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小指が燃える
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 2017/08/05 |
JAN | 9784163906980 |
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小指が燃える
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『私たちは探し求めているものしか見えないのだ』―『沈黙のなかの沈黙』 私小説風の、と言いかけて言い淀む。私を語っているようで、それは虚構の世界の中に巣食う私でしかない。その嘘の私が、実の私の書いた物に言及し、書きつつある物を説明する。その虚構の世界の私もまた、自身が書いた物の中...
『私たちは探し求めているものしか見えないのだ』―『沈黙のなかの沈黙』 私小説風の、と言いかけて言い淀む。私を語っているようで、それは虚構の世界の中に巣食う私でしかない。その嘘の私が、実の私の書いた物に言及し、書きつつある物を説明する。その虚構の世界の私もまた、自身が書いた物の中に迷い込み悶々と己の内に秘めた狂気と対峙する。営々と続くのは神に対する不信と、不信を咎める信仰心の対立。信仰の根には何があるのか、現実の世界における神の不在をどのように捉えるのか、そんなことを鬱々と内省し続ける。 この寡作の作家の作品を細ぼそと読み継いでいたつもりではあったが、どうやら単行本を一冊読み飛ばしたらしい。この文体は既にその作品で取り入れられたもののようだが、想像していた文章との違いに少したじろぐ。こちらも読んでいない文芸誌に発表された作品「小指が重くて」への重度の言及にも戸惑う。それでもこれを、この余りにも作家の内面をあからさまに描写する文章を小説と呼ぶのなら、そこに作家自身を読み解くのではなくメタファーとしての存在を通した先にあるもの、言い掛けているものを読み解かなければならないのだろう。 それはこの作家の作品に現れる不変な問い。人間はどこまでも残酷になれるのか、それとも残酷な人間は神の恩寵とは無縁の存在なのか。残酷な人間に生まれついてしまったものは真の信仰を持ち得ないのか。苦しみを受ける側に対する慰めとなる神の不在についての説明は幾つもあるが、加害者側に対する神の救済は赦しということ以外に見当たらない。では赦しとは告解するだけで与えられて当然なのか、犠牲は常に神に対する信仰心を試すものと捉えなければならないのか。『私たちは、苦しみ、死、災厄、不幸、悲劇などと呼ぶものを、ほんとうは自由の代償と呼ばなければならない』。ジョン・ファウルズの警句がじわじわとナイーヴな哲学を腐食する。
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原子爆弾が落とされて、これで良かったのだ これしかなかったのだ と、思ったことが私にもあるだろう きっとある 祈りと神と原罪と人間の、私は何たるかを分からないけれどどうしてこうも海のように晴れ渡っているのか
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小さな岬の寺でのお葬式、ここから隠れキリシタン・潜伏キリシタンの関係や習俗、信仰の継承の話へと。 私が常々不思議に思っていた、言葉の壁がある宣教師の教え。タタリを恐れて? 主人公の十数年後~三十年後へと、外から自分を見ている姿がリアルに感じられてゾクッ。 「小指が燃える」は、敗残...
小さな岬の寺でのお葬式、ここから隠れキリシタン・潜伏キリシタンの関係や習俗、信仰の継承の話へと。 私が常々不思議に思っていた、言葉の壁がある宣教師の教え。タタリを恐れて? 主人公の十数年後~三十年後へと、外から自分を見ている姿がリアルに感じられてゾクッ。 「小指が燃える」は、敗残兵士の物語。
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