況(いわゆる「習近平の悲劇」の全貌):1章から2章 2) 習近平の文革体験(「習近平の悲劇」の原因):3章から5章 3) 習近平の危険な膨張主義外交:6章 矢板さんによれば、習近平の人生の原点は文化大革命であり、彼が文化大革命の時に経験した「下放」である。都会のインテリ大学生が毛沢東の指図で一斉に農村部に「下放」され、そこで肉体労働を主体とする辛酸を嘗めつくす。多くの学生はその境遇にたえられず自殺したり発狂したりしたが、習近平にとって下放は必ずしも悪いものではなく、どうも「青春の良き思い出」となっているようなのだ。だから中国知識人の多くが「文化大革命の再来を許してはならない」と主張しているのに比し、習近平は「文革の時の方が、中国社会は引き締まっていて良かったよね」という雰囲気なのである。習近平は文革に親和的なのだ。 141ページに引用された朝日新聞の社説や記事を読むと、中国共産党に迎合した朝日新聞は中国文化大革命の本質を「完全に見誤っていた」ことが歴然である。 最後が最近の習近平外交である。習近平の外交は本当に危険である。彼は国内の不満が暴発するのを恐れるあまり、そとに敵を作って「愛国主義」を鼓舞し、中国国民の目をそらそうとしている。中国経済はこれから停滞する。失業者は溢れ、人口はピークアウトして急速な高齢化と人口減少局面に突入する。にもかかわらず社会福祉制度は全く整備されていない。もう悲惨の一語というほかはないが、その中国が頼っているのが不動産バブルだ。中国経済の最大の弱点は地方財政にある。地方にはろくな財源がない。主要財源は全部中央政府が握っている。にもかかわらず社会福祉や教育は全部地方政府の仕事だ。歳入は無くて歳出ばかり。これが地方政府財政の実態だ。その地方政府が頼る唯一の財源が「地上げ利益」で、だからこそ中国ではあちこちにニュータウンという名のゴーストタウンが陸続と建設されるのである。そこに資金を供給しているのが融資平台という名のペーパーカンパニーで、この融資平台への違法融資が地方でのマンション林立の資金源となっているのである。このマンション群が売れなくなった途端、地方には莫大な額の不良債権が発生する。最終的にはこの不良債権は全部中央政府が尻拭いを迫られる。その時は、間近に迫っている。そうした中で、中国は対外拡張に血道をあげている。しかし、本書を読むと、その対外拡張は大失敗の連続で、採算の取れない鉄道、採算の取れない高速道路、採算の取れない港湾を全世界で山ほど作っているという。一帯一路などというが、何もない中央アジアに鉄道や道路を引いて、一体何を運ぶというのだ。 幸い、日本には天才的な手腕を持つ安倍晋三という偉大な総理が居て、中国が企む悪辣な外交を封じ込めている。安倍さん以外の政治家が総理だった場合、今頃尖閣諸島には中国の旗が翻り日中関係は断絶していたかもしれない。日本に対してだけではない。中国はインドにもブータンにもベトナムにもフィリピンにも喧嘩を吹っ掛けている。そして各地で反中感情が盛り上がっている。中国外交が破たんする日は案外近いように思える。

Takashi

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