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中東の絶望、そのリアル 戦場記者が、現地に暮らした20年
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朝日新聞出版 |
発売年月日 | 2016/11/01 |
JAN | 9784022514332 |
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中東の絶望、そのリアル
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商品レビュー
4.3
5件のお客様レビュー
「中東にいると誰でも、自動車爆弾からお天気まで何もかもをワシントンに責任転嫁する傾向があるが、アメリカは中東の苦難に対して当初は無関係だったのだ」 という説明から始まるこの本、私など一生かかっても理解できないだろうと思っていた複雑な中東情勢をかなり分かりやすく解説してくれていた。...
「中東にいると誰でも、自動車爆弾からお天気まで何もかもをワシントンに責任転嫁する傾向があるが、アメリカは中東の苦難に対して当初は無関係だったのだ」 という説明から始まるこの本、私など一生かかっても理解できないだろうと思っていた複雑な中東情勢をかなり分かりやすく解説してくれていた。 まず、イスラム原理主義をアーミッシュと非常に似ている、とするところが目からウロコだった。 古代に書かれたテキストを文字通りに受け止め、全く柔軟性を加えずに解釈し、現代文明を拒絶する、という点で両者は酷似している、と言う。 確かに! では、イスラム原理主義が広範に拡散している一方で、どうしてアーミッシュは世界に何の影響も与えていないのだろうか?という問いに答えるには、サウジアラビア、石油、メッカとメディナ、が鍵となる。 もし、アーミッシュがローマのサンピエトロ大聖堂とエルサレムの教会をコントロールしつつ、とつぜん非常に裕福になったなら、彼らの影響力は今日ある形よりもはるかに大きくなっているという可能性は、大いにある話だろう、というわけです。 また、アルカイダについての説明も、ジハード戦士たちの「退役軍人協会」みたいな役割を果たしていた、などと書かれていて妙に分かりやすかった。 とまあ、そんな感じで導入部でいっきに引き込まれてウキウキと読み始めたわけですが…しかし、読んでいて、だんだんだんだん辛くなっていった。 読んでも読んでも怒りと憎悪は途切れることがなく、復讐の応酬であちこちが破壊され、残虐行為はどんどんエスカレートしていく。そして、出口はまったく見えない。 「かろうじて立っていたこの家、つまり中東の国々をワシントンの誤った行動が基礎部分から押し倒し、内部の腐敗を露出させた。そして、イラク戦争という狂気、シリアの流血、カダフィ後のリビアにおける無秩序、そしてISの登場という結果を引き起こした」と著者は言う。 そして、ブッシュとオバマの政治的判断を繰り返し批判している。 それらの批判については非常によく理解できた。なるほどね、と思った。 でも、私は完全には著者に同意できなかった。 ブッシュはともかく、オバマの過ちへの言及には、うーん、と考え込んでしまった。 正直に言うと、著者に対して、ちょっと何様?と思った。 なんだか神様目線というか、冷戦時のCIAみたいな考え方というか。中東に生きる多くの名もなき普通の人々の視点は全くなくて、「西側にとって一番都合が良い方法による中東民主化計画」からの意見という感じ。 他の独裁者を安心させるためにも、アメリカが操れる独裁者は保護しろと言っているみたいにも聞こえる。 そもそも、全て結果を見てからの完全なる後知恵じゃないかとも思う。 まあいずれにせよ、中東の混沌を深めているのは、ブッシュよりもオバマよりも、子供時代にまともな教育が受けられず、SNSはじめインターネットが学校のかわりになっていることが一番の原因じゃないかと私には思えた。 そして、「復讐」を強く強く推奨している伝統と。 この本はISの登場あたりで終わるのだけど、ISの異様さ過激さは中東に渦巻く悲しみと憎悪の集大成に見えた。ついこの間のことなのに、喉元過ぎればで、私ときたら、もうすっかり彼らのことは忘れてしまっていて、この本でその残虐さに改めて驚くことになった。読んでいるうちにすっかり暗い気分になっていたところに、まるでトドメを刺されたかのように、すっかり打ちのめされてしまった。 そして、もしもブッシュやオバマが賢くふるまっていたとしても、「復讐」が奨励される土地である限り、やがてはこういうものを生み出していたのじゃないかしら、とも思った。ただ時間の問題というだけで。 そんな中、サウジアラビアが行っているという政策の一つにすごく救いを感じた。 それは、完全に洗脳され壊れた状態で帰国するジハード戦士たちの社会復帰のためのリハビリのプログラム。 希望の光みたいな記述ってその部分だけだったような。 結局のところ、そういう地道でとてつもなく時間のかかる努力しかあの憎しみの連鎖を断ち切れるものはないんじゃないかなぁと思う。(当然そんなことはみんな分かっているとは思うけど) 過激派の人たちがインターネットを巧みに利用し、過激な思想を戦略的・効果的に拡散している様子など読むと、その頭脳と技能をもっとずっと生かせる場がこの世にはあるのに、たくさんあるはずなのに、と悔しく思う。
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中東の数々の戦闘の実情を、戦場記者が明らかにした本。この地域でのかつてのヨーロッパの行い、そして現在も続く米国の中途半端な行為が、現在のカオスを招いたことがわかる。 ISは駆逐されつつあるが、この先の状況がどうなるのかは見通せない。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
[開けっ放しのパンドラの箱]カイロに下り立って以降,イラク,レバノン,リビア,そしてシリア等で度重なる戦禍を目の当たりにしてきた著者が,自らの取材歴を生々しく綴った作品。著者は,米NBC首席海外特派員を務めるリチャード・エンゲル。訳者は,在米ジャーナリストとしても活躍する冷泉彰彦。原題は,『And Then All Hell Broke Loose: Two Decades in the Middle East』。 実地にしっかりと根を下ろしている一方で,マクロな視点をも加味した記述になっており,中東政治に興味のある方にはぜひオススメしたい作品。また,一級の戦場ジャーナリストが,何を考え,どのように行動するのかについても学べるところは非常に多いかと思います。 〜中東において戦争は,完全な善人と完全な悪人を峻別することが不可能になっている。グレーゾーンというのが当たり前になっているのだ。だが,こうした解説はテレビ向きではなかった。あまりにも複雑で,あまりに自分たちの世界から懸け離れた話だったからだ。要するに,あまりにも中東的な話になっていた。〜 特にシリアのくだりは読み応えがありました☆5つ
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