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陰翳礼讃・刺青ほか 教科書で読む名作 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 2017/01/10 |
JAN | 9784480434142 |
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陰翳礼讃・刺青ほか
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陰翳礼讃・刺青ほか
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教科書に載った谷崎潤一郎作品だそうです。「陰翳礼讃」「文章読本」のような随筆は、なるほど若者に語りかけるようですが、 「刺青」や「秘密」でどのように授業を進め、学生さんたちがどのような感想を持ったか、授業を見てみたい(笑) 『陰翳礼讃』 日本の文化には光と影の陰翳、闇に浮かぶ白...
教科書に載った谷崎潤一郎作品だそうです。「陰翳礼讃」「文章読本」のような随筆は、なるほど若者に語りかけるようですが、 「刺青」や「秘密」でどのように授業を進め、学生さんたちがどのような感想を持ったか、授業を見てみたい(笑) 『陰翳礼讃』 日本の文化には光と影の陰翳、闇に浮かぶ白さ仄かな明るさを好むという面がある。 谷崎潤一郎による日本人と影についての考察。 今ほど明かりのなかったころ、日本人は自分たちの体型や肌の色にが自然に溶け込むように住宅、食器、衣装を作ってきた。 それはくっきり照らされたものではなく、ぼおっと闇に溶け込むものだった。 漆器の器の薄暗い底の方に淀んだ味噌汁、自然と一体になったような便所、薄暗い木製の舞台で派手な衣装を浮き立たせる能などの芸能、苔の生えた岩や錆びの乗った器。 陰翳を際立たせることは、日本人の根本的哲学的思想でもある。 読みながら自分の脳裏に状況が目に浮かび、仄暗さのなかに灯る明かりまで感じさせられる文章です。 われわれ東洋人はなんでもないところに陰翳を生じせしめて、美を想像するのである。(…)美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にあると考える、夜光の珠も暗中に置けば光彩を放つが、白日の下に曝せば宝石の魅力を失う如く、陰翳の作用を離れて美はないと思う。(P55) 私は、われわれがすでに失いつつある陰翳の世界をせめて文学の領域へでも呼び返してみたい。(P74) 『刺青』 腕利き彫り物師の清吉は、自分が認めた体にしか彫り物を施さず、しかもあえて相手の苦痛を与える彫り方をしていた。 そんな彼の長年の宿願は、これぞという女の肌に己の魂を込めた彫り物をすることだった。 ある日駕籠から降りる女の素足に清吉の目は惹きつけられた。五本の指の整い方、回のような爪、岩間の水のような肌。これこそ男を踏みつけ清冽な美しさに肥え太ってゆく女の肌だった。 清吉は一瞬見たその女を追い求める。 一年後、清吉の店に使いで現れた控えめな娘こそがかの女だったのだ。 清吉は女に薬を嗅がせて眠る女の体に彫り物を入れる。 目覚めた女はその彫り物、女郎蜘蛛により、今までの控えめさを脱捨て、秘めていた本性を顕にする。 男を食い物にして美しさを増す女、残虐さに喜びを見出す女、すべての人間を虜にする美しさを纏う女。 女が帰る前に清吉は自分の魂の彫り物を仰ぎ見る。 清吉はこの女の第一の肥料となったのだ。 『信西』 ご白河院の寵臣だった信西が、勢力争いで藤原師光の手の者に討たれる最期の夜を描いた戯曲。 占い師の言葉をみて、星占いを見て、今夜こそ自分が死ぬ日だと怯える信西は、郎党とともに山奥に穴を掘って隠れる。怯える信西を見て郎党は言う。「たとえ世の中が乱れようが乱れまいが、人間があんなことを考えたり、喋ったりするというのは、もうじき死ぬ前兆に決まっておる」 やがて追手が穴から信西を引きずり出してその首を打つ討つ。 『秘密』 私は密やかなものに惹かれていた。友人から離れて隠遁し、横道の行く先を思い、女物の装束を着て街を歩いた。 そしてある時、女姿のまま入った劇場で、かつて知っていた女と行き交う。私は彼女と束の間楽しみそして捨てた。だが他の男といる女を見ることに嫉妬を覚えた。 女は私に気がついていた。そして私は女と逢引を始めた。 その逢引は奇妙なものだった。まず夜に私は女の指定した場所へゆく。私は目隠しで俥に乗る。隣にいるのはあの女だろうか?俥は路地を何度も曲がり、やがてある家に着く。 ここはどこなのか、女は何をしているのか、この秘めた逢引を私は愉しんでいた。 だが女の言いなりにばかりなるつもりもなかった。 私は記憶を頼りに道を辿り女の家を捜した。 夜のワクワクするような道筋。しかし昼間の明かりの中ではなんとも貧相な道だった。 ある横道で私は足を止める。きっと女の家はここだ。道を進みある家を見上げる。見下ろす女の青白くやつれた顔を私は嘲りを込めて見上げた。 それきり私は女を捨て、私の心は”秘密”などよりももっと深い歓楽を求めるようになった。 『文章読本(妙)』 谷崎潤一郎による文章の書き方講座。 実際の文章を例に寄せて、実用的な文章と芸術的な文章、言葉でしゃべるためのインパクトのある文章と長く残る読ませるための文章、色艶のある文章と簡素な文章…。 学生に呼びかけるような文体でわかりやすく書かれていてわかりやすい解説です。 私もこのくどいレビューをなんとか簡潔にしたいもんです…
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