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いかにして民主主義は失われていくのか 新自由主義の見えざる攻撃
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 2017/05/01 |
JAN | 9784622085690 |
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いかにして民主主義は失われていくのか
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商品レビュー
3.7
8件のお客様レビュー
簡単にいうと本のタイトルに要約される。新自由主義が見えないうちに私たちの生活に入り込んで、民主主義を破壊しているかという本。 それだけだと他にも同様の主張をする本は多そうだけど、この本は、アメリカの現状を具体的に説明するだけではなく、哲学思想のレベルでどうしてそうなっているのか...
簡単にいうと本のタイトルに要約される。新自由主義が見えないうちに私たちの生活に入り込んで、民主主義を破壊しているかという本。 それだけだと他にも同様の主張をする本は多そうだけど、この本は、アメリカの現状を具体的に説明するだけではなく、哲学思想のレベルでどうしてそうなっているのかということをフーコーの「生政治の誕生」を基軸におきながら、解読していくところが面白いところ。 といっても、フーコーの議論は、70年代後半で、サッチャーやレーガンが政権をとる直前の話し。そこからすでに40年くらい経っているわけで、その後の変化を踏まえつつ、フーコーの議論の不十分な部分を補いつつ、現実を踏まえながら、理論的にも乗り越えていくところに著者の哲学者としての力量を感じる。 哲学的な本なので、読みやすいわけではなく、一応、「生政治の誕生」をはじめフーコーの講義録を何冊か読んだわたしもときどき迷路にはいっていく。 が、結論部分は、ほんとそうだよなと納得するものであった。 新自由主義は、もともとファシズム、全体主義に対抗するため、全体に対抗する個人を守るための思想であったのだが、経済だけでなく、政治、家庭、個人の人生が資本主義に飲み込まれて、結果的に個人が「人的資本」としてしか存在しないものになってしまう。そして、そこに皮肉なことに、違う形での全体主義を生み出す土壌ができてしまう。ということなんですね。
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前半部分は『生政治の誕生』講義の簡単なまとめとなっていて読みやすい 後半は、『生政治の誕生』講義を民主主義論に接続させた感じ
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著者ウエンディ・ブラウンによる新自由主義分析の書である。他の新自由主義批判と大きく異なる点は、新自由主義をフーコに習いながら、単なる経済的諸運動ではなく政治の経済的言説化を通して、政治体制、社会制度、教育、そして人間そのものさえ作りなおす理性の命令ととらえる。 私たちは新自由主義...
著者ウエンディ・ブラウンによる新自由主義分析の書である。他の新自由主義批判と大きく異なる点は、新自由主義をフーコに習いながら、単なる経済的諸運動ではなく政治の経済的言説化を通して、政治体制、社会制度、教育、そして人間そのものさえ作りなおす理性の命令ととらえる。 私たちは新自由主義を20世紀のケインズ主義から19世紀的経済自由主義への先祖返りとおらえる傾向があるが、ブラウンそれは全くの間違いであると指摘する。新自由主義は政治ホモ・ポリティクスをホモ・エコノミクスで書き換え、民主主義そのものの存在を否定してゆくという。 彼女は民主主義を「民衆支配」「人民による支配」より大きな意味を持たせない。民主主義は近代では自由民主主義として資本の本質を覆い隠す言葉として使われてきたし、オキュパイ運動の参加者は「これが民主主義だ!」と叫んだ。民主主義はこのように多義的だが、民主主義なくして自らの未来を創る権利を与えるような言語や枠組みを失うという。 ガバナンス、人的資本、ベストプラクティス確かに価値中立的言葉で西洋が作り出してきた民主主義を意味のない言葉にしてゆく。 本書を読むに際して、アメリカの現実と差異があるためか、具体的問題(取り上げられているのは、イラクへのベストプラクティスで支配の実態、大学の教養課程の衰退など)と哲学的論証がどうも釣り合わない感じを受ける。それがこの本を理解しがたくしているように感じる。
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