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- 1220-05-09
ある在日朝鮮社会科学者の散策 「博愛の世界観」を求めて
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 現代企画室 |
発売年月日 | 2017/02/01 |
JAN | 9784773817027 |
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ある在日朝鮮社会科学者の散策
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在日の朝鮮人学者として「主体思想」研究の第一人者であったという元朝鮮大学校副学長による自叙伝。 朝鮮大学校や朝鮮総連で様々な公職につき、北朝鮮でも厚遇された著者が同書の中で、 「いつの間にか主体思想に異物が混入し、主体哲学の純潔性が踏みにじられた」 「自主性の哲学である主体哲学の...
在日の朝鮮人学者として「主体思想」研究の第一人者であったという元朝鮮大学校副学長による自叙伝。 朝鮮大学校や朝鮮総連で様々な公職につき、北朝鮮でも厚遇された著者が同書の中で、 「いつの間にか主体思想に異物が混入し、主体哲学の純潔性が踏みにじられた」 「自主性の哲学である主体哲学のなかに、異質な『革命的首領論』が潜入し、『社会政治的生命体論』に成長し、ついに「白頭の血統論』にまで行きついた」 「主体思想に異物を持ち込んだのは権力側である」 といった記述があると知って手に取った。 主体哲学研究には二つの流れがあって、黄長燁の主体科学院派と楊亨燮の社会科学院派があったこと、黄長燁が海外の国際セミナーで「主体思想はわれわれの仲間が作ったものであり、首領の神格化、絶対化とは絶対に無縁である」と語ったことにより、主体科学院派は金正日総書記に「反党思想」との判決を下され、その結果、黄長燁の亡命に繋がったことなど、北朝鮮国内における主体思想研究の流れがよく分かって興味深い。 著者はまた、朝鮮大学校、総連の内部にいた者として当時の総連の「罪悪」についても告発している。 「批判」と称する同僚へのリンチ、何十枚も書かされる「自己批判書」、学内の壮絶な権力闘争。極めつけは、金日成の還暦を祝うために朝鮮大学校の学生200名を北朝鮮に送ったことである。当時、日本と北朝鮮の自由往来は許可されておらず、彼らは日本に帰国することはできなかった。祖国への忠誠競争によって、多くの在日同胞までもが犠牲になったのだ。 それだけではない。 朝鮮半島の南側出身である著者は、日本で朝鮮総連の幹部になった。そのせいで、反共政策をとっていたかつての韓国では、家族だけでなく親戚までもが進路を断たれるなど様々な不利益をこうむり、著者も韓国に帰国することができずに何十年にもわたって「離散家族」となっていたのである。 「自叙伝」という、普段はあまり手に取らないジャンルの書籍であったが、激動の時代を生きた一人の在日の学者の人生を通して、南北朝鮮の歴史を感じることができる、興味深い内容だった。
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