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非伝統的金融政策 政策当事者としての視点
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非伝統的金融政策 政策当事者としての視点

宮尾龍蔵(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 有斐閣
発売年月日 2016/10/01
JAN 9784641164901

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商品レビュー

4.7

3件のお客様レビュー

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2018/07/28

非伝統的金融政策を理解するのにうってつけの本。 本書では、まず伝統的金融政策の概要をさらった上で、非伝統的金融政策の具体的な手法、各国での実施の歴史、その効果を検証するモデル、そして非伝統的金融政策の効果と副作用までが、わかりやすくまとめられている。 (大学で初級〜中級理論だけ...

非伝統的金融政策を理解するのにうってつけの本。 本書では、まず伝統的金融政策の概要をさらった上で、非伝統的金融政策の具体的な手法、各国での実施の歴史、その効果を検証するモデル、そして非伝統的金融政策の効果と副作用までが、わかりやすくまとめられている。 (大学で初級〜中級理論だけをかじった身としては)ちょっとマイナーなモデルも出てくるんだけど、そのエッセンスを平易に解説しているのはありがたい。 また、著者の、金融政策や経済、理論に真摯に向き合う姿も文章から窺えて、大変勉強になる。

Posted by ブクログ

2018/02/25

前日本銀行政策委員会審議委員の宮尾龍蔵氏が、量的緩和からマイナス金利政策までの一連の非伝統的金融政策の理論的バックグラウンドとその効果についてコンパクトにまとめた書籍。 読者側はIS-LMのフレームワークが理解できていれば大丈夫なように数学的レベルを落としつつ、資産市場の一般均...

前日本銀行政策委員会審議委員の宮尾龍蔵氏が、量的緩和からマイナス金利政策までの一連の非伝統的金融政策の理論的バックグラウンドとその効果についてコンパクトにまとめた書籍。 読者側はIS-LMのフレームワークが理解できていれば大丈夫なように数学的レベルを落としつつ、資産市場の一般均衡モデル(貨幣・国債・株式)から量的緩和の効果を説明したり、クルーグマンの「日本経済の罠」モデルや長期停滞論についても触れていたりと、内容的にはしっかりと基礎がわかるようになっている。各主張の根拠となる参考文献が脚注にて都度明示されているのも親切。 あくまで日銀の政策を理論的バックグラウンドから解説していくのがメインなので、審議委員としての生々しい体験談などを期待すると残念に思うかもしれないが、これだけコンパクトな形で量的・質的緩和をわかりやすく説明しているのはとてもありがたい。

Posted by ブクログ

2017/04/03

2010年から5年間、日銀の政策委員会審議委員を務めた経歴を持つ著者による、日本及び世界各国中銀による「非伝統的」金融政策のランダウン。政策担当者サイドからの分析は一般に現行政策にフォアな論調になるのが普通だが、本書は学際的なバックグランドを持つ著者ならではの冷静さと視野の広さに...

2010年から5年間、日銀の政策委員会審議委員を務めた経歴を持つ著者による、日本及び世界各国中銀による「非伝統的」金融政策のランダウン。政策担当者サイドからの分析は一般に現行政策にフォアな論調になるのが普通だが、本書は学際的なバックグランドを持つ著者ならではの冷静さと視野の広さにより、一方的に礼賛的な内容とはなっていない。 ある程度経済学的なバックボーンを持つ人向けに書かれているが、少なくともIS-LM分析位までのマクロ経済学の知識があればスムースに読み進めることができる内容。各種モデルを用いた分析も頻出、グラフも多く用いられており、ある程度素養のある人であれば深い理解が得られるよう構成されている(もちろん経済学に関する知識が無くても理解できる部分は多い。僕の経済学の知識は大学の一般教養レベルだが、3章の「構造ベクトル自己回帰モデル」以外は概ね理解できたと思う)。 個人的には非伝統的金融政策が実体経済に効果を及ぼすルートは殆どが予想インフレ率上昇=資産効果によるものだろうと考えていたが、本書でそれがIS-LMモデル内で明快に説明されているのに意を強くした。もちろん非伝統的金融政策の可能性はそれのみにあらず、とするのが著者の立場。例えばゼロ金利政策へのコミットによる期待理論を通じた長期金利押し下げ効果により、少なくともデフレは克服できたとし、あとは物価上昇率2%の達成までオープンエンドに緩和を続けるべきだとの主張だが、一方で、非伝統的金融政策の副作用を論じる下りでは「日本をはじめとする先進国は長期停滞(secular stagnation)が常態化しており過度なインフレは起こりにくいと主張している。僕にはここのところが矛盾しているように思えてしっくりこない。「インフレ」は起こりにくいのに、「インフレ期待」は起こせると言っているように聞こえるのだ。 またゼロ金利推進論者がその論拠とする「クルーグマン・モデル」がその実、将来の実質成長率の低迷を導いてしまうということが、数式を用いてロジカルに説明されているのも興味深かった。インフレ目標政策が将来の富の「前借り」にしか過ぎないことが理解できる。しかし、著者をはじめとする政策担当者は、ここのところをわざと過少申告しているのではないだろうか。資産効果に依存する現行の金融政策が、その後のdevastatingな成長低迷に繋がるとすれば、果たして将来世代は現在の金融政策を支持するだろうか。 僕は上記の通り基本的に現行政策に懐疑的だが、本書は変容し続ける金融政策の理論を丁寧に説明しており極めて有用に思えた。基礎をおさらいできるのももちろんだが、非伝統的金融政策が、どのような理論的根拠を有するのか、或いは有しないのかが理解出来るのが本書の最大のアップサイド。出来るだけ多くの人に読まれるべき本だと思う。

Posted by ブクログ

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