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デカメロン(上) 河出文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 河出書房新社 |
発売年月日 | 2017/03/01 |
JAN | 9784309464374 |
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商品レビュー
3.9
10件のお客様レビュー
最近『源氏物語』(KADOKAWAビギナーズクラシックス版)を読んだ時にも思ったのだが、当時の人々がどれだけその作品を熱中して読み込んだかを想像するのも楽しい。 「長い」とか、「登場人物が多くて覚えられない」とか言う人の気持ちも十分わかるのだが、TVもない、インターネットもない...
最近『源氏物語』(KADOKAWAビギナーズクラシックス版)を読んだ時にも思ったのだが、当時の人々がどれだけその作品を熱中して読み込んだかを想像するのも楽しい。 「長い」とか、「登場人物が多くて覚えられない」とか言う人の気持ちも十分わかるのだが、TVもない、インターネットもない、ゲームもない、ましてやSF小説とか推理小説みたいな他ジャンルもまだ確立されていない時代に、時間を忘れられるようなフィクションに対して、「話が長いなぁ」なんて思うだろうか?むしろ何度も読み返したに違いない。何度も読み返すのだから登場人物が覚えられないなんてこともありえない。言語も時代も価値観も違う物語を、時を超えて自分のような人間が、当時の人々と同じように楽しめていることに興奮する。 さて、ここから本書の内容について語るのだが、読み進めていると『カンタベリー物語』っぽいなぁと思ってしまった。これはまさに、元ネタよりも先にオマージュ作品を見てしまったからであり、『カンタベリー物語』が好きな自分としては安心して読み進められるという確証が得られた。むしろ、『カンタベリー物語』よりも、作品としての完成度は高いと感じた。人が交互に自分の好きな物語を次々と語るのだが、その繋ぎの言葉もしっかりと考えられているのが『デカメロン』。『カンタベリー物語』も繋ぎのセリフがあるが、今話した人とかその話した内容にも言及して、「面白かったね」みたいな感想も書いている『デカメロン』ほどには丁寧ではなかった記憶がある。 それにしても、男女の恋愛、不倫話がほとんどで、無性にむらむらもしてくる。3日目の第10話(上巻最後の話)が個人的にはお気に入りだ。
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ペストから逃れ、巣籠もりをするフィレンツェの10人の若者が、暇つぶしにそれぞれ1話づつ、10日間で100話の短い物語を語りあいます。 語られる話は宗教がらみか艶笑話、もしくはその両方が絡んだ小噺が多く、やはりイタリアはキリスト教国なのだな、エロは必須なのだなと感じました。 話...
ペストから逃れ、巣籠もりをするフィレンツェの10人の若者が、暇つぶしにそれぞれ1話づつ、10日間で100話の短い物語を語りあいます。 語られる話は宗教がらみか艶笑話、もしくはその両方が絡んだ小噺が多く、やはりイタリアはキリスト教国なのだな、エロは必須なのだなと感じました。 話の舞台はイタリア国内ほもちろん、フランスやイギリスはおろか、アフリカやアラブ圏にまでおよび、当時(14世紀!)のヨーロッパの世界観や多様性が感じられました。 長年に渡って繰り返された十字軍の失敗とか、当時の教会の腐敗とか、歴史的背景を勉強しなおして読んだ方が良いのでしょうが、難しいですよね。Wikiで調べるのがやっとです。 デカメロンはいくつかの翻訳本が出版されていますが、翻訳年が新しい平川祐弘先生訳の河出書房版を選びました。注釈や解説の充実ぶりが素晴らしいです。読書中、ずいぶんこれに助けられました。 上巻は1日目から3日目の3日間のお話しです。 女性の地位が恐ろしく低い中世のお話しですが、最初の3日間は女性か主導します。3日目の締めでは女王ネイーフィレが男性陣、特にフィローストラトに「皆様もわたしたちからなにかと道理をお習いになると良いと思います」とピシャリと言いきってます。カッコ良い。 当時の上流階級の、かなり進歩的な考えの人たちだったんでしょう。
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一つ一つの話が楽しんで読める。キリスト教の権威やペストの流行などの歴史的背景を踏まえて読むとさらに思うところがあり、歴史の教科書だけだはわからない当時を雰囲気を垣間見れているのではないかと想像すると、感慨深い。
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