TWILIGHT アニメスタイルコミックス

なかむらたかし(著者)

• 販売会社／発売会社: スタイル
• 発売年月日: 2006/04/15
• JAN: 9784902948035

商品レビュー

2007/12/16

なんか自分の心に栄養を……と思って
なかむらたかしの「Twilight」を購入。
以前から買おうと思っていたのだけどなんとなく時期を逃していたのですが、何かほかにもいろいろとこまごまとした注文をしたときに勢いで注文してみた。「ファンタジックチルドレン」から入った人にはどちらかというと絵柄が劇画調に感じられるかも。「AKIRA」とか「ウラシマン」をご存知の方は、そんなに違和感なく入り込めるのではないかと。なかむらさんの話というのは、ちょっと稲垣足穂みたいな洒脱な不思議さを伴った終わり方になるイメージがあるのですが……（星新一というよりは稲垣足穂な大人びた洒脱さがある気がする）王道で終わるかと思ったら、最後にひねってあるというか……スカっと抜けてるというか……何とも言えないラストにたどり着くのですけどそれが書き方によっては、甘い終わり方を期待した読者にとっては余りにも苦い。と感じるような終わりなのに、どこか、心に迫る感傷を表現している――余韻が残るというか……この独特の終わり方が、なかむらたかしの個性なのだな。とやっと認識するようになりました。全体的な手触りとしては、『ほっとする』とかそんな感じなんですけど（笑）これはとても個人的にということで……こどもの頃読んでいた話というのは、こんな感じだった！　みたいな……一種、久しぶりに地面にたどり着いたような安心感みたいなのがあって、自分の世界に帰ってきたような気分になりました。解説の方も書かれているんですけどこどもの頃はこういう話って、実は面白いと思って読んでいたわけじゃないような気がするんですよね。読んでも理解出来ないし、カタルシスもない。それでも何か――読まずにはいられない何かがあってむさぼるようにこういう話を読んでいたような気がします。系統的には少年少女向けというよりはガロとか……なのかなあ……ますむらひろしとか？　あんなに……童話よりでもないけど。なんか物語的にはかがみあきらとか彷彿とさせるところがあってでもなんか、かがみさんはもう少しわかりやすい王道な感じとかアクション系が強かったのに対してなかむらさんだと外側から見ている感じが強いというかちょっと文学的で……その分物語として……短篇とかの完成度が高いような感じがあります。連載漫画の流れて行くような感じではなくて短篇の持つ感傷みたいなのを表現するのが凄く巧い。少しは心に栄養をあげられてよかったです。早くアニメの新作もみたい。

でも趣味以外の人には受けないかも。とも思うので星四つ