悪魔のジョン・レノン ジョン・レノンのリビドーはイエス・キリストへの嫉妬だった。ジェラスガイ！

岡田ナルフミ(著者)

• 販売会社／発売会社: たま出版
• 発売年月日: 2017/09/01
• JAN: 9784812704042

商品レビュー

2019/08/03

平和と愛の象徴に祭り上げられてしまったジョン・レノンを批判する心意気や良し、と期待して読みはじめたのだが、表現が稚拙で読むに堪えない。。残念。

2018/01/03

　いわゆる「とんでも本」と呼ばれている書籍が、世間にどれほど流通しているのかは知らない。
　ただ、「とんでも本」だけを集めて紹介している書籍も何種類かあるのだから、かなりの数になるのだろう。
　ビートルズ関連の本がどれほど流通しているかも知らないが、こちらもかなりの数になることは想像に難くない。
　では、ビートルズ関連のとんでも本って、どれくらいあるのだろう。
　暴露本的な書籍は結構あるみたいだし、僕も何冊か読んできている。
　ただそれらを「とんでも本」と呼ぶのには、ちょっと違うようにも思えるが。

　いずれにしろ、この「悪魔のジョン・レノン」、少なくとも僕にとってはかなりのとんでも本であり、読んでいるうちは激怒したり、失笑したり、著者が可哀想になったり、著者を心配したり、と感情の起伏だけを考えるとかなりエキサイティングな内容だったように思う。

　ちなみに出版社はあの「たま出版」。
　社長は韮澤潤一郎さんといって、自称UFO、超常現象研究科。
　以前はよくテレビで早稲田大学の大槻義彦教授と「あれはUFOだ！」「違う！　あれはプラズマだ！」と討論していた人だ。

　さて、著者が何を言いたいのかを一つにまとめるのは、ちょっと難しいのだが、あえてまとめてみると次のようになる(「」内の内容は本書からの引用)。

・ジョン・レノンという男を、イマジンの歌詞をもじって表現すると「イマジン、オール・ザ・ピープル！　ジョン・レノンは気分屋、情緒不安定で病的に自己中。ジョンは欲が深くドラッグ中毒者で、フリーセックス主義で全身が腐っている！　彼は物を盗んでも反省せず逆に自慢をする。彼は弱い者いじめが大好きで偽善者で嘘つきだって、思ってごらん」ということになる。
・そんなジョン・レノンは我々日本人を「ジョン的な自己満足サヨク独りよがりセンズリ左巻き平和主義者」にしようと影響を与えている。
・それは、憲法9条を順守させることで日本人を平和ボケにして戦争を呼び込もうとするため。
・だから我々日本人は「憲法9条こそが戦争を呼び込む戦争憲法だ」ということに気が付き、「1秒でも早く狂気の憲法前文と９条を改めて、まともで常識があって大人の本気の平和主義の国に日本を変えなければならない」のだ。

　とまぁ、こんな感じ。

　憲法９条の是非に関してはここでは触れないけれど、著者によれば、ジョン・レノンは日本を戦争に導く悪魔的存在、なのだそうだ。
　詳しい内容は(興味ある人は)本書を読んでもらえばいいかなと思う。
　まぁ、読んでもらっても理解できるか、納得できるかは保証できませんが。

　著者は上記の内容を本気で信じているようなのだが、読んでいるとまず著者の中に上記のようなジョン・レノンのイメージが出来上がり、そこからそれを証明するために、様々な書籍から(そのイメージに合致した)発言やエピソードを拾い上げてくる、といった方法をとっているように思える。
　要するに「結果ありき」にしかみえないのだ。

　そんな内容を、これまた不安定な日本語文章で書かれているので、読んでいてある意味「面白い」。
「てにをは」がおかしいところが所々あり、「そこは読点じゃなくて、句点だろうに」といった箇所も出てくる。
　自分ではユーモアのある人間のつもりで書いているのだろうけれど、言葉のチョイスにセンスが全くないので、「寒い」以前の状態になっている。

　それに……っと、書きたいことはまだあるし、ジョン・レノンとキリストの関係を著者がどう描いているかも書いておいた方がいいようにも思えるのだけれど、時間をかける程の内容でもないので、もういいや。

　ビートルズ関連の本を全部集めている人、アンチ・ジョン・レノンの人、時間とお金を持て余している人、ちょっと変わった内容の本を読みたいと思っている人、そんな人たちはなるべく早く本書を手に入れたほうがいいと思います。
　多分、すぐに絶版になるだろうから。