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6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 角川スニーカー文庫
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6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 角川スニーカー文庫

大澤めぐみ(著者), もりちか

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6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。 角川スニーカー文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 KADOKAWA
発売年月日 2017/11/01
JAN 9784041062722

6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。

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2018/01/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 このタイトルで、このプロローグで、この結末か。正直納得がいかない。個人的な好みであることは承知の上であるしこのレビューを読むあなたにもその点だけは念押ししておきたい。これをハッピーエンドと受け取る人もいるだろうが、私のように冗談じゃない、きちんと初志貫徹しなさいと無責任に囃し立てる人間もいるのだ。 (言うまでもないが本レビューはラストシーンのネタバレを含む)  生まれ育った田舎を「何もない」と疎み、「何かある」を求めて街へ、都市へと出て行こうとする少女。  兄の後を追ってサッカーを志すも、早々に兄は別の道へ進んでしまい、しかしそれでもサッカーに打ち込む少年。  不和な両親から逃げるように公園や盛り場へ繰り出し、しかしその場も失う少年。  そもそも両親がおらず、「母のヒモだった男」と暮らすが友人に対してはそうした境遇をひた隠す少女。  心に欠損を抱え、それを埋め合わせようとあがいたり彷徨ったりしているその様をたっぷりと見せ付けられていくのが本作である。  順番的にも最後になる峯村セリカが本書のキモとなろうか。彼女が前三者の話にも深く関わってくる。  性知識の乏しさから高校生で妊娠、出産してしまい、育てきれることもなく子供を放り出していってしまった母親を持ち、その母親のヒモだった男と暮らしている。かろうじて性的関係はないのだが、それがいつまで続くかはわからないことも理解している。  とにかく一人で稼げるようになり、この場所を出て行かなければならない、その使命感が彼女を突き動かす。  そんな彼女に前三者が操られるように別れたり出会ったりということであるが、見方を変えれば、人との別れや出会いというのは割りとそういうものである。ちょっとした巡り会わせで変わってしまう。  なのでそれはいい、それは構わない。  しかしだ、繰り返すが、このタイトルで、このプロローグで、この結末か。  そもそもだ、諏訪君のときはともかくとして、龍輝に関してはきちんと交際を始めたのだから、別れるときにはきちんと双方合意の上で(少なくともその努力をした上で)別れるべきだろう。なぜ一方的に、しかも電車のドアが閉まる瞬間という反論も引きとめもできないタイミングで切り出そうとするのだ。  私がこの郷津香衣という少女に空虚を感じるのはそこなのだ。交際相手の進路が自分の希望先から遠く離れていることを知ったときに、自分の進路を変える気持ちが微塵も生まれなかったために別れを決意した、というのはよくわかる。すごくわかる(二回言う)。最後の最後までうまく切り出せなかったというのもわかる。諏訪君のときもそうだったからだ。  だったらそのまま上京してしまって雲散霧消でいいだろうし(何しろ東京だ、大学生活だ、きっと素敵な出会いもある、それらと見比べてから龍輝を選び直しても遅くはない、たぶん)、なぜそれを駅のホームで切り出そうとし、しかも翻すのだ。先述の通り別れを決意したきっかけはわかる、しかしそれを思い直す理由がわからない。惰性か、愛着か、それならそれでもいい。セリカはそうだ(それでも彼女はその関係を断ち切るわけだが)。だが香衣に関してはよくわからない。  セリカの同居人である正弥はセリカとの離別を知っていた(予想していた)が、諏訪君も龍輝も香衣から別れを切り出されるなんて予想だにしていなかったのではないか。  でもまあいい、そういう自由さも若さだ。恋の始まりも終わりも理屈は不要だ。キャラクターの言動に納得がいかないからといって物語として面白くないとか破綻しているという意味ではない。私はこの判断に納得していないぞという意思表示でしかない。  安心して読めるというのとは違うかもしれないが、面白さは間違いない(つまらないならこんなに長々と感想書いたりしない)。人によっては刺さりもするだろう。  本書が気に入った人は、若干毛色は違うが、「侵略する少女と嘘の庭(清水マリ子)」も楽しめるかもしれない。これは刺さるぞ。

Posted by ブクログ

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