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アンチクリストの誕生 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2017/10/07 |
JAN | 9784480434661 |
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アンチクリストの誕生
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商品レビュー
3.5
13件のお客様レビュー
初めて読むプラハ生まれの作家さん。 表題作『アンチクリストの誕生』が一番長くて90頁位の中篇。展開が早くて面白い。理由がどうあれ、我が子を殺そうとする心理はまったく想像が及ばないが、オチを読むと、さて何が正解だったのだろうか?と思ってしまう。赤ちゃんを守るために男4人(亭主+泥棒...
初めて読むプラハ生まれの作家さん。 表題作『アンチクリストの誕生』が一番長くて90頁位の中篇。展開が早くて面白い。理由がどうあれ、我が子を殺そうとする心理はまったく想像が及ばないが、オチを読むと、さて何が正解だったのだろうか?と思ってしまう。赤ちゃんを守るために男4人(亭主+泥棒3人)に立ち向かう奥さんが一番立派だ、と思って読み進めただけに。
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18世紀、イタリア。おたがいに秘密を抱えた夫婦のあいだに息子が生まれた。だが夫の夢に現れた聖ヨハネの預言によると、その子はアンチクリストで……?!という表題作ほか、巧みなストーリーテリングに舌を巻く幻想歴史小説短篇集。 収録作のうち「月は笑う」はアンソロジー『書物の王国4 月...
18世紀、イタリア。おたがいに秘密を抱えた夫婦のあいだに息子が生まれた。だが夫の夢に現れた聖ヨハネの預言によると、その子はアンチクリストで……?!という表題作ほか、巧みなストーリーテリングに舌を巻く幻想歴史小説短篇集。 収録作のうち「月は笑う」はアンソロジー『書物の王国4 月』で既読。少し硬派な印象だったが、本書でまとめて作品を読んでみると意外にしっかりエンタメに振り切った作風の人なのだなとイメージが変わった。 特に表題作。主人公の靴屋を脅す三人組の漫画っぽいキャラ造形や元尼僧の妻が開き直ってみせる強さなど、コントのように会話劇が転がっていった先にあのオチ。〈アンチクリスト〉の正体の小物感こそが、この夫婦にぴったりではないだろうか。訳者あとがきで夫の見た夢について「天からきたものであることはまず疑いありますまい」と言われているが、個人的にあの夢は本当の天啓ではなくて、元殺人者が妻に連れられて教会へ通ううちに自覚なく深い信心を持つようになったことを表しているものだと思った。そうしてぼんやりと男の頭に残っていた知識と夫婦の後ろ暗い過去が不幸にも重なり合って悲喜劇が走りだしてしまったと考えるほうが面白い。 また、収録作には漱石ばりに三角関係の話が多い。これは長篇にも共通するぺルッツのオブセッションのようだが、漱石と違うのは三角関係に伴う葛藤を扱うのではなく、不貞に気付かぬフリをしている男が狂気に囚われていくさまにフォーカスしていることだ。妻と不倫相手は発狂の種明かしとして触れられるだけで、彼女らの内面が描かれることはない。ぺルッツのオブセッションは〈男のヒステリー〉や〈男の神懸かり〉を書くことにあり、妻の不貞はその理由づけとして時代に要請されたものという気がする。 本書の作品で扱われた時代は18世紀から20世紀まで、場所はロシア、イタリア、フランス、ハンガリー、チェコ、オーストリア、スペインと幅広く、どこを舞台に選んでもその土地の文化と歴史に対する教養に裏打ちされた文章に惚れ惚れする。「月は笑う」の〈月に呪われた一族の年代記〉が実在しないのが残念なくらいだ。
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最近は物語を口頭で語る語り部がいなくなった。ベッドで子供にお伽話を語る親も減っているだろう。たまに帰ってくると子供たちに不思議な話をする親戚のおじさんや親睦サロンで冒険の数々を語る紳士もいない。「ほら吹き男爵の冒険」のミュンヒハウゼン男爵のような。文章でなく口述で語られる物語こそ...
最近は物語を口頭で語る語り部がいなくなった。ベッドで子供にお伽話を語る親も減っているだろう。たまに帰ってくると子供たちに不思議な話をする親戚のおじさんや親睦サロンで冒険の数々を語る紳士もいない。「ほら吹き男爵の冒険」のミュンヒハウゼン男爵のような。文章でなく口述で語られる物語こそストーリーでありその口調や間、表情などがセットになってかつては多くの人を魅了した。 レオペルッツが語る話はまさにそれ。物語とはその現場にいたひとりの視点で語られる。信じる信じないは聞き手次第。複数の視点で語られる小説は小説でしかなく、演劇のように語る落語は落語でしかない。それは成立の時点で既に作り話なのだ。 「アンチクリストの誕生」。おかしな夢を見た靴屋のパレルモは夢判断で自分の子供がアンチキリストだと確信する。子供を殺そうとするパレルモと守ろうとする妻。話は二転三転四転五転!パレルモが最後にとった行動は?そして子供の正体は?そんな話8編収録。世界を旅してたまに帰省してそんな土産話をしてくれるおじさんが私も欲しかった
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