赫蜥蜴の閨 幻冬舎ルチル文庫L

沙野風結子(著者), 奈良千春

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎コミックス
• 発売年月日: 2017/03/15
• JAN: 9784344839717

商品レビュー

2017/04/19

「蛇恋の禊」に引き続き、リンクスロマンスから刊行された同タイトルの文庫化。
旧版も何度も読み返しているけど、それでも飽きないし年月経っても少しも色褪せることの無い893もの秀作です。凶暴なまでのエロスにまたしてもやられっぱなし！

「蛇恋」では悪役の熾津臣が、本作ではやりたい放題で光己を公私ともども翻弄しまくっていて、本来ならば憎むべきキャラなんだろうけど、なぜかその危険な魅力にどんどんハマってしまいます。あまりにもバイオレンス満載で、Ｈも激しすぎて、ダーク＆ヘビーな光己との関係性が当時の自分には衝撃的だったけど、それだけにものすごく思い入れのあるcp。
イラストは当時の奈良千春ｾﾝｾのままで、とても眼福です。

ストーリー的にも、893の若頭が依頼を受けて大手商社の支社長を罠に陥れ凌辱するまでが、息もつかせない展開で迫力満点です。横暴な臣に光己は何度も大変な目に遭わされるけど、光己が臣にまったく引けを取らない男気の持ち主で、互角に対峙できる受なのがすごく好みです。
最初、臣は身代わりとしてしか光己を見ていなくて、光己もまた臣を心底嫌悪して憎んでいたのに、そんな二人が徐々に相手に心を開き、運命共同体になっていくまでが本当に納得いく筋立てになってます。
コウちゃんから、光ちゃんに変わる瞬間がたまらないです！

エロ的にもとんでもなく濃厚。かなり痛いけど(笑)、光己が男気ある大人なので悲哀感が漂ってないのがいいです。それより、光己が会社や家庭で負さわれた心の傷の方が切ない…！
そして、臣の言葉責めがエロいww
臣もその凶悪な顔の裏にある寂しさを知ってしまうと、ほっとけない男です。
抗争シーンも荒っぽくてビクつくけど、迫力あるから思わず話にのめり込んでしまいます。結末は後ろ向きだった二人が前向きに生きようとしていて希望が感じられて胸アツに。

お目当ての書き下ろし「葉月朔日」で、5年後の二人の姿を見ることができて嬉しかったです。二人とも男として成長しているけど、臣はちょっと甘えっ子になってました！大のオトナがめちゃラブラブ。
また読み返したくなる作品です。