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日本音楽のなぜ? 歌舞伎・能楽・雅楽が楽しくなる 放送大学叢書037
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 左右社 |
発売年月日 | 2017/03/01 |
JAN | 9784865281682 |
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日本音楽のなぜ?
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「日本音楽」、つまり歌舞伎や能楽、雅楽といったものが、「なぜメロディーがないのか」、「なぜノリが悪いのか」、「なぜ何を言っているのかわからないのか」という、西洋音楽に慣れ親しんでいる日本人の観点から、いささかネガティブな「なぜ」に答えていくもの。「どのように伝承されてきたのか」...
「日本音楽」、つまり歌舞伎や能楽、雅楽といったものが、「なぜメロディーがないのか」、「なぜノリが悪いのか」、「なぜ何を言っているのかわからないのか」という、西洋音楽に慣れ親しんでいる日本人の観点から、いささかネガティブな「なぜ」に答えていくもの。「どのように伝承されてきたのか」、「どのように作曲されるのか」など、ネガティブでない話題ももちろんあるが、筆者の見解も交えて、「ですます」調で分かりやすく解説されている。 国立能楽堂でやっている能楽を見て、それについてレポートを書く、ということをしないといけなくて、とりあえずこれを読んでみた。日本音楽と言われるものの全体像や流れをつかむことができて、とても有益だった。以下、チェックした内容のメモ。まず「三味線の輸入」というのは日本音楽の歴史ではとても重要な出来事で、そこから「貴族階級=雅楽、武士階級=能楽、そして町人階級=三味線、という楽器による社会が定着した」(pp.16-7)という全体像は分かりやすい。歌舞伎が江戸幕府により締めつけられ、政治的に貶められていたというのは、想像以上で、「歌舞伎は吉原と並んで『二大悪所』とされました。悪所は当時の郊外に移転させられましたし、歌舞伎の役者は人間以下の扱いを受けてましたし」(pp.39-40)ということだから厳しい。歌舞伎以外にも、「三味線は没収して焼却処分、演奏家はしばらく蟄居を命じられました。」(p.40)って、ローマ帝国のパンとサーカスみたいな発想はないんだな、と思った。「なぜ指揮者がいないのか」という項目も面白かったが、「演奏家も美しい絵の一部になっていなくてはなりませんから、唄い初め(語り初め)るときにも終わってからも、役者の邪魔にならないように、同じ揃いの衣装を着ています。もちろん身体を動かして身体でリズムを取るようなことはいたしません。オペラやバレエにはそういう考えはなかったようで、邪魔になるから舞台前のオーケストラボックスに隠してしまったのでしょう。この場合の音楽は本当に添えものですから、指揮者まで隠してしまいます」(pp.54-5)ということで、「いかに主役を美しく見せるのかというための音楽」(p.55)ということだそうだ。同じように考え方が今とは全然違う、という点では著作権に関する部分が印象的。「作詞・作曲については、今のような著作権はなかった時代でした。引用、盗用は罰せられることはありません。それよりもその引用、盗用が原作よりも巧みであれば称賛されるような風潮さえあった」(p.86)というのは驚き。「なぜ立って演奏してはいけないのか」という項目では、「芝居」という言葉のルーツが説明されているが、まず「神を慰める芸能=神楽」(p.111)で、「強く足踏みをして地の神を讃えます。これは相撲の始まりであり、地鎮祭の始まりです。」(同)ということだそうだ。「地を鎮めるのが最初の儀式で、そこで演奏される神楽を人々は輪になって参加し、見物しました。回りの芝にいたので『芝居』と言った」(同)のだそうだ。へえ。あとはピアノみたいな「絶対音高」の楽器に慣れていると、「相対音高の楽器」というのが珍しく、例えば三味線は、人間の声の高さに合わせて「三本の弦全体を高くしたり、低くしたりする」らしい。 全体的には、日本人が日本音楽を通して日本文化を知る「異文化理解」の本みたいになっているのが、良いのか悪いのかわからないが面白いと思った。(23/06)
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