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滑らかな虹(上) ミステリ・フロンティア
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 東京創元社 |
発売年月日 | 2017/08/31 |
JAN | 9784488017972 |
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滑らかな虹(上)
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商品レビュー
3.6
5件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
相変わらず透明感のある精緻な筆致と、そこから覗く不穏さがたまらない。クラス内に紛れたいじめっ子への対策として柿崎という教師が仕掛けた『ニンテイ』という謎のゲームの設定が面白く、小学五年生が各々考えた能力を使って学校生活を送るさまはラノベのようなワクワク感に満ちている。まるで能力バトルのようではあるが、あくまでこれはゲームで能力を演じているだけであり、自分の能力を使うためにそれぞれが決まりごとに従っているだけに過ぎないという塩梅が実によい。 前作、『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』と同じく、キャラクターの描き方がとても上手く、書割ではない、いい意味で心理を掴み取りにくいキャラクターたちへと仕上がっている。書割でない、というのは、生々しいリアリティがある、という意味ではなく、作中人物の人格に対する断定や、作者の神の目による決めつけがまるでなく、平たく言えばキャラクターの描き方に作為性を全く感じないのだ。あくまで登場人物の主観からはみ出るものではないので、読み手としては足元がおぼつかないような、そんなゾワゾワとした不安感が常にあり、小学生特有の流動的な人間関係の渦中に放り込まれたような心もとなさが常につきまとっている。柿崎も何かしら一物抱えているだろうが、それは冒頭の手紙の書き出しから感じる読み手の憶測であり、それに対する目配せはない。あったとしてもそれはとても目立たないインサイドワークであり、仰々しさがない美徳さこそが作者の一番の持ち味であろう。この描き方には毎度夢中になってしまう。 作劇の仕方はかなり独特で、三つぐらいの話が同時進行しているのだが、内二つに物語全体を引っ張るほどの大きな吸引力はなく、スケールは若干小さめで、どちらかといえば伏線と呼ばれる類のものである。それらを張り巡らせつつも、基本的には上巻では何も大きな出来事は起こらず。『ニンテイ』を終わらせる能力者「エンド」の存在はあくまで下巻へと持ち越しで、途中に疾走して家出した女子中学生の話も下巻で明かされることになるだろう。ストーリーの大きな柱となる佐々山と峰のいじめの話も、ずっと秘匿していた主人公の隠された能力「アジール」という能力外の治外法権(安全地帯)を作り出す能力による説得&交流と、疾走した女子中学生の弟の能力「バンパイア」による強制的仲直りで綺麗に幕は閉じたため、下巻への求心力は少し低下したように感じられる。だが逆にこれがミソで、一見解決した話でも、その余波や影響力が残っているというのが作者の持ち味であり、ここからさらにどう物語を展開するかが凄く興味がある。一息で上巻を読んでしまうほど面白かったので下巻が待ち遠しい。
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ニンテイという独自ルールを運用しているクラス。ニンテイによっていじめに似たことがおきたり、ニンテイによって仲直りができたり。このルールが最初のうちよくわからなかったのと、語り手が生徒と教師の交互なので、名前の呼び方がバラバラで読むのに時間がかかった。下巻はスムーズに読めそう。
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ニンテイという特殊ルールを運用するクラスを舞台にした物語。 上巻はまだ種蒔き段階のような印象だった。
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