ジョージおじさん 十七人の奇怪な人々 ナイトランド叢書2-5

オーガスト・ダーレス(著者), 中川聖(訳者)

• 販売会社／発売会社: アトリエサード/書苑新社
• 発売年月日: 2017/04/01
• JAN: 9784883752584

商品レビュー

2023/11/27

出版社アーカムハウスを興したことで知られる作家オーガスト・ダーレスによる短篇集。ベンスンのそれが正統派怪談だとすると、こちらはクリープショーのようなホラー映画を思わせる手触り。もちろんそこに優劣はなく、どちらも良いと言いたい。因習村の恐怖を描く「ロスト・ヴァレー行き夜行列車」、エジプト探検家である父が残した黒猫が活躍する「黒猫バルー」あたりがおすすめではあるが、個人的にはプロットの構造が良く出来ている「客間の干し首」が○。

2018/07/07

自分は好きな世界観だ。人が亡くなっても霊魂は成仏しないまま、今までの生活範囲内にて当たり前にしている。自由な足取りにて、生きて肉体を持っている人間に対して自分の意思を訴える。

ベストは「黒猫バルー」かなあ。探検家の父親が亡くなり親戚に引き取られた少年。意地悪な従兄弟が飼い猫共々少年を苛める。エスカレートしてきていよいよやばくなってきた時に、エジプトからきたこの猫が非常に頑張る。この家に仕える黒人の召し使い方が猫の魔力を察して怖がる様子がいい。

2017/04/25

出版社『アーカム・ハウス』の創設者であり、『クトゥルー神話』の作家として知られるオーガスト・ダーレスの第2短編集。
ブラックウッドやホジスンを思わせる正統派の怪奇短編で、解説にもあるようにある種の親しみ、ユーモア色が強い。割と因果応報というか、正義感が強い印象も受ける。
『プラハはら来た紳士』『マーラ』『アラナ』『余計な乗客』が好き。特に『マーラ』はリラダンの『ヴェラ』にも通じる哀切さが良かった。