壁を越えろ 走り続ける才能たち

安藤隆人(著者)

• 販売会社／発売会社: 実業之日本社
• 発売年月日: 2017/08/01
• JAN: 9784408337197

商品レビュー

2024/03/25

「走り続ける才能たち」の続編。
本田世代に続く、小林祐希、柴崎岳、昌子源、植田直通、
浅野拓磨、南野拓実、堂安律の各選手の物語に迫った本。

※走り続ける才能たち
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/440845365X#comment

内容としては前作同様なのですが、
どの選手も自分に厳しく、高い志を持ち、
サッカーに取り組んでいる様子が伺えます。
どの選手も著者の意見・アドバイスを参考にして、
さらにうまくなろうとしていることと、
必ず試練となるようなうまくいかないタイミングに
遭遇しているということが印象的でした。
どんな有名選手でも常に調子のよい時ばかりではなく、
試合に出れないなど大変な時期があり、
そこをどのようにして乗り越えたのかが
大事になってくるということがよくよく分かります。
そういう意味では、常にチヤホヤされるような環境だと、
メンタル的に弱くなってしまうということかもしれません。
早い段階で小さな挫折を経験することも
大事なことであると学びました。

残念なのは、密着取材したわけではないので、
どんな風に各選手が試練を乗り切っていったのかは、
あまりわからないところ。
色んな選手に着目しているがゆえに、
一人の選手をずっと見続けるのは難しいので仕方ないのですが。
選手を取材した他の記事や本などと合わせて読めば、おそらく理解が進み、
複合的にその選手のことを理解できるようになることでしょう。

一方で、興味深かったのは、この本ではなく、
雑誌Numberのウェブ記事で著者の投稿した以下の記事。

「お酒に逃げた」25歳で引退した堂安律の“元相棒”が初告白…“遠藤保仁の後継者”と呼ばれた天才パサーの後悔「なんであんな行動したんやろ」
https://number.bunshun.jp/articles/-/860921

成功ではなく、逆に失敗事例の選手（市丸瑞希氏）の事例が赤裸々に乗っています。
おそらく著者は市丸選手のことも若いころから着目し、
取材をしていたのでしょう。
そして、彼もうまくキャリアを築くことができたのであれば、
この本の中に登場する一人だったはずです。
しかし、現実は厳しくそうならなかった。
（成功・失敗の定義は難しいですが、）
成功した選手と失敗した選手の両面を見ることで、
サッカーの難しさ・過酷さを知ることができるかと思います。
これは本と合わせて、ぜひ読んでもらいたい。

前作同様、サッカーでプロを目指している中高生に
ぜひ手に取ってもらいたい本でした。