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維新の羆撃ち
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維新の羆撃ち

経塚丸雄(著者)

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維新の羆撃ち

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 河出書房新社
発売年月日 2017/06/21
JAN 9784309025797

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2022/06/09

猟師(マタギ)関連の展示で紹介する書籍として読了。 日本を舞台にした「アニマルパニック」としては、やはり羆(ヒグマ)にまさる相手はいないでしょう。 古くは吉村昭の『羆嵐』にあるような大きな人への被害を出した事件もあり、一撃で人間を殺すことができる猛獣として、現代日本でもなお猛獣と...

猟師(マタギ)関連の展示で紹介する書籍として読了。 日本を舞台にした「アニマルパニック」としては、やはり羆(ヒグマ)にまさる相手はいないでしょう。 古くは吉村昭の『羆嵐』にあるような大きな人への被害を出した事件もあり、一撃で人間を殺すことができる猛獣として、現代日本でもなお猛獣として恐れるに足る存在だと思います。アイヌの人々が「神」として畏敬の念を抱いていたことにも納得です。 この作品の主人公は、戊辰戦争で敗れ、逃亡を続けた旧幕府側の武士。新政府軍に撃たれ、朦朧とする中で羆に襲われましたが、猟師とその妻に命を助けられます。 厳しい自然環境の中、猟師に技術を教わり、やがて後継者「穴熊佐吉」として里にも受け入れられていきますが、戊辰戦争の時の心の傷は癒されぬまま、「(武士らしくあるためには)どう生きるべきか」という命題を抱えて悩み続けます。 新しい時代が始まり、新しい価値観が広がる中で、自分を変えることができず、かといって「変節」した友人や家族の助けを借りずに生きることもできず、悶々とした日々を送る中で、猟に失敗し、一頭の羆を手負いにしてしまいます。 その手負いが人を襲い、佐吉は自らの責として手負いにトメを差しに雪深い山のなかへと入っていきます。 大自然の中で、そして命の恩人でもある猟師との触れ合いの中で癒される心と、反面厳しい自然の中で自らを見つめなおす視線が交錯し、「何のために生きるのか」「どう生きるべきなのか」という問いを突き付ける小説でもあり、ただ単に「狩猟」を描いただけのスリル小説ではありません。 もちろん、羆との命のやり取りも鬼気迫るものがありますが、エンタメ小説としての枠内に収まらない「深さ」がある作品だと思います。

Posted by ブクログ

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