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彼女の十字架に濡れる瞳 悦文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | イースト・プレス |
発売年月日 | 2017/09/11 |
JAN | 9784781615783 |
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彼女の十字架に濡れる瞳
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商品レビュー
5
1件のお客様レビュー
切ないドラマに官能を結びつけた高純度の性愛小説
官能ありきではない叙情的なドラマを盛り込む性愛小説を上梓してきた葉月奏太×悦文庫のタッグは本作において1つの到達点へ辿り着いたかのようである。過去を乗り越えることで現在があり、そして未来へと繋がる。辛苦の過去が現在で浄化され、新たな未来へと紡がれていく。きつく結ばれていた哀しき絶...
官能ありきではない叙情的なドラマを盛り込む性愛小説を上梓してきた葉月奏太×悦文庫のタッグは本作において1つの到達点へ辿り着いたかのようである。過去を乗り越えることで現在があり、そして未来へと繋がる。辛苦の過去が現在で浄化され、新たな未来へと紡がれていく。きつく結ばれていた哀しき絶望の糸が解かれ、新たに希望の色へ染まってから結び直されるような、そんな心温まる物語が描かれていた。故に官能的なアプローチの一部で違和感を覚える場面もあるのだが、それだけ小説としての物語性が勝っていたのであろう。裏を返せば官能描写を全部抜いても恋愛小説として成り立ちそうな作品とも言えそうである。 前半のヒロイン【美華子】30歳 フィットネスクラブで水泳インストラクターのアルバイトをしている大学生主人公(20歳)の生徒にして妖艶な人妻。夫とは別居中だが想いは失っていないようで、しきりに復縁を迫られては邪険にしているものの内心では復縁のきっかけを探していたのかもしれない。そして、そのきっかけは主人公との関係により生じたようである。主人公を「先生」と慕いつつ、ちょっぴりからかいつつ、艶っぽく誘惑しているのは夫の浮気という別居の理由を美華子自身が当てつけ代わりに追体験するためであろう。しかし、美華子には本来の役割がある。主人公の覚悟を幾度も確認した後にキューピッド役を果たすことである。 メインヒロイン【涼乃】29歳 美華子の親友にしては対照的に控えめで清楚な涼乃には抱え切れないほどの過去がある。今は婚約者もいて、一目惚れした主人公は初手から意気消沈しているのだが、その哀しい過去に主人公は間接的に係わっている。物語のクライマックスと言える第四章の章題『十七年後の贖罪』だけが理由ではないが、徐々に主人公へ惹かれていく涼乃の気持ちは後に知ることとなる。実は主人公も涼乃と同じ境遇で人生を歩んできたと言えるのだが、そうした過去を乗り越えるために必要な人物もまた主人公だったのである。 涼乃の本当の解放を願う美華子のイイ女っぷりが描かれる中で実は婚約者もまたイイ男だったりする。己を弁えた婚約者は、ライバルとして立ちはだかるかのように見える前半と好人物として見直される後半という2つの顔を持っており、本作の叙情性に彩りを添えている。誰もが良い人であり、誰かを支えているからこその感動が描かれているとも言えよう。 官能面においては美華子の積極的な淫らさがウェイトを占めている印象だが、最終的には心をも通わす涼乃と主人公の情交もまた別の趣がある。
DSK