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清張鉄道1万3500キロ
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清張鉄道1万3500キロ

赤塚隆二(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 文藝春秋
発売年月日 2017/11/10
JAN 9784163907239

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2017/12/30

「点と線」をその頂点に松本清張の作品では鉄道が物語の主人公と言えるくらい存在感を示しています。もちろんクロフツが「樽」で確立したと言われる時刻表トリックはミステリーの一大ジャンルだったりしてきたので、松本清張も鉄道という道具立てをフル活用して、自分のミステリー、いわゆる社会派ミス...

「点と線」をその頂点に松本清張の作品では鉄道が物語の主人公と言えるくらい存在感を示しています。もちろんクロフツが「樽」で確立したと言われる時刻表トリックはミステリーの一大ジャンルだったりしてきたので、松本清張も鉄道という道具立てをフル活用して、自分のミステリー、いわゆる社会派ミステリーを作り上げていったのだと思います。しかし、彼の作品の中での鉄道は小説の部品という存在以上のものだと感じてきました。以前、帝国書院の出した「松本清張地図帖」という本には戦争から後の昭和という時代を動き回るエネルギーの軌跡としての路線図が記されていました。本書はそれをさらに経年変化で追い、作品の中で初登場する乗車区間を「初乗り区間」として地図に加えていくという、まさに「乗り鉄」ならではの手法で、膨大な作品群を分類していきます。超マニアック。そこで見えてきたのは、昭和の庶民の「移動したい!」という欲望だと思います。まるで、移動することが自由の証であり、経済力の証であるように旅します。そして、それは人生の前半部分を九州に押し込められた松本清張自身の欲望だったのだと思います。あの時代の清張作品の大ブレイクは松本清張の欲望と時代の欲望がシンクロしたからなのではないでしょうか?また、改めて感じるのは「点と線」の掲載誌が「旅」とか、「波の塔」の掲載誌が「女性自身」とか、徹底的に読者を意識したことです。そう、松本清張は自分の欲望を読者の欲望に重ね合わせることの出来る稀代のマーケッターだったのではないでしょうか?作品のテーマが利権や不正、権力や過剰な欲望に対する怒りであることも、公正な社会、公正な市場を求めるメッセージに見えてきました。

Posted by ブクログ

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