教養教育の再生

林哲介(著者)

• 販売会社／発売会社: ナカニシヤ出版
• 発売年月日: 2017/02/01
• JAN: 9784779511400

商品レビュー

2018/08/12

前半部は教養教育について整理されていたが、後半から論の展じ方が不明瞭で、前半部の焼き増しになっている部分もあった。教養教育イコール科学教育とやや強引に述べているようにも取れる。ただ、参考とすべき文献が整理されていたので、これらを追いたい。それにしても2400円でこの内容は高い。

2017/12/16

前著も読んだ上で本書を読んだが、主題となる「教養教育のあるべき姿」と再生のための具体的な処方箋が見えにくかった。政策文書や大学論・教養論の収集・引用に終始した印象を持つ。著者は本書の中心となる5・6章で「市民性」「民主主義・自由」を軸に教養教育に言及しているが、いわゆる「レッド・ブック」の報告書で既に提起されたことであり、民主主義の社会で求められる市民の育成を企図した「一般教育」の大枠から特に変わりはない。エピローグでは、オルテガを引きながら、教養教育と専門教育の連携にふれているが、この点はおそらく大学界で課題として十分に共有されているべきものといえる。かろうじて、著者の教育経験から、科学リテラシーの拡張の重要性にふれられているが、もう少し丁寧に検討されれば理解しやすくなる。出版側・編集者が前作と本書を世に呈した意図が見えにくい本だった。