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命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2017/05/27 |
JAN | 9784101301822 |
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命のまもりびと
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商品レビュー
3.5
3件のお客様レビュー
本書の主人公はNPO法人「蜘蛛の糸」を創設した佐藤久男である。佐藤が始めた「いのちの総合相談会」では、弁護士や司法書士、臨床心理士など専門家と一緒に相談を受けるのが特徴だ。 佐藤はもとは経営者であったが倒産し、自殺の寸前まで追い込まれた。自殺を図るとき、人は誰かに誘導されるような...
本書の主人公はNPO法人「蜘蛛の糸」を創設した佐藤久男である。佐藤が始めた「いのちの総合相談会」では、弁護士や司法書士、臨床心理士など専門家と一緒に相談を受けるのが特徴だ。 佐藤はもとは経営者であったが倒産し、自殺の寸前まで追い込まれた。自殺を図るとき、人は誰かに誘導されるような感覚になったり記憶がなくなったりすることも多いという。 日本の年間の自殺者が初めて3万人を超えたのが1998年。バブル崩壊で銀行は大量の不良債権を抱え、97年11月に北海道拓殖銀行が、98年10月に日本長期信用銀行が破綻した。98年4月から自己資本比率を引き上げることが求められた銀行が「貸し渋り」や「貸し剥がし」をするようになり、中小企業は資金が回らなくなった。そのために、98年に中小企業経営者の倒産自殺が増えたのだ。 秋田県の自殺対策は1999年の寺田知事(97年就任)の決断であった。初めて予算を付けて本格的に取り組み始めた。「秋田モデル」と呼ばれるようになったその後の取り組みは、 ・行政(秋田県):計画 ・大学(秋田大学):研究 ・民間(NPO):実践 の三位一体の対策で、具体的には、 ①啓発活動→自殺予防リーフの全戸配布 ②相談体制→相談窓口「ホットライン」の設立 ③うつ病対策→メンタルヘルスサポーターの養成 ④予防事業→秋田大学との自殺予防モデル事業 ⑤予防研究→秋田大学自殺予防研究プロジェクト の5つである。 さらに、2006年発足の「秋田・こころのネットワーク」でNPO同志の連携が、2010年発足の「秋田ふきのとう県民運動実行委員会」で三位一体の連携が強化された。
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本書の主人公は、サブタイトルにもありますやうに、秋田県の自殺者減少に尽力してゐる、佐藤久男氏。 佐藤氏は、NPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げ、自らカウンセリング活動をしてゐます。犍陀多真ッ逆さま。 何でも秋田県はかつては自殺率ワーストだつたといひます。中小企業の経営者が、倒産に追ひ...
本書の主人公は、サブタイトルにもありますやうに、秋田県の自殺者減少に尽力してゐる、佐藤久男氏。 佐藤氏は、NPO法人「蜘蛛の糸」を立ち上げ、自らカウンセリング活動をしてゐます。犍陀多真ッ逆さま。 何でも秋田県はかつては自殺率ワーストだつたといひます。中小企業の経営者が、倒産に追ひ込まれ困窮した結果、自殺を選んでしまふケイスが多かつたとか。 佐藤氏が「蜘蛛の糸」を立ち上げた当時(2002年)、秋田県では自殺者が537人もゐたさうです(うち自営業者が89人)。それが2016年には263人(うち自営業者が20人)まで減少したさうです。 佐藤氏は、なぜかかる活動を始めたのか。実は佐藤氏自身がかつて経営者として会社を潰してしまつた経験があるのでした。。 追ひ詰められた佐藤氏は、精神に異常を来たし、娘の声の幻聴により自殺直前まで行きますが、門衛の呼びかけにより我に返り危機を脱した事も。 そんな経験もあつて、経営者が会社を倒産させたからといつて命まで失ふのはをかしいとばかりに、経営者向けに無料のカウンセリングを続けてゐるさうです。 佐藤氏は別段カウンセリングの専門家ではありませんでした。しかし「ゆっくり、きっちり、じっくり」をモットーに、時間をかけてもいいから、兎に角相談者の話を聞く。二時間三時間に及ぶこともあるとか。相談の結果、何も問題は解決しない事もありますが、それでも相談者としては、誰にも話せなかつた事を人懐こい笑顔の佐藤氏に告白することで、少しずつ心がほぐれていくのだといふ。さらに佐藤氏は相談の最後に、必ず次回の面会予定を入れるのです。必ず来週もう一度来てね、と約束してもらひます。これで、少なくとも次回までは自殺しないでくれるだらう。 サブタイトルに、「秋田の自殺を半減させた男」とありますが、無論佐藤氏ひとりの力だけではありますまい。秋田県庁、秋田大学などもこの問題に力を注ぎ、いはば民・学・官のトライアングルで成果を挙げてきました。このスタイルは「秋田モデル」と呼ばれ、他の自治体なども注目してゐるさうです。 しかし佐藤氏の尽力がなければ、ここまでの盛り上がりを見せなかつたでせう。 ところで、自殺をすれば無に帰ると思ふのは大間違ひでありまして、確かに肉体は滅びるが、心は浮遊霊などの因縁霊としてさらなる苦しみが続きます。何より、残された家族の迷惑を考へたら、さういふ無責任は事は出来ぬ筈であります。 それだけに、佐藤氏の活動には敬意を表するのでした。 http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-790.html
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自殺率全国一位の秋田で主に中小企業の経営者の相談者として悩みを聞き、この先どうしようもないと思い、自殺まで思い詰める相談者の手助けをボランティアとして続けている佐藤久男氏の生き方と、相談に来る人びとを描く。 重たいノンフィクションではある。しかし中村氏の体験に基づく助言、行動で相...
自殺率全国一位の秋田で主に中小企業の経営者の相談者として悩みを聞き、この先どうしようもないと思い、自殺まで思い詰める相談者の手助けをボランティアとして続けている佐藤久男氏の生き方と、相談に来る人びとを描く。 重たいノンフィクションではある。しかし中村氏の体験に基づく助言、行動で相談者はなんとか立ち直っていく再生の話でもある。 終盤は秋田ばかりでなく、東日本の震災被害者の相談にも出かけていく佐藤氏の姿が描かれる。中村氏の行動力と相談者に心を寄せる姿には頭が下がる。 未だに立ち直りきれない被災地の現状を垣間見、阪神大震災を体験した私にとっても東日本の震災は阪神とは異なる問題を多く抱えていることを痛感した。
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