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京大カレー部スパイス活動
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 世界文化社 |
発売年月日 | 2017/03/01 |
JAN | 9784418173099 |
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京大カレー部スパイス活動
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通っていた高校のある駅の反対側にとてつもなく辛いカレーを出す店があるらしいと、小学校から一緒だったH君が教えてくれた。高校生のランチにしてはちょっと贅沢な値段のカレー。案の定例の銀の器にルーが盛られて供される。ルーをご飯に掛けて驚いた。ルーがさっとご飯をすり抜けてしまう。その時に...
通っていた高校のある駅の反対側にとてつもなく辛いカレーを出す店があるらしいと、小学校から一緒だったH君が教えてくれた。高校生のランチにしてはちょっと贅沢な値段のカレー。案の定例の銀の器にルーが盛られて供される。ルーをご飯に掛けて驚いた。ルーがさっとご飯をすり抜けてしまう。その時に食べたカシミールが、今や巷で流行っているスパイスカレーであったと知るのはそれから40年近く経ってのこと。別の店ではあるが、同じ名前の店の同じ味のカシミールは今でもその駅に行けば食べられるが、いつも混んでいて、高校時代の郷愁が甦ることはない。 ほうれん草のカレーを自分で作ろうと思い立ち、やってみたら意外に簡単で美味しくできたのでしばらく自作カレーに嵌まっていた。水を極力控え玉ねぎを丁寧に炒め茹でたほうれん草をがーっとペースト状にさえすれば、市販のルーも、小麦粉も不要。後は、台所にある色とりどりの小瓶から粉を集めて入れるだけ。何の肉を加えても、セロリを足しても、パセリを足しても、長ネギを足しても、興に乗じて魚醤を入れても、何をしても構わない。それが面白い。もっとそんなレシピを知りたくてふと目に付いたのがこの「京大カレー部」の本である。 もちろん、レシピも載ってはいる。スパイスのことを大真面目に語ってみたりもしている。しかし念の為言っておくが、これは料理の本ではない。「スパイス活動」の報告書なのだ。そのスパイス活動の中身は、京大カレー部四代目部長が日頃創作するカレーにおけるスパイスの絶妙な組み合わせを求める活動に留まらず、生のスパイスの生産及び活用をスパイス王国インドで実地に学ぶことだったり、日本におけるタンドール窯シェア一位の会社社長へのインタビューだったり、と幅広い。言ってみればこれは、小学校の夏休みに課された自由研究と絵日記と読書感想文を混ぜごぜに(カレーだけに)したような本である(故に混雑した電車の中で読むには少々勇気が必要、特に絵日記の部分が)。 とても勉強になるし、京大周辺のカレーパンを食べ歩いてもみたくなるが、少しだけ真っ直ぐには受け止め切れない著者の熱がここにはある。そんなことを気にする必要もないのだけれど、その違和の出処を探ってみると著者の動機に「何故」が感じられないからなのだと気づく。「知りたい」欲求の強さばかりが熱となって伝わるからなのだと。言い換えれば読書感想文の要素が強くて自由研究の割合が低いと感じてしまうのだ。それは自由研究の報告のような体裁の本と勝手に受け止めた為に起こる齟齬。もっとも、カレーに因果律を求めても仕方のないことなのだと判ってはいるのだけれど。 だからといってこの本の魅力が減る訳ではない。美味しいカレーが食べたくなることは必須だ。ああ、久し振りにカレーが作りたくなった。
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